こんにちは。株式会社ネットプロテクションズ、執行役員の秋山です。

昨今、政府主導で進められている「働き方改革」に絡んで、生産性というテーマが大きく取り上げられることが増えたように感じます。

 

もちろん弊社でも「生産性向上」は創業時代からの大きなテーマです。

しかし、ニュースなどを見ていると、世間一般で言われる生産性と、私共が思う生産性とが少々食い違うところも多いように感じます。

それはひょっとして、「生産性向上」という言葉と「効率化」という言葉が、同一視されているからかもしれません。

 

しかし、この2つは全く異なる概念だと考えています。

なぜこのような食い違いがあるのか、何が生産性の本質なのか、今回はそんな話を書いてみたいと思います。

 

「生産性が高い」とは何を意味しているか

議論はまず、言葉を定義するところから始めたいと思います。

最初にはっきりとさせたいのは、「生産性が高いこと」が、一体何を指しているか、です。

 

「仕事が速いこと」でしょうか?

それとも、政府が言うように「残業時間をへらすこと」や「自宅勤務ができること」でしょうか?

はたまた、よく言われる「業務の効率化」でしょうか?

 

いずれの案にも、一理あります。

しかし、ここには大事な視点が一つ、抜けています。

それは「会社の成果」という観点です。

いかにたくさん仕事をしても、早くタスクをこなしても、「成果」に繋がらなければ意味はありません。

 

そこで私たちが定義している「生産性」とは何か、という話になります。

私たちは「生産性が高いこと」を次のように定義しています。

「生産性が高いこと」=「成果に直結するアクションに対して、レバレッジを効かせて取り組むこと」

 

しかし、この定義には2つほど難解な言葉が含まれています。

1つは「成果」という言葉。

もう1つは「レバレッジを効かせる」という言葉です。

いずれも意味は自明ではありませんので、少し詳しく見ていきます。

 

成果とは何か

「成果」とは何でしょう。

もちろんこれに一般的な正解はありません。

「売上」という会社もあるでしょう。また「利益」という会社もあるでしょう。それは、各企業の経営者が決めれば良い話です。

 

しかし、私たちは成果を単純に「売上」や「利益」と同一であるとは考えていません。

なぜならば、メンバー各々が取り組んでいる施策は、短期的には売上や利益とのつながりが見えにくいものも数多くあるからです。

「その施策は3ヶ月先の売上になるのか?」

「その計画は1年先の利益に直結するのか?」

そんな目の前のことばかりを気にしていたら、緊急ではないが重要な施策、例えば、「20年先に、業界の中で圧倒的な優位を誇るための施策」に時間を割くことができないでしょう。

それは、私たちの望むところではありません。

 

そこで、私たちは「成果」を以下のように定義しています。

成果 = 会社のミッションに寄与する価値

私たちの場合であれば、「つぎのアタリマエをつくる」ことにどのくらい寄与するかということになります。

これは一見曖昧に見えますが、非常に強力な定義です。

この定義を採用していると、自分のやっていることが、「つぎのアタリマエ」につながっているかどうかを、メンバーが自らチェックし続けることができるからです。

 

実際、私たちは半期に一度、自分の行っている全ての活動が「つぎのアタリマエをつくる」というミッションに寄与しているか、つまり、弊社で言う「成果」が出る活動に従事しているかどうか、チェックを行っています。

 

「レバレッジを効かせる」とは

そしてもう1つの「レバレッジを効かせる」という言葉です。

レバレッジとは、「テコ」という意味ですが、これは「小さな力で大きな成果を得る」ことの比喩表現です。

 

具体的に言えば、弊社において「レバレッジを効かせる」とは、成果に直結する「コア業務に特化する」事を示します。

そして、弊社における正社員が行うべきコア業務は、「企画」と「マネジメント」です。

 

正社員はこの2種の仕事にリソースを割くべきという方針があり、これに該当しない業務はできる限り、その業務を専門的に実施している協力パートナーなどにアウトソースする、という方針をとっています。

バックオフィスの事務業務をはじめ、コールセンター業務、そして営業活動ですら、弊社においては、マネジメントする社員をつけながら、業務を標準化し、外部の協力パートナーの力を借りて行っています。

 

なぜこんなことをするのか。

それは、「より生産性が高い状態」を維持するためです。

 

コールセンターは「コールセンターを専門に行うプロフェッショナル」のほうが、多くのノウハウを有しています。それ故、私たちがやるよりも、プロにお願いするほうが、その業務単体での生産性は高いでしょう。

同様に、営業活動にも新規開拓や市場調査(顧客からのヒアリング)など色々ありますが、「売る」という業務においては、「営業のプロフェッショナル」のほうがノウハウを持っています。

だからこそ、自社の強みが活きる業務以外は、その道のプロの力を借りるほうが、生産性は高いのではないでしょうか。

 

つまり、私たちがやるよりも、外部のプロフェショナルにお願いしたほうが生産性が高い業務は、協力パートナーに行ってもらう。

そして、私たちはそういった様々なプロフェッショナルのマネジメントと、パートナーに扱ってもらう「商品/サービスの企画」に特化する。

それが最も、全体として「生産性が高い」状態、すなわち、レバレッジを効かせた状態、といえるのではないかと考えています。

 

「企画」と「マネジメント」では短期的な成果を追わず、中長期的な価値の最大化が重要

先述のような理由で、弊社の正社員は「企画」と「マネジメント」に特化して業務を行っていますが、もう1つ重要な事があります。

それは、このような業務では短期的な成果を追わず、中長期的な価値を最大化することを目指すため、あえて細々としたKPI管理は行わない、ということです。

 

企画などの「創造活動」は、ガチガチのKPI管理を行っても、アウトプットの質は向上しません。

その理由は2つあります。

1つ目は、Googleの「プロジェクト・アリストテレス」*1が明らかにしたように、チームの知的パフォーマンスを高めるカギが、「心理的安全性」にあるからです。

成果に追われ、恐怖に駆り立てられている状態では、人は知的な振る舞いが制限されてしまいます。

 

もう1つは、弊社が求めるような「自分で考え決断し、行動できる」人物ほど、管理を忌避するからです。

我々のような「企画」で差別化を図っているような企業においては、いかにそのような人物をひきつけ、かつその人にとってやりがいを感じられるような機会をつくり続ける必要があります。

裁量権のある自由な風土は、前述したような人物にとって最適な環境となるでしょう。

 

私たちが考える「生産性向上」は、KPIや厳しい数値管理とは、全く別のことなのです。

逆に「効率化」は、数値目標やKPIが重要です。「どれくらい改善されたのか?」は、数値化をしなければ見えません。

 

このように、「生産性向上」と「効率化」は、管理手法も大きく異なります。

 

 

「真の生産性向上」と「効率化」とは全く異なる

ここまで述べたように、弊社において「生産性向上」は、「効率化」とは全く異なる試みです。

 

「生産性向上」とは、コア業務への集中を指し、そもそも自社でやらなくても良い(外部パートナーにお願いした方がパフォーマンスが高い)業務を「なくす」ことに全力を注ぎます。

それに対して「効率化」とは、「今までやっていたことをもっと早く、もっと低コストでできるようにする」ことです。

どちらも大事なことではありますが、21世紀型の、イノベーションを目指す組織を作ろうとすれば、必然的にコア業務に集中し「生産性向上」を目指すべきであると、私たちは考えています。

 

もちろん、この考え方は弊社だけのものではありません。

多くの組織で現在、「効率化」だけではなく「生産性の向上」が求められていることは明白であり、社会全体の課題と言って良いでしょう。

そのため、弊社は事業の領域を「生産性向上」にも拡張し、顧客に対して「生産性向上」の支援をするようになりました。

 

例えば、弊社はBtoBサービス領域において、企業間決済のアウトソーシングサービスをお客様に提供しています。

(参考:企業間決済サービス「NP掛け払い」

これは、与信・請求書発行・入金確認・回収/督促を弊社、ネットプロテクションズにアウトソースすることで、その企業の正社員リソースをもっとコア業務に振り分けていただくことを目的としたサービスです。

すでに、導入実績は1,000社を超え、累計利用企業数も100万社を突破しています。

 

私たちも、他社から請求業務という「非コア業務」を受託し、さらに弊社は弊社で、外部へコールセンターや営業など「非コア業務」をアウトソースしています。

結果的に、それぞれの会社がそれぞれの持つコア業務に集中することで、世の中はもっと「全体最適化」され、生産性は高まることでしょう。

 

このように、真の「働き方改革」は効率化ではなく、全体最適による生産性の向上にあります。

それにより、社会全体で本質的な価値創造をしていくような、そんな「つぎのアタリマエ」をつくっていければと思います。

 

 

*1(参考:New York Times What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team)

 

◯ネットプロテクションズ コーポレートサイト:https://corp.netprotections.com/

◯BtoC通販向け 後払い決済「NP後払い」サイト  :https://www.netprotections.com/

◯BtoC取引向け 後払い決済「NP後払いair」サイト  :https://www.netprotections.com/air/

◯BtoB取引向け企業間後払い決済「NP掛け払い」サイト :

https://frexb2b.jp/

◯BtoC向け 会員制決済「atone」サイト :

https://atone.be/

 

 


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