気になる記事があった。

「ヘッドハンティングされた男のこと」

 

ブログの主は熱心な広島カープのファンなのだろう。著者は、大竹という選手がより待遇の良い巨人へ移籍することを受け、冷静に受け止めようとはしているが、結局

だが、カープファンとしての僕は、大竹の移籍を「しょうがない」「巨人でも頑張れ」などと思えないのだ、やはり。
頭の中に渦巻いているさまざまな罵詈雑言をここに書くべきではないのだろうが、「裏切り者!」というくらいが、渦巻いているなかで、いちばん穏健な言葉だということは、書き留めておく。
本当は、大竹は「自分にとってより良い環境を選択した」だけであり、「裏切った」わけではない。そう、頭では「わかっているつもり」なのだが。

と、大竹選手への恨み節を述べている。

 

私は野球は見ない。野球だけではなくほとんど「スポーツ観戦」というものをしない。どのチームが勝とうが、私には一切関係ないからだ。しかし、この話には考えさせられた。

それは、かつて自分がサラリーマンだった時、会社を辞めていく人々に対して社内の反応が2通りあったからだ。

 

一つはやめた人々を「裏切り者」、と呼ぶ人たち。

もう一つは、やめた人々を「よかったね」と祝福する人たち。

 

もちろん、みな口では体裁の良いことを言っている。腹の底はわからない。ただ、送別会や上司との1対1で話す機会などがあると、ポロポロと本音を漏らす人たちも多かった。

そして、その中で私が学んだのは、「裏切り者」と言う人たちほど、かつてはその人達への期待が高かった人だということだ。「よかったね」という人は、極端な話、その人にあまり興味は無い。要は「嫌われたくない」から当たり障りなく振る舞う大人の人達だった。

 

ここでは、「どう振る舞うほうが良いのか」などという意味のない議論はしない。しかし、人に期待するということは、本質的に「裏切り」を内包している。上で紹介したブログの主は、

本当に「自分に直接関係がある事以外には、何も興味がない人生」を送れたらいいのになあ、と思う。
何かを応援するというのは、傷つけられるための準備をしているようなものだから。

と締めくくっている。

 

「良い上司」は部下に期待するという。会社の経営陣が「オマエに期待している」という言葉を述べるのを何度も聞いてきた。しかしそれは、次の「裏切り者」を作りだすことにもなる。意図せずに。

 

「熱心な上司」が必ずしも人を育てないのは、こういうところにも原因があるのだろうか。

それとも、期待するということは、「裏切り者」が出ることをを承知でやるべきなのだろうか。

 

古代中国の統一国家である漢の創始者、劉邦は、天下統一を成し遂げた後、重用していた腹心を裏切りを恐れてことごとく誅殺した。

現代になっても人はあまり変わっていない。

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
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(2025/6/2更新)