前回、僕は何度も何度も注意しても全然改善しないタイプの社員が、なぜ何度注意しても改善しないのかについての記事を書いた。

簡単にいえば、あれは字が汚い人の字がある日突然キレイにならないのと同質の問題であり、彼らの中にある独自のルール(よくない習慣と言ってもいいかもしれない)を変換させないと一生そのままだという事だ。

 

前の記事で僕は字が汚い人の字を綺麗にするためにはペン字(というルール)を習得させるのが一番であり、それと同じように仕事ができない社員にはしっかりと処方箋を出してそれを履修させるべきだと書いた。

 

さてここまで書いておいてなんだが、筆者の字はいまだに汚い。解決方法を知ってる癖に、なぜ僕の字は未だに汚いのだろうか?

実はここにできない社員を改善させる為のTIPSがつまっている。

 

今日は実践編として、実際にどうやってできない社員を教育していくべきかについて書いていこう。

 

困った社員の周りは困ってるけど本人は全く困ってない

筆者の字は汚い。だけど実際問題、それで自分は全然困っていない

当然ながら自分が書いたものは全部読める。困ってるのは周りの人達だ。

 

周りの人達が筆者の書いた汚い字で出来た文章を読んで困ったとする。

”ここが読めない”

”何が書いてあるかわからない。”

困った人達が筆者のところに聞きに来る。筆者は謝りつつ訂正する。

 

この過程の間で筆者の字を読んだ人たちの苦労度合いが100とすれば、筆者の困り度合いは1ぐらいである。

つまるところ筆者が作り出した汚い字によって困るのは周りの人達であり、実際問題自分で自分が作り出した汚い字に自分が困らされる事は生み出した問題と比較すると非常に少ない。

 

仕事もこの構図が恐ろしいぐらい当てはまる。納期が全然守れない人とか、仕事がビックリするぐらいできるようにならない人に周りが困らされる度が100だとすれば、当事者の困り度合いは1ぐらいである。

だいたい問題が発覚したら、みんなで手伝ったり、仕事をそいつにやらせずにみんなで分担してなんとかしてしまう会社がほとんどだろう。

 

つまるところ、仕事がいつまでたってもできるようにならない人は、自分の生み出す問題が生んだトラブルに対する正当な当事者意識が欠けまくってるのだ。

これではいつまでたっても、何度注意してもよくなるはずがない。

 

と、いうわけでまずはこの手の人達を変えようと思ったら同質の問題をそっくりそのまま本人にぶつけて困らせるしかない。

トラブルの当事者にならないと見えてこない問題はたくさんある。

紙で手を切った痛みを理解するのに、それを懇切丁寧に説明されても永遠に理解できるようにならない。実際に、紙で手を切らない限り永遠にそれは理解ができない。

 

ここがまずスタート地点である。このスタート地点において大切な事は、相手に恥を決してかかせない事だ。

みんなの前で大声で叱責してさらしものにしたりだとか、メールで全部部署にBccを付けて今までその人がどれだけ仕事ができないかとかをぶち撒けるような事は絶対にやってはいけない。

 

あくまで、同じような問題を同じようにぶつけて、まわりが感じている困難度合いを正確に本人にわからせる事が大切である。

自分がそれまで持っていた悪習慣をぶち壊させる為には、かなり強い動機付けが必要だ。

あくまでこれはその動機付けの為にやるべき事であり、繰り返しになるが相手に恥をかかせるような事は絶対にやってはならない。恨まれてどこかの居酒屋で悪口をぶち撒けられるのが関の山だ(その程度で済めばいいけど・・・)

 

さて次が実践編である。

 

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

山本五十六のこの名言を聞いた事がある人は結構いるだろう。これは部下教育の本質をついている。

 

部下にしっかりと当事者意識をもたせた後に上司として大切な事は、とにかく手本をしっかりと見せる事だ。

これを本当にやりすぎなんじゃないかというぐらい繰り返し繰り返し手取り足取り行う事が本当に大切で、その上でとにかく同じように何度も何度も呆れるぐらい手取り足取りして、何度も何度もやらせなくてはいけない。

 

そしてこれをものすごく褒めて褒めて褒めながらやる必要がある。もうバカなんじゃないかってぐらいムチャクチャに褒める。人はお世辞でも褒められると嬉しくなる生き物だから、もうお世辞だと受け取られるぐらい過剰にやっても大丈夫だ。

 

ちなみに褒めるポイントは仕事だけに限らず、もう朝会った瞬間に

「今日着ている服、似合ってるじゃん」とか「よくちゃんと人の話を聞いてるね」とか、兎に角日常の事細かい部分でものすごく褒めるようにできると満点である。

繰り返しになるが過剰に褒めるぐらいで全然いい。それぐらいの心意気でやって、たぶん丁度いいぐらいだ。

 

こうして褒められる事にだんだんと慣れていくと、部下は「あの人に褒められるのは嬉しい」みたいな感じに条件付けがなされて、どんどんポジティブフィードバックが勝手にかかって努力が楽しめるようになっていく。

もちろんトラブルについての当事者意識が欠けたらそれを再認識させる必要はある(この辺のバランス感覚は少し難しい)

 

これは間違えて認識している人が多いので強調しておきたいのだけど、人を動かすに当たって大切なのは”アメとムチ”ではない。”褒めと当事者意識”である。

問題をしっかりと頭に認識させつつ、それに褒めを与えながらしっかりと取り組ませていく事が本当に大切だ。

 

なお人の褒め方がよくわからない人は、最近流行りのケモノフレンズでも見るといいだろう。

このアニメ、登場人物は現実世界の人間からみれば全員ものすごく低スペックだけど、もうみんな褒める褒める褒める。「すごーい」「すごーい」「すごーい」の繰り返しで、困った問題を誰かが引き起こしたとしても、誰一人として誰かを罵倒しない。

これが人を動かすコツである。あの世界観を理想として、人をしっかりとマネジメントできるようになれば完璧である。

 

なお有名な山本五十六のあの言葉だが、この後に続きがあるをご存知だろうか?

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

実に含蓄のある言葉である。前も書いたけど、大体の問題は既に偉大なる先達が解決してくれている。あとはそれを粛々と実践していけばいいだけだ。

 

山本五十六のこの言葉をしっかりと噛みしめて、部下を適切に教育していって欲しい。

なお最後にオチになるが、筆者の字がいつまでたっても綺麗にならないのは字を綺麗にしてくれる為にわざわざ自ら進んでマネジメントしてくれる熱心な人間がいないからである。

 

誰かすごいすごいしてくれないかな・・・

 

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(2019/8/8更新)

 

【プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

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