私が生まれ育った町は、こと風通しが悪く、窮屈なところだった。
横浜のベッドタウンで、都会でも田舎でもない住宅地だ。マイルドヤンキーの温床といえば想像しやすいだろうか。
最寄り駅まで歩いて30分ほどかかるので、ほとんどの用事を国道沿いのファミリーレストランやスーパーで済ませる。町の子は揃って近所の公立小学校や中学校に通っていた。
私立へ行く子は、小学校のクラスに1人いるかも、ぐらいだ。
私はその町の公立中学校へ通っていた。地域でも評判の「やんちゃ」な学校だった。
いわゆるヤンキーやギャルが何人もいて、窓ガラスは頻繁に割れた。授業に出ずタバコを吸っていた生徒がいて、ボヤ騒ぎになったこともある。
そこまでは行かなくとも、どことなくみんな悪いことをしたり、騒いだりしていた。
授業は大体うるさい。帰宅部かつ文化系で可愛くもない私は、不登校にもならず、ひどいいじめの標的にもならず、よくぞ生き延びられたなと思う。
「町を出た組」の中で、唯一きちんと連絡を取り合っている子とは、会うたびにお互いの生存を称え合っている。
公立中学校を生き延びることはそう易いことじゃない。同じ地域に生まれただけで寄せ集められた、家庭環境も勉強のでき具合も様々な子がいるのだ。
中学校を卒業すれば、自分の頭に見合った高校へ行って、自分と似た雰囲気や家庭環境の子に出会える。思春期も落ち着き、アルバイトもでき、ぐんと過ごしやすくなる。
公立中学校の3年間を生き延びることは、そのあとの人生においてかなり重要だ。私がもし母になり、子どもを近所の公立中学校に通わせることになったら、以下のことを伝えてあげたい。
1.八方美人でいること。
公立中学校は、個人的な好き嫌いだけで治安が動いてしまう場所だ。先生の力は残念ながら、あまり届かない。
ヤンキーやギャルに対してだけでなく、多くの場合において、嫌われなければ大事は起こらないと言える。
上っ面だけでもいい。仲良くしようとする。笑顔であしらう力が生き延びる秘訣だ。
2.「あいつクソだな」と言い合える友だちを持つこと。
とはいえ自分自身も、好きや嫌いが渦巻く年齢だ。嫌いを吐き出せなければひどいストレスである。
そういうときはやっぱり、愚痴や悪口を言い合える仲が必要だと思う。
できれば3人以上のグループを2つ持っておきたい。誰かが、もしくはどちらかのグループが自分を裏切ったとしても、居場所がなくなることはないからだ。
3.恋はしてもいいけど、相手を考えること。
話しているだけで浮気とかなんなのアイツとか言われちゃう世界である。
恋はしてもいいが、身分不相応だったり恋人のいる子だったりすると、たちまち揉め事になる。女子であれば戦争勃発だ。
止められないなら仕方がないものの、平和を思えば、相手は自然を決まってくるはず。
誰にどんな恋をしてもいいのは、高校生になってから。ここで間違えるとダメージはかなり大きい。
4.授業はちゃんと聞き、勉強をきちんとすること。
中学校の勉強は、やればできるものだ。
ここでつまづくのは才能が足りないとか部活で忙しいとかなんでもなくて、ただやっていないだけである。めちゃくちゃに頑張って、県内一の高校へ行く必要は全然ない。
でも、頭のいい友だちとは、今後の人生にとてもいい影響を与えてくれる大切な存在だ。出会うためには、普通にきちんと勉強しておくことが近道である。
ふつうの高校へ行こう。周りに流されちゃいけない。
5.疲れたら、学校から離れること。
家でも図書館でも区民センターでもなんでもいいので、疲れたら学校から離れるといい。
放課後すぐ帰ってもいいし、行きたくないなら行かなくてもいいのだ。漫画もゲームもテレビもインターネットもある。大人は、疲れたなと思ったら会社を休むことができる。中学生も同様に、リフレッシュのために休んでもいいのだ。
「サボったと思われるのが怖い」とか「しばらく休んだら馴染めなくなりそう」とかあるだろうけれど、風邪だのなんだのと理由をつけて、親の私が学校に連絡するから大丈夫だ。不可抗力みたいな仮病を使おう。
経験談で言うと、中学校の日々はまったく面白くなかったが、救いが2つあった。
1つは、インターネットに触れ、知らない人と匿名で交流していたこと。
1つは、塾へ通いだしてから他校の子と出会う機会が増えたこと。
コミュニケーションに飢える多感な時期において、学校がうまくいかない時は、外へ一歩踏み出すのがいい。
10年後や20年後、教育がどんなかたちになっているかは分からないが、「学校以外のコミュニティを持つ」のは明らかな解決策だ。
それでもやっぱり、公立中学校に通うのであれば、サバイブする力は少なからず必要である。(私立中学のことはよく分からないが…)
どこかの中学生やその親に、この記事が届いたらいいなと思う。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
著者:ながち
とあるWEBニュースの編集者。過去に全国をめぐる温泉ライター、受注型オウンドメディア運営、旅行情報誌の編集など。
ウイスキーと温泉と大河ドラマをこよなく愛する、23歳の既婚者。
ブログ:いつかは住みたい三軒茶屋
Twitter : https://twitter.com/1001log