あるスタートアップに勤務する知人がいる。

彼は一つの部門を任されており、売上・利益に対して責任をもっているので、当然、期末になると、成果に対して説明を求めらる。そしてつい先日も、目標に対しての進捗を報告する会議があったとのこと。


ところが、彼は不満気である。

「自分は、期首に立てた計画をピッタリ達成したんだよ。」

「んー

「そしたら、上から「もっとやれたでしょう」って。アホかと。」

「ほうw」

「そう、じゃあ、期首に立てた計画は一体何だったのかと。」

「まあ、そうですよね。」

「そうwムカついた。だったら最初から期首の計画を承認するなといいたい。」

 

つまり、衝突が生じているのは、次の点だ。

彼の上司にとって、「計画」とはその通りにやるものではなく、下をドライブするための単なるツールに過ぎない。だから、計画通りかどうかよりも、下が「常に全力」であることのほうが重要なのだと言える。

逆に彼にとっては「計画」は、そのとおりにすべきもので、勝手に変えてはいけない。

 

これは私にも見覚えがある。

例えば期中に予算を達成したとき、あるリーダーが「今期はお疲れ様」といって、メンバーに休息を取らせた。

しかし、経営者は労をねぎらうどころか、「予算が低すぎたな」といって「最後まで全力だ!」と扇動した。

 

結局、最後まで手を緩めることは許されなかった。

当時のリーダーは「予算を達成したのだから、来期のために英気を養うのは重要」と言っていたが、どうも経営者とは考え方が合わなかったようだ。

しかも、さらに悪いことに、そうして全力でたどり着いたその値をもとに、次の期の予算が更に上乗せされて決まるものだから、
いつまでたっても仕事に余裕は生まれなかった。

 

こう言う会社では、新人も大抵、入社1,2年目こそ元気だが、4年、5年経つと徐々に生気を失ってくる。

そして、徐々に悟る。

「予算は低めに申請しとかないと、自分の首を絞める事になるし、仮に予算達成が見えても、期中のギリギリのタイミングにするように、受注を調節しよう」と。

こうして、経営者とマネジャーの「予算の攻防戦」は果てしなく続く。

 

 

殆どの人は体験的に知っていると思うが、そもそも「常に全力」は、長続きしない。疑うなら、今すぐ全力で走ってみるといい。一キロメートルも走れないだろう。

だから、全力の7割、8割位の余裕を持ち適度に手を抜かせることで、長期的にパフォーマンスを最大化させるのがマネジメントのポイントとなる。

 

だが「適度に手を抜く」ことを許さない経営者は結構多い。

しかし、そのような企業は反動として、必然的に次のことが苦手である。

・新しい試みをしない

・学習しない

・継続することが苦手

 

社員は常に疲れているので、もちろん新しいことをする余裕はない。経営者が「新しいことを試みろ」というが、現状で手一杯なのだ。

また、余裕が無いので「新しい知識を吸収する」時間も、寄り道をする時間もない。彼らが必要とするのはひたすら「数字をどうやって達成するか」のみとなる。

そして彼らは「余計なことをしたくない」と考えるようになり、長期的な施策には目がいかなくなる。それはつまり「継続性」がない組織が出来上がる、ということだ。

 

 

余裕のないところにはイノベーションも、セレンディピティもない。

実際のところ、社員ががんばっているのに業績が伸びないのは、「社員を頑張らせすぎているから」であることがほとんどである。

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

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