ドラッカー名著集14 マネジメント[中]―課題、責任、実践「コミュニケーション」については、非常に苦労している人が多い。ちょっとベストセラーを覗くだけでも

  • 人に好かれる方法
  • 部下を動かす方法
  • 人の心をつかむ方法
  • 人を説得する方法

など、「お手軽にコミュニケーションの秘訣を学べる本」が売れている。

さて、このような本に価値があるかどうかはひとまず置いたとしても、「コミュニケーション」について何かしらの法則や、知見がほしいと思うのは当然だ。

 

ピーター・ドラッカーはコミュニケーションについての洞察をその著書である「マネジメント」にて行っているが、そこに面白い実験が取り上げられている。

 

”100年ほど前、何人かの心理学者が単語を使って記憶力を実験した。連想させるものによって、記憶に差があった。しかし驚いたことに、アルファベットを並べただけの意味のない単語がかなり良く記憶された”

”同様に、新聞の編集者の間ではよく知られたこととして、紙面の余白を埋めるために使われる大した意味のない数行の埋め草がよく読まれ、記憶される。誰も知らないある公爵の城で、左右色違いのくつ下が流行し始めたなどという記事を、誰が読みたいと思うだろうか。ましてやそれを記憶したいなど論外である。(中略)しかし、それらの埋め草が大事件を報ずるトップ記事に次いでよく読まれ、記憶される”

 

 

ここでドラッカーが取り上げているのは、

「読者の関心と関係がないものほど、よく読まれ、記憶される」

ということである。

 

そして、ドラッカーはこう続ける。

”コミュニケーションとは常に宣伝である。(中略)コミュニケーションは受け手に何かを要求する。受け手が何かになること、何かをすること、何かを信じることを要求する。”

 

 

よって、「コミュニケーション」を常に取ろうとする上司は、「正直言って、うるさい」と思われる可能性は高い。

「もうオマエの宣伝は聞き飽きた」

「いまはいっぱいいっぱいだから、もう何も言ってくれるな」

そう思われる。

 

”宣伝がもたらすものは、狂信ではない。(中略)冷笑である”

とは、真理を突いているようにみえる。

 

 

どうでも良いニュース・記事ほど読者に要求するものは少ない。したがってよく読まれ、記憶される。逆に、関心のある領域、仕事の話などに関しては、心に余裕のあるときにしか読みたいとは思わない。

それが人間であり、コミュニケーションの真実だ。

 

 

人を簡単に動かす方法を実践するのは、やめたほうが良い。そのうち誰からも冷笑されるようになる。

 

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


ウェビナーバナー

▶ お申し込みはこちら(東京都サイト)


こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい

<2025年7月14日実施予定>

投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは

借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである

2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる

3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)