近年、新卒採用時に企業が学生に求める能力の代表が「コミュニケーション能力」となっています。
実際に、2013年の厚生労働省の労働白書によれば、1990年代には上位5位にすらランクインしていなかった「コミュニケーション能力」が2012年時点には大きく順位を伸ばして3位にランクインし、逆に「創造性」や「専門知識」はそのランクを落としています。
もちろん、これは新卒に限った話ではありません。中途採用においても、まず多くの企業が気にするのは、その人物の「コミュニケーション能力」であり、そのほかの能力は、コミュニケーション能力があることを前提として判断しているようにも見えます。
しかしなぜ、現代はこれほどコミュニケーション能力が重視されるのでしょう。
1つには、ますます知識が専門分化しており、「専門家同士の協力」なくして、成果をあげることができないという現実があげられます。
誰もたったひとりで、膨大な範囲に及ぶ企業活動を支えることはできません。
たとえば、webサービスの運営ひとつをとっても、アプリケーションプログラマ、インフラエンジニア、デザイナー、マーケター、ビジネスプロデューサそれぞれに、深い専門知識が求められ、しかも彼らの知識が有機的につながらなければなりません。
また、自社だけではなく、広告代理店のメンバーや、フリーランスのエンジニアが出入りしており、彼らのマネジメントを行うマネジャー、法的なリスクについては法務など、携わらなければならない専門家は膨大な人数に登ります。
それが現代の「知識労働」の本質です。したがって、専門家は「専門知識」と「コミュニケーション能力」の両者を兼ね備えてはじめて、会社の業績に貢献できるのです。
2つ目には、「会社のコアメンバーが行う定型業務の減少」があります。
高度経済成長時には企業は「定型的な仕事」を効率よく、コストを低く押さえて回す方法が問われていました。
ところが現在は、中小零細規模の企業に至るまで、「定型的な業務」はソフトウェアやクラウドソーシング、外部リソースに委託し、付加価値の高い領域に集中して業務を行わなければ、競争に勝ち抜いていくことができません。
すると、会社のコアメンバーが行う仕事は必然的に、クリエイティビティが求められる非定型業務です。
しかし、非定型業務は本質的に「試行錯誤」を含みます。つまり、「試してみなければわからない」「失敗したら改善してやり直す」というサイクルを回し、じょじょに成果が出るように仕事の質を高めていく過程を必ず含みます。
そしてこの「改善活動」は、1人ではできません。改善をする、ということは、さまざまな視点からアイデア出し、より成果につながるアイデアを求める行為にほかならないからです。
したがって、ここにおいても「コミュニケーション能力の有無」は、死活問題なのです。
前述した理由から、「コミュニケーション能力」に悩む人は、近年とても増えているといえるでしょう。
私も企業コンサルティングの現場において、適切なコミュニケーションがとられていないばかりに多くのリソースを無駄にしている、たとえば次のようなケースを見てきました。
・無駄な会議
・上司の指示と部下の行動の食い違いによる摩擦
・プロジェクトの崩壊
・納得感のない人事評価
・職場の人間関係の不和
このようにコミュニケーション能力の不足に端を発するトラブルは、枚挙にいとまがありません。
*******
以上は、本日刊行される拙著のまえがきからの抜粋です。
現場では、コミュニケーション能力の不足が仕事に深刻な影響を及ぼしており、企業の生産性を下げる要因の一つともなっています。
ではこの事態にどう対処すべきなのでしょう。
個人的には「仕事におけるコミュニケーション能力」について、実践的な理解を深める必要があると感じます。
例えば、下のような記事が役に立つはずです。
人事部が学生に「学校」と「会社」の評価のちがいについてホントのところを説明した。
「学生のコミュニケーション」と、「社会人のコミュニケーション」の本質的なちがいは、というと、それは次の3つに集約される。
1.「成績」から「貢献度」
2.「公平」から「不公平」
3.「評価軸が一つで分かりやすい」から、「評価軸が複数で、わかりにくい」
4.「ルールを守る人の評価が高い」から、「ルールを作る人の評価が高い」
また、コミュニケーション能力は理解するだけでは不十分であり、礼儀作法や道徳と同様、現場で実践してこそ磨かれる力であると思います。
そこに必要なのは、下の記事に示されたような「致命的な失敗」を回避することではないでしょうか。
「コミュニケーションが不調で、お互いに不信感を持ったり、いがみ合ったりしているプロジェクトやスタートアップって、大抵「察してくれ」が多すぎるんだよ。」
「具体的には?」
「例えば、トップに対して「困ってたら助けてくれるだろ」と思って助けを自分から求めないケース。結果的に締め切り寸前に「すみません、納期を遅らせてもらえませんか」といって揉める。」
「ああ、そういうこと」
「「こっちは困ってんだから上司が察してくれよ」に甘えてる、というわけだ。」
そこでこの本においては上の2つのように、
「コミュニケーションの理解」と「コミュニケーション能力の向上」
という2つのテーマに関するエピソードを、Books&Appsの過去の2000本以上の記事から厳選して抜粋し、加筆、修正、編集しました。
いずれも、仕事をする中での気づきをもとに書かれたものです。
知識労働に面白い仕事が集中する今、コミュニケーション能力無くして楽しい仕事にありつくことは不可能と言っても差し支えないと思います。
この本が「コミュニケーション能力が低い人には、面白い仕事が回ってこない」時代において、万人が楽しく仕事をするための一つのヒントになることを願います。
製薬・バイオ企業の生成AI導入は、「試行」から「実利」を問うフェーズへと移行しています。 (2026/01/19更新)
単なる理論ではなく、現場で成果を出す生成AI活用の“実装方法”を知りたい方に最適なウェビナーです。
本セミナーでは、製薬・バイオ企業でのPoC(概念検証)から得られた実データとノウハウを元に、「どこにAIが効くのか」「どこが難しいのか」を明確に解説します。

【開催概要】
・開催日:2026年2月12日(木)
・時間:12:00〜13:00
・形式:オンライン(Zoom/ログイン不要)
・参加費:無料(定員150名)
本セミナーでは、13チームのPoCで時間を50〜80%削減したノウハウを余すことなく共有します。適用可否の見極め、評価設計、失敗領域への対応方法、全社展開のガバナンス設計まで、実践的な内容です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
・製薬・バイオ・化学業界のDX/業務改革担当者
・AI導入プロジェクト責任者・企画部門・法務・人事などの全社展開担当者
・PoC設計や効果測定の「型」を学びたい方
・自社の生成AI活用を確実な成果につなげたい実務担当者
【セミナーの内容】
・生成AIの“適用可否”を短期間で見切る方法(PoC設計・評価の型)
・現場で成果を出すAI活用ノウハウ(バックキャスティング/プロンプト構造化 等)
・適用が難しい領域(PowerPoint・OCR 等)の整理と次の打ち手への転換
・横展開に向けたガバナンス設計とナレッジ共有
【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、
メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。
【お申込み・詳細】
こちらのウェビナー申込ページをご覧ください。
【著者プロフィール】
・安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)
・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント
・すべての最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ
・ブログが本になりました。
・「「仕事ができるやつ」になる最短の道」のオーディオブックもできました。
(Photo:Denis Messié)















