仕事で知らない言葉に直面したとき、あなたならどうするだろうか。
例えば会話の中に出てきた場合、
・聞き返せる相手だったら聞き返す。
・聞き流してあとで調べる
のどちらかだろう。
また、会話以外で出てきた場合は、
・先輩や周囲の知っていそうな人に聞く
・インターネットや書籍等で調べる
のどちらかだろう。
いずれの場合も他人に聞くか自分で調べるかのどちらかである。
聞き返したり質問したりすれば、相手に少なからず迷惑がかかる。
しかし、自分で調べるとしても多少時間がかかってしまうため、タイムラグが発生し、その分仕事が滞る。
というわけで、「知らない言葉」に直面した時点でどちらを選択しても多少の迷惑はかかると言える。
でも、仕事では、それだけで関係が切れることはない。
なぜなら目的はコミュニケーションを楽しむことではなく成果にあるからだ。そのためにあなたには働いてもらう必要がある。
また、仕事をするためにあなたに知識を身につけてもらう必要があるので、むしろ知ろうとする姿勢は素晴らしいと評価されるかもしれない。
つまり、仕事において「知らないことを知ろうとする行為」は、マイナスだったとしても致命的にはならず、プラスになる可能性すらあるということだ。
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では、日常会話においてはどうだろうか。
先日、飲み会で誰かがこう言っていた。
「頭悪い人と話すと疲れる」
別の人が「わかる」と同意した。
どういうことか詳しく聞いてみると、
・2割引と3割引の違いをわかってくれない。割引だから安くなっているということはわかっているが、2割引と3割引はどちらが安くなるのか、いくら割引になるのかはわかっていない。
・たとえ話で歴史人物を出しても伝わらない。
・光合成を知らない。「植物を太陽の当たるところに置いて光合成させよう」と言っても伝わらない。
といった具体的な話が出てきた。
つまり、当然知っているだろうと思って使った言葉が伝わらなくて会話がスムーズに進まなかった、ということだ。
自分が知っている言葉は相手も当然知っているだろう、という態度は傲慢だと思うけれど、ある程度共通の言語があると想定して話さないとそもそも会話を成立させることは難しい。
「義務教育レベルのことを知らないとさすがに疲れる」と言われ、納得してしまった。
相手の「わからない」回数が多くて、その度に説明するのは確かにストレスに感じるだろう。
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我が身を振り返ってみた。
よく一緒にご飯を食べる先輩で、日本語に精通している人がいる。
会話に知らない四字熟語や諺がたくさん出てくる。その度に私は「えっ?」と聞き返し、「すみません、調べさせてください!」と言って検索する。
はっきり言って、先輩にとっては迷惑である。でも、先輩はいつも笑顔で待ってくれ、解説もしてくれる。ありがたいことだと思う。
同様のことが別の人との間で起こったら、相手はストレスを感じ、だんだん関係が遠のいてしまうかもしれない。
仕事以外の人間関係では、「これを絶対に伝えなければならない」という目的があるわけではなく、コミュニケーションそのものを楽しむことが多いので、そのコミュニケーションが滞ってしまうと、関係性に良くない影響があってもおかしくない。
特に恋人同士のような親密な関係であればあるほどコミュニケーションのストレスは大きくなり、最悪の場合別れることになってしまう。
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知ろうとする努力は、仕事においては認められる。『聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥』という諺もある。でも、聞かれる側はストレスを感じるのだ。
「感情を持つ人間だもの、イラっとするのも仕方ないよね」と思う一方、自分自身が知らないことだらけで質問することの多い人間なので、都合良く「大目に見てくださいよ~」なんて気持ちになったりもする。
相手にストレスを与えておきながら「大目に見てください」というのもおこがましいので、そこは相手との関係性次第ということになってしまうが、せめて自分自身の心がけとして、今後誰かの「わからない」に直面にしたときは、先輩が私の「わからない」も含めて楽しいコミュニケーションにしてくれたことを思い出しながら会話をしたい。
ではまた!
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ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
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【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
[著者プロフィール]
名前: きゅうり(矢野 友理)
2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。
著書「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)
(Photo:Mario Piperni)