企業の行わなければならないことの一つとして、「ブランディング」と呼ばれるものがある。

 

ブランドとは、

ブランドとは、ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。

当該財サービス(それらに関してのあらゆる情報発信点を含む)と消費者の接触点(タッチポイントまたはコンタクトポイント)で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体

(wikipedia)

wikipediaの定義が正しいかどうかは議論の余地があるが、ブランドには様々な解釈が付け加えられており、ブランディングは経営学の一端を担う分野でもある。

その結果、「ブランドを作り上げれば、差別化できる」「ブランドは高価格を維持できる」など、ブランドへの「過剰な信奉」とも呼ぶべき状態を引き起こしている。

 

しかし、「ブランド」は万能なのだろうか。

万能とはいえなくても、少なくとも、我社の商品の価値を高めてくれるものなのだろうか。

これに対して、「イノベーションへの解」を著したクレイトン・クリステンセンは、「ブランドにもコモディティ化や脱コモディティ化が生じる」と述べる。

つまり、「意味のあるブランド」と、「意味のないブランド」が存在するということだ。

 

クリステンセンはこう述べる。

ブランドに最も価値が有るのは、価値連鎖の「まだ十分でない」段階である。顧客が製品の性能に不安を持っている時、周到に作られたブランドがあれば、得体の知れないメーカーの製品を購入する不安を軽減して、顧客が必要とするものに近いイメージを与えることができる

つまり、市場に信頼感の高い製品が供給されているという自信を顧客が持っていない場合、ブランドが機能する。

 

クリステンセン自身は、「ファッション商材のようなものにもその法則が適用されるのか」という生徒からの質問に対して、「そんなものは検証したことがない。知らん」と言っている。

おそらく、服や化粧品、香水など、ブランドが重んじられる世界では、ブランドを機能させるためには「常に、顧客は不安であることが必要とされる」。したがって、アパレル産業は次々に新しい流行を創り出し、常に顧客を不安にさせることを行う。

したがって、クリステンセンの指摘は、アパレルにおいても正しいように見える。

 

ブランディングは買い手が大きな不安を持つところで真価を発揮する。それは多くの場合、顧客に情報がたりず、売り手に情報が集中するような市場、たとえば不動産や金融、アパレルなどだ。

蓋し、Webなど、情報の非対称性を解消するツールは、今後多くのブランドを破壊していくのかもしれない。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)