社会人になりたての頃、先輩とこんな会話をしたことがある。

 

「社内の人たちの名前はもう覚えた?」

「顔と名前はだいたい一致するようになってきました」

「名前を覚えたほうが仕事もしやすいよね。いろんな人がいるでしょ?」

「そうですね。でも、関わったことがない人も多くて、仕事の進め方や性格まではわからない先輩も多いです」

「だんだんわかってくるようになるよ。『自分の仕事はこれ』と決めて、それ以外のことは一切やらない人もいたり……」

「それは、仕事へのスタンスとか、どういう働き方をしたいかという価値観の問題ですよね」

「そうだね。ただ、やっぱり好ましく思わない人もいるよね」

 

“好ましく思わない人もいる”という事実を聞かされ、自分の中で2つの思いがぶつかり合った。

それは、「仕事へのスタンスは人それぞれでしょ」という思いと「とはいっても、範囲外の仕事は全くやらないという人とは仕事はしづらいだろうな」という思いだ。

 

先輩はあの会話で、「そんな人にならないでね」と伝えているような気がした。

 

☆★☆★☆

 

先輩の言っていたことをきっかけに、“仕事の範囲”について考えるようになった。そもそも、あなたが思っている“仕事の範囲”は誰が決めたものなのか。上司? あなた自身?

「あなたの仕事の範囲はここからここまでです」と明言されたことがある人は、実は少ないのではないだろうか。

そうだとすると、“仕事の範囲”は自分が思い込んでいる範囲にすぎず、周囲の人が期待する範囲と一致しない可能性もある。

 

だからといって

「仕事の範囲は広ければ広いほど良い」

「範囲なんて決めずに何でも積極的にやるべきだ」

と言うつもりはない。幅広くはなくても、専門性を身に付けて極めていくことにも価値はあるし、時間は有限なのだから優先順位をつける必要があり、何でもやれば良いというものでもない。

 

☆★☆★☆

 

「電話がワンコール以上鳴らないようにするにはどうするべきか」についての議論に参加した時のことだ。ある人はこう言っていた。

 「これは、責任の所在が明確になっていないからこそ起こる問題だと思う。電話をとるのは誰の仕事なのかが決まっていないと、結局『とれる人がとろう』という話になってしまい、忙しくなると誰も電話をとらなくなってしまう。『新入社員の仕事』とか『一般職の仕事』というように、誰の仕事なのかを決めることで責任の所在が明確になり、誰もとらないということはなくなるのではないだろうか」

 

なるほど。その通りだと思い、私は頷いた。しかしこの直後、別の人がこう発言した。

「『誰の仕事か決めていない』のではなく『全員の仕事だと決めている』という考え方はできないだろうか」

 

これにはハッとした。たしかに、『電話をとるのは●●の仕事』と限定して決めてしまえば、“電話に出ない問題”は解決するだろう。

決めるだけだから、簡単と言えば簡単だ。一方、『全員の仕事と決める』のは、考え方は違うものの、実質的には『誰の仕事かは決めない』のと同じであり、“電話に出ない問題”が解決するかどうかは社員11人の意識の高さに左右されてしまう。

容易に解決するものではないが、後者の方がより仕事の本質に迫っているように感じた。

 

☆★☆★☆

 

仕事の範囲を決めることの賛否を論じるつもりはないが、仕事の範囲を決めると、責任の所在が明確になるという点には、多くの人が納得するだろう。

そのため、ある程度範囲を決めることは必要だ。「これは私がやる!」という気持ちが責任感にも繋がると思う。ただ、決めた範囲を固定化してしまうと、周囲の人にとって仕事がしづらい人になってしまったり、新しいことへの道が閉ざされてしまったりして、もったいないのではないかとも思う。

仕事の範囲は常に更新していきたいものだ。

 

☆★☆★☆

 

ではまた!

次も読んでね!

 

【生成AI関連ウェビナーのお知らせ】
単なる理論ではなく、現場で成果を出す生成AI活用の“実装方法”を知りたい方に最適なウェビナーです。
本セミナーでは、製薬・バイオ企業でのPoC(概念検証)から得られた実データとノウハウを元に、「どこにAIが効くのか」「どこが難しいのか」を明確に解説します。

製薬・バイオ企業の生成AI導入セミナー

お申し込み・詳細はこちら


【開催概要】
・開催日:2026年2月12日(木)
・時間:12:00〜13:00
・形式:オンライン(Zoom/ログイン不要)
・参加費:無料(定員150名)

製薬・バイオ企業の生成AI導入は、「試行」から「実利」を問うフェーズへと移行しています。
本セミナーでは、13チームのPoCで時間を50〜80%削減したノウハウを余すことなく共有します。適用可否の見極め、評価設計、失敗領域への対応方法、全社展開のガバナンス設計まで、実践的な内容です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

【対象者】
・製薬・バイオ・化学業界のDX/業務改革担当者
・AI導入プロジェクト責任者・企画部門・法務・人事などの全社展開担当者
・PoC設計や効果測定の「型」を学びたい方
・自社の生成AI活用を確実な成果につなげたい実務担当者

【セミナーの内容】
・生成AIの“適用可否”を短期間で見切る方法(PoC設計・評価の型)
・現場で成果を出すAI活用ノウハウ(バックキャスティング/プロンプト構造化 等)
・適用が難しい領域(PowerPoint・OCR 等)の整理と次の打ち手への転換
・横展開に向けたガバナンス設計とナレッジ共有

【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


【お申込み・詳細】
こちらのウェビナー申込ページをご覧ください。

(2026/01/19更新)

 

[プロフィール]

名前: きゅうり(矢野 友理)←名前をクリックすると記事一覧が表示されます

2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。

著書「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)

Twitter: 2uZlXCwI24 @Xkyuuri

ブログ:「微男微女