現在30歳以下で、特に今大企業や有名企業で働いている人、あなたは受験勉強、就職活動でのいわゆる「勝ち組」であるのだろう。高い能力をお持ちなのだと想像する。
しかし、私の知る複数のキャリアアドバイザー、経営者が
「もし、自分が有能だという自負があるなら、そこはあなたのいるべき場所ではない。すぐに良いスタートアップに行くべきです。」
と強調している。
なぜだろうか。彼らが言うことを総合すると、そこには5つほどの理由がある。
1.10年以内に、あなたが「普通の人」になってしまう可能性が高い。
大企業の中、というのはいわば守られた世界であり、日々サバイバルのスタートアップに比べて、一般的にはヌルい環境である。
組織の歯車の1つとなる覚悟でいるのであれば問題ないが、体力、気力ともに充実した20代、30代頭の時期をヌルい環境に置いていたのでは、「普通の人」まっしぐらだ。
高校時代、大学時代、人並み以上に頑張ってきたのに、就職した後は「人並みの頑張り」では、あまりにも勿体無い。
2.40歳まで出世できない。
大企業の中では、多くの人が20代、30代では出世できない。統計的には、課長以上の方は10%以下であり、さらに管理職は減っている。
大企業の中で出世するには、実力も重要だが、なによりも「時間」と「運」が必要である。
逆に、あなたが有能なら、すぐに幹部になれるスタートアップはいくらでもある。
3.「普通の人」で十分大企業は回る
大企業が、大企業である理由は、言ってしまえば「あなたでなくても回る」の一言に尽きる。大企業は、人の能力と関係ないから、大企業なのだ。
大丈夫、あなたがやめても全く問題なく会社は動き続けるだろう。
本質的に、今あなたがやっている仕事がとくに有能な人でなくても回るのなら、いわゆる「普通の能力の人」に席を譲るべきである。そこは、有能なあなたが専有すべき席ではない。
大企業は「普通の人」がある程度大きなことを成し遂げることのできる場所なのだ。
4.40代、50代の既得権益が極めて大きく、若手は弱者
基本的に、大企業の世界で20代は「ひよっこ」であり「コマ」である。したがって、若手すべてに発言権、決定権がない。
例えば先日、ある大手コンサルティング会社で「リストラの代行」の仕事を行っていた人から、こんな話を聴いた。
「クライアントから依頼を受けて、リストラをしてました。もちろん報酬と成果が見合っていない、中高年をリストラの対象としてリストアップし、シミュレーションを行いました。」
「はい。ありがちですね。」
「そうです。しかし、結局どうなったと思います?」
「計画通り行かなかったのですか?」
「実は、その計画は握りつぶされ、若手ばかりがリストラの対象となりました。結局いざとなると、若い有能な駒はやめさせ、仕事しない老人が上を塞ぐのが当たり前なんですよ。よく考えれば当然ですよね、40、50の人は辞めさせられたら他に行く場所がない。20代に「辞めてくれ」という方がずっと簡単です。」
大企業の中では、若手は「弱者」なのだ。
5.人気企業は、今がピーク
昨日、ある経営者から「50代、60代の人が、メチャメチャ余っている。とくにマイナビとかで、ソニーの人をすごいよく見る。」と聞かされた。
今50代、60代の人がソニーに入社した頃は、さぞかし人気企業だったことだろう。おそらく入社できた彼らは、鼻高々だったはずである。
しかし、ソニーはピークアウトし、現在はすっかり「普通の大企業」と化してしまった。
結局「今の人気企業は、明日の普通の企業」であり、それは統計的には「平均への回帰」としてよく知られる事象である。
能力に自信がある人は、結局どこでも生きていける。
だったら、「厳しい環境」に身をおいていたほうが、遥かにに伸びしろは大きい。
最後に、
「じゃ。30代半ば以上の人は?どうすれば?」
という方もいるだろう。
でもそれに対しては「もう10年以上も社会にいて、いい大人なんだから、自分で考えればいい」としか言いようはない。あと30年、40年をどう過ごすかは、自分で選択すべきものだ。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
・安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)
・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント
・すべての最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ
・ブログが本になりました。
「仕事ができるやつ」になる最短の道
- 安達 裕哉
- 日本実業出版社
- 価格¥1,540(2025/06/12 13:52時点)
- 発売日2015/07/30
- 商品ランキング80,251位