「君たち、よい結婚というものは果たしてどういうものだと思うかね?」

これは僕が駿台予備校で浪人していた頃に聞いた話の1つだ。この雑談は僕の人生で、最も役に立った話の1つである。

 

僕はその当時、結婚というと好きな人と恋愛の果てにするものだという漠然としたイメージをもっていた。なので後述する彼が定義する「よい結婚」の条件を聞いて随分と奇妙な印象を抱いたのを今でもよく覚えている。

 

彼は続いて以下のような話をした。

「君たちのご両親はなんで結婚したんだと思う?」

「好きだから?相手が愛してくれるから?」

「違うよ。この人となら50年位は一緒に生活していける、って思ったからだよ」

 

先述したとおり、その頃の自分は恋愛の末に訪れるものが結婚だと思っていた。

故にこの予備校講師の結婚論が当初、随分と奇妙に思えた。「50年位は一緒に生活していける」って、どういう事か訳がわからんわって感じにね。

 

けど後に何度かの恋愛を経験し、脳科学の本などを読み進めていくと「あの話は随分と含蓄深い話だったのだな」と思えるようになっていった。

というわけで今回は僕の結婚観についての話をしようかと思う。

 

愛は3年しか持たない

人類学者であるヘレン・フィッシャー博士は著書『愛はなぜ終わるのか』で、「多くの場合において、愛は3年程度で終わってしまう」と述べている。

この効用も作用してか、結婚して4年目のカップルが最も離婚に至る率が高いのだという。

 

あなたも、ひょっとしたら雷に打たれるように一目惚れしてしまった経験があるかもしれない。

このように、人生に輝きを与えてくれる「好き」という恋愛感情だが、脳科学的にはドーパミンの分泌の結果得られるものだという事がわかっている。

まあ、つまるところ脳内麻薬によるドーピング反応と思ってもらえば差し支えない。

 

このドーパミン分泌だけど、残念な事にずっとは続かない。

持続期間はせいぜい3年程度が関の山であり、はじめの頃はあんなにもキュンキュンさせてくれた「恋心」という感情は、徐々に終わりを迎えてしまう。恋の始まりは突然だけど、終わりは定時退社なのだ。

 

これだけだと納得しない人もいるかもしれないので、今度は別の形で恋心がいかに不安定なものなのかを説明しよう。恋心が持続しないのは、片思いの感情からでも説明可能だ。

 

あなたが人生で生きてきて、今まで好きになった人の顔を思い浮かべてみよう。

あなたは今現在、その人の事を好きになった当時と同じぐらい、好きだという感情を持ち続けられているだろうか?ぶっちゃけ、今現在は全然好きでもなんでもない存在だってのが関の山なんじゃないだろうか。

 

悲しいことに片思いですら、恋心は長くは持続できないのだ。恋は確かに素敵なサムシングではあるかもしれないけど、同時にすっごく脆いものでもあったのだ。

 

「なんだそのソニータイマーみたいな設定。誰も教えてくれなかったじゃん。愛は永遠ってみんな言ってたじゃん」

こうして愛というものに対して信用をほとんど無くしてしまった自分は、冒頭の予備校講師のいうところである「耐用年数50年はどういう状況設定下で生じるだろうか」という事を真面目に考える事になった。

 

結果、一応なんとかそれに相当するものを見つける事はできた。それは友情である。友達なら50年どころか100年でも1000年でも場合によっちゃ成立するなと思ったのだ。

 

幸福な結婚は愛の先にあるものではなく、友情の先にある

さて愛はどうやら3年で終わるらしい。しかし結婚は3年で終わらせるわけにはいかない。

できればやっぱり、50年ぐらいは上手く継続できるのが望ましい。

 

では50年続く人間関係とはどんな形態がありえるだろうか?

いろいろ考えた結果、僕は「それは友情しかないじゃないか」と思ったのだ。50年続く友情なら、50年続く恋なんかよりかはよっぽどありえそうだって思ったのである。

 

考えてみると友達というのは不思議な関係だ。それは基本的にはメリット・デメリットで形成されるような関係ではない。たまたまウマが合った結果、人は友達になるのである。

そこで僕は今までの友達を頭の中でリストアップしていき、どんなタイプとなら50年人生を一緒に歩めそうかを書き出していった。

 

結果だけど、情緒不安定だったり嘘をつくといった根本的に一緒にいて辛い要素を持たない、人としてキチンと信用できる人とならば50年ぐらい一緒にいてもなんとかなるんじゃないだろうかという結論に至った。

一言で言うと「人を無闇に試してこない人」とでも言えるでしょうか。誠実さって結局のところ相手を試さない事に行き着くな、と思うのですよね。

 

結婚は、結局のところ信用に行き着く

僕は結婚は投資に凄くよく似ていると思う。もう本当に瓜二つだ。

 

具体的に考えてみよう。あなたの目の前に若手起業家がおり、出資を願いこんできたとする。彼は自分の事業計画を巧みにプレゼンし、自分に出資すると大きなリターンが帰ってくると熱演している。

では、どのような時、あなたは彼に投資するだろうか?事業計画が儲かりそう?相手が仕事ができそう?まあ様々な意思決定の仕方があると思う。

 

ここでプロの意見を参考にしてみよう。

直販系投資信託会社のトップであるレオス・キャピタルワークス社長であり、ひふみ投資を運営されている藤野英人氏によると、最終的に出資を頼まれた企業に投資を決める決定だとなるのは以下の2つだという。

1つ目は彼が誠実であり、嘘つきではない事。

2つ目は彼の事が人として好ましく思え、かつ友達になれそうかという事。

 

この2つにYESといえるかどうかが、人に出資を決める最終条件だそうだ。嘘つきは信用できないし、友達になりたくないような人間も同じぐらい信用できないからだというのが、その理由だという。

 

確かに信用できない人間に、お金なんて出資したいかっていわれると、100%ノーだ。そんなのは泥棒にお金を預けるのと同じぐらい、無為な行いだ。

結婚だって同じだ。嘘つきには自分の半身は預けられないし、人として好きになれそうにない人に半身を預けるのなんて、もっとごめんだろう。

 

まあ一言で言うと「あんた、そいつの事、心の底から信用できるの?」ってとこなんじゃないですかね。

心の底から相手を信用できるのなら、マイクロソフトとかソフトバンクみたいに、結婚後はお互い急上昇で成長していきますって。

 

まあ僕の結婚観はこんな感じです。まあ、こんなにロジカルに結婚を決めたわけじゃなく、最後は「えいや。後は野となれ山となれ」って思った部分もあったのは事実ですけどね。

良い人との結婚は良いものですよ。これはもう間違いない。結婚、ちょーオススメです。

 

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

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(Photo:Erich Ferdinand)