最近、ふとしたキッカケからネットで炎上した人達を追跡調査してみた。

炎上は旗から見ている分には単なるお祭り騒ぎみたいなもんで、傍観者としては一種の遊びみたいなものにみえるかもしれないけど、じゃあ実際問題食らった人はどうなるのかっていうのは結構興味深かったのである。

 

で、その結果だけど思いの外厳しいものではあった。

ほとんどの人達は炎上後Twitterやブログの更新が停止している事が多く、中には心を病んでしまったかのような痕跡を残している人もいた。

生き残って活動を続けている人は、本当に極少数だった。ここでは個別に例をあげないが、興味ある人は各自自分が見たことがある炎上案件をもう一度思い出して検索してみるといいだろう。

 

僕もネット歴はそこそこ長いのでネガディブなコメントやら言及やらをされる事はそれなりにはあるのだが、正直あれはキツイ。たぶん批判的な意見を書いている方が思っている以上に、こっちには精神的ダメージがくる。

 

よくディベートを嗜んでいそうな人が「批判的な意見を言うのはあなたの人格を攻撃しているのではなく、あなたの意見を批判しているのだ」っぽい事を言っている事があるが、その領域に到達できる人間はあまり多くはない。

自分の意見は自分の人格より生み出されし何かであって、そう簡単にバッサリ人格と切り離せるようなものではないのである。

一人の人間から批判されるだけでも結構グサッとくるのに、炎上という形で大勢からのネガティブな意見をぶつけられた人がどうなるかだなんて、火を見るより明らかじゃないか。真摯に批判に向き合う前に、潰れてしまうのが関の山だ。

 

インターネットで創作活動をおこなおうと思っている人に覚えておいて欲しい、たった1つの事

ドラゴンクエストというゲームがある。レベル1からスタートして、徐々に研鑽を積み、最後に大魔王を倒してエンディングを迎える国民的なRPGである。

ドラクエで最初の町から物語が始まる際、一番初めに戦う相手はスライムだ。スライムはレベル1の勇者が比較的余裕をもって倒す事のできる相手であり、それを相手に場数を踏むことで勇者はレベルアップできる。

こういう風に、段階を踏むことで勇者はしょぼかった何かから、徐々に強きものへと変貌を遂げていく事ができる。

 

インターネットでの文芸活動は実はドラクエとよく似ている。

相手はスライムではなく、批判的な意見ではあるが。批判にゆっくりと向き合いながら、徐々に徐々に文章力だとか影響力を増していく事ができる人のみが、しょぼかった何かから強きものへと変貌を遂げていく事ができる。リアル・ドラクエである。

 

よく「人の批判などいちいち気にしていても仕方がない」という人もいるが、個人的にはそういう態度は長いインターネット生活をおくるにあたって、あまり適切なプレイスタイルだとは思わない。

現実世界で人に失礼なものいいをする人間がろくな存在じゃないのと同様、インターネットでも反応がある事がよいことだという風に何でもかんでも扇動的になってしまうのは問題だ。

 

読者に喜んでもらうがために文章を書くというのが本来のスタート時の心意気だったのが、PVが稼げりゃ炎上でも上等という風に読者を不快にさせるようなものしか生み出せないような存在になってしまったら、それはもう作者としておしまいだろう。

あなただって読んでて自分が不快になるような記事ばっかりが連載している雑誌を好んで買おうとは思わないだろう。僕だってそんな雑誌は買いたくない。人間、誠実さが一番である。

 

だから、これを読んだ人の中で今後現実世界ないしインターネット等で何らかの活動を行おうと思っている人がいたら、これだけは覚えておいて欲しい。

批判はできる限りでいいからキチンと向き合ったほうがいい。これはもう、間違いない。

 

言ってることが正しいとか間違ってるとかそういう事は置いといて、やっぱり人から批判されるという事は、なんらかの落ち度が作り手には絶対にあるのである。反省すべきこと、学ぶべき事がそこには山のようにある。

これは自分自身も作り手・受け手、両方の側面からかなり痛感しているのだけど、ネットで人が何かを批判する時、内容が合ってるだとか間違っているだとかよりも、モノの言い方や態度が悪すぎるという事に端を発する事が非常に多いと思う。

文面から滲み出る傲慢さはどんなにロジックを駆使して綺麗に形を整えても隠しきれるものではない。

 

言っている事がいくら正しくても、人はうちに秘めた傲慢さや暴力性に結構敏感なのだ。力がある人は、やはりその力に責任を持たなくてはいけない。

趣味としてのインターネット空間の主人公は大衆であり、そういう場所で文芸活動を行う人間は、やはり能力に責務を追うべきだというのが一般的な認識だろう。

 

だからネットで創作活動を行う人は、出来る限りで構わないから批判的な意見をキチンと検証できるようになっていって欲しいなと思う。批判に向き合う事ができるようになると、読者の事を考えて力を使う事がだんだんとできるようになる。

現実世界でいうところの丁寧で礼儀正しいものの言い方のようなものだ。

繰り返しになるが批判にしっかりと向き合うのは本当にキツい事なのだけど、これは本当に大切な事なのでできる範囲でいいからゆっくりと初めていって欲しい。たぶんそのキツい体験は、後々の大切な資産になるから。

 

半年ROMれの真意

かつて2ちゃんねるというサイトで「半年ROMれ」という単語が新参者にぶつけられる事があった。

半年ROM

半年ROM、または「半年ROMってろ」とは、その場の空気を読めないレスやコメントをした者に対して使われるネット用語である。以下のように使われる。

475 名前: ひろゆき@どうやら管理人 ★ 投稿日: 04/07/16 04:28 ID:???
banananってなんだろう?
496 名前: 動け動けウゴウゴ2ちゃんねる 投稿日: 04/07/16 04:38 ID:LODdbtec
>>475

半年ロムってろ

当時インターネット初心者であった自分は、この言葉を「なんて傲慢なものいいだろう」と思っていたのだけど、今思うとあの言葉は実に含蓄深いものがある。

 

今現在になってからこの「半年ROMれ」を自分なりに読み解いてみると、「キチンとルールを把握してから場に参加しなさい」という風にも読めるし、「何をやっても攻撃される時は攻撃されるんだから覚悟してから場に参加しなさい」という風にも読める。

 

半年というタイムスパンがまた絶妙だ。

それは「少なくとも今、お前はここに来るべきではない」という事の意思表示であり、半年分の覚悟を高速で習得するのかゆっくりと習得するのかは言われた側に一存されている。

 

この記事を読んだ人の中にも、将来インターネットで活動を行ってみたいと思っている人がいるかもしれない。

個人的には面白いコンテンツがネットに増える事は心の底から歓迎するので、あなたの参戦は心から歓迎するのだけど、年長モノとしておせっかいのような事を1つだけ言わせてもらうとすれば、「半年ROMれ」の精神をいつまでたっても忘れないで欲しいな、とは思う。

 

これを無視してちょっと過激な事でもかいて、つい貰い事故のような形で炎上を食らってしまうと、上に書いた炎上した人達と同様、批判に心が耐えきれずに一瞬で精神が崩壊してしまう。

批判は出来る限り向き合うべきだが、炎上は常人には到底耐えられるものではない。あれは風来のシレンでいうところのモンスターハウスみたいなもんで、一瞬でタコ殴りにされてゲームセットである。くれぐれも慎重に慎重を重ねながら、良質なコンテンツを作っていって欲しい。

 

炎上を避け、褒め言葉を糧にしつつ、批判に誠実に対応していくことさえできれば、あなたの勝利は約束されたようなものだ。いつかきっと魔王だって倒すことができるだろう。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

【プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように

noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki

(Photo:sassyfras;)