子供が生まれてから、「シンデレラ」などの童話に触れることが増えた。

これはディズニーのマーケティングの影響が大きく、あらゆる子供用のグッズにディズニーが入り込んでいるためだ。

 

もちろん、子供はほぼ例外なくディズニーが好きだが、ディズニーは物語の原作を童話から得ているため、

「これはなんのお話?」と聞かれると、ディズニーのアニメよりも「どうせなら原作も読ませたい」となんとなく思ってしまうので、ついAmazonで童話を買ってしまう。

 

例えば

「リトル・マーメイド」は、アンデルセンの「人魚姫」

にんぎょひめ (いわさきちひろの絵本)

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  • アンデルセン,曾野 綾子,岩崎 ちひろ
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「塔の上のラプンツェル」はグリムの「ラプンツェル」

ラプンツェル

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  • グリム 原作,サラ・ギブ 絵,角野 栄子
  • 文化出版局
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「アナと雪の女王」はアンデルセンの「雪の女王」

雪の女王 新装版

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  • ハンス・クリスチャン アンデルセン,バーナデット ワッツ,Hans Christian Andersen,Bernadette Watts,佐々木 田鶴子
  • 西村書店
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「シンデレラ」はグリムの「灰かぶり」

シンデレラ

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  • グリム 原作,サラ・ギブ 絵,角野 栄子
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その他にも白雪姫や眠れる森の美女、さらにはアラビアン・ナイトなどがある。

残念ながら、ディズニーはエンタテインメントを追求するあまり、物語の殆どをハッピーエンドに、あるいは冒険譚にしてしまうため、原作が跡形もなくなっていることが多く、特に人魚姫などは「お話がディズニーとは違う」と娘からクレームが来る。

 

さて、童話作家の中で代表的なものはアンデルセン、グリム兄弟、そしてイソップだ。

この3名の寓話は圧倒的な地位を占めており、触れたことのない人はほとんどいないだろう。

残念ながら成長するに連れ「童話」に触れる機会は少なくなったが、読み返してみると深い洞察も多く、記事を書く際に学ぶべきものもたくさんある。

 

そして、上の3名のなかで特筆に値するのは「イソップ」である。

アンデルセンもグリム兄弟も19世紀の人物だが、イソップだけは異なる。

 

驚いたことに、イソップは紀元前600年頃のギリシャの奴隷で、ヘロドトスの「歴史」に名前が登場する人物だ。

*参考文献

アイデアのちから

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40年も生きてきて、イソップがそれほど昔の人物であるとは、恥ずかしながら知らなかった。

 

 

客観的に見れば、イソップの寓話は「聖書」の600年以上昔から、さらに「論語」よりも100年以上長く読み継がれている。

それほど人間の本質に触れる物語だということだ。

 

「アリとキリギリス」……備えあれば憂いなし

「オオカミ少年」……嘘をつくと信用を失う

「金の卵を生むガチョウ」……成果を性急に出そうとすると、かえって損をする

「北風と太陽」……強制しても人は動かない

「金の斧と銀の斧」……正直者には報いを、嘘つきには罰を

「酸っぱいブドウ」……手に入らなかったものを蔑むのは簡単だ

「うさぎとかめ」……努力継続することが重要

 

などビジネスシーンでも、よく例え話として利用される寓話の殆どが、イソップによるものである。

むしろ、「自己啓発」の源流はイソップなのかもしれない。

 

余談だが、弊社では以下の分類に従って、「本を分類」している。

「千年本」・・・千年以上読み継がれた本。名著、とよぶ域を超えた本。意識はしていないが、この本のどれかに誰もが必ず影響を受けている。世界の思想の底流をなす本。

「百年本」・・・百年単位で読み継がれた、あるいは読み継がれそうな本。いわゆる「古典」多くの思想や技術に影響を与えた人類の至宝。

「十年本」・・・これから歴史の評価に耐えられるかどうか、試されている本。「本当に良い本」、「出会ってよかった」と同時代の多くの人が思う良本。

「一年本」・・・いわゆる「ベストセラー」にはなったが、その後決して読み返されない本。

「ゴミ本」・・・そのままゴミ箱に直行する本。

 

イソップの寓話は「千年本」だ。

子供の本だとバカにせず、大人になってから読むと、また味のある楽しみ方ができるのではないだろうか。

 

 

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)

  

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