つい先日、あるwebマーケティング会社の方々から、
「社外の専門家を雇ったのだけど、本当にうんざりした」
という話を聴いた。
「なぜ?」とお聞きすると、
「とにかく仕事ができないので、チームの雰囲気を悪くする。」
という。
しかし、当然ながら
「仕事ができない専門家をなぜ雇ったのか?」
というギモンが浮かぶだろう。
私はそれを聞いた。すると彼らは、
「いや、知識だけはすっごいあるんですよね。分析ツールとか、統計とか。異常なほど詳しい。本も出したりしている。」
「なるほど。ではなぜ「仕事ができない」と感じたのですか?」
「その人さ、問題を指摘するだけで、全然改善案を出せない専門家なんですよ。」
「そういうことですか。」
「例えば、webサイトを見て、あそこが悪い、ここもダメ、っていう指摘はめちゃめちゃうるさいんですよ。でも、「じゃあどうすれば改善しますか?」と聞くと、何も出てこない。」
「なるほどw」
「しかも、異常に細かい部分にこだわるんです。サイトの全体設計の話をしている時に、ボタンの位置やレポートのフォーマットの話とか、「今そこじゃねーだろ」って、ツッコミたくなるわけですよ。」
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そういえば、私も同じような経験をしたことがある。
ある営業業務改善のためのミーティングで、「引き合いの分析」をしていたときのこと。
過去数カ月分にわたる、引き合いの一覧表を、まだ若い管理職がグループの皆に配布し、
「受注率を上げたいと思っているのだけど、過去の失注したお客さんに何か傾向はないか」
と訊ねた。
すると、一人のベテラン営業マンがすかさず
「ここの漢字がまちがってますね」
「このシート見にくいですよね」
と、表のフォーマットにケチを付け始めた。
その管理職は落ち着いて、「何が見にくいですか?」と聞いたが、そのベテランは
「いや、見る人のことを考えたら、もうすこしスッキリさせるでしょ」
というだけ。
管理職は「具体的に何処を直せば良いですか?」と聞くのだが、そこに意見は言わない。
その若い管理職は内心はイラッときていたと思うが、表情には出さずに、
「フォーマットは後で直します。失注したお客さんについて気づいたことは……」
と再度皆に聴き直す。
しかし、先ほどのベテランは再び、
「あ、このお客さんの担当、別の人ですよ」
と、本筋とは関係のない指摘をする。皆はうんざりしており、場の雰囲気は酷いものになってしまった。
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このような人、どの会社にも何人かはいるのではないだろうか。
傾向として、
「40、50代」
「知識だけはあるが、成果につながる本質的な話ができない」
「プライドが高く、人のやっていることに対して指摘は多いが、自分の意見は(批判されたくないので)出さない」
「男性」
という属性があるので、わたしは彼らを「重箱の隅おじさん」と呼ぶ。
もちろん、これはオジサンに限るものではないが、何となくそう言う傾向は見て取れる。
で、その「webマーケティングの専門家の方、どうしたんですか?」
「役に立たないだけでなく、会議のジャマをするんで切っちゃいました。皆の気分を悪くするだけの人なら、知識があっても邪魔ですよね。」
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【著者プロフィール】
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