気になってウズウズしたのでTwitterで聞いてみた。
性自認も女性である人が対象なのに27%ってかなり多い印象。あと、意外と他者の視線って関係ないのかなーって思った。「今はあった方がいいが無人島ではなくていい」がたったの14% pic.twitter.com/HfyOIdWwpG
— きゅうり(矢野 友理) (@Xkyuuri) 2017年9月19日
(個々の票数は小数点以下で四捨五入しているため、合計は合わない。)
「質問の対象外/閲覧用」を除外すると、次のようになる。
・今も無人島でもあった方がいい 41%
・今はあった方がいいが無人島ではなくていい 20%
・今も無人島でもなくてもいい 39%
理由を書いてくれた方も何名かいて、人それぞれの理由があることがわかったし、回答者に偏りがある前提のデータなので、この割合を見て何か結論めいたものを出すことは難しい。
それでも質問の対象となっている女性で、かつ閲覧目的ではない(はずの)人から500票以上集まった結果なので、少し所感を書いてみたいと思う。
そもそもなぜこのようなアンケートをしようと思ったのか。きっかけは、先日初めてお会いした方との会話である。
「どんな本が好きなんですか?」と聞かれた。
「中村うさぎさんの本が好きです」と答えた。
「わかります、面白いですよね。中村うさぎさんとマツコ・デラックスさんのやり取りで好きな場面があります。中村うさぎさんは豊胸の手術をされていますが、胸はマッサージをしないと硬くなってしまうそうです。だから、自分でマッサージしているらしいんですね。それを聞いたマツコさんが『男に揉んでもらう胸を自分で揉むなんて、なんて寂しいの!』と言ったという場面。大好きなんです」
この話を本で読んだことがあるかどうかは記憶が曖昧なのだが、ふと思ったのが、中村うさぎさんは男に揉んでもらうために豊胸手術をされたのだろうか、ということだった。
もしかしたら本を読めば書いてあるのかもしれないが、残念ながら家にある本をパラパラと見てみた限りでは見つからなかった。
私の勝手な想像だが、中村うさぎさんは顔の整形もされていて、美しさや自意識、自我、アイデンティティといったものについてこれでもかというほど深く考えてこられているので、「男のため」という理由ももしかしたら少しはあるのかもしれないけれど、それ以外のもっと大きな理由があるのではないか、という気がしている。(他人の私に何がわかるのかって感じではあるけれど。)
この会話のあと、思い出したことがある。それは大学生の頃ゼミの先輩が日本における化粧について研究されていたことだ。
うろ覚えだが「誰かに見てもらう化粧から、“あそび”としての化粧へ」という話があったように思う。自分以外の誰かに見てもらいたいから、きれいだと思われたいから化粧をするケースも当然あるが、見られることを目的としていない“あそび”として化粧をするケースもある、と。そんな話だったと思う。
記憶が曖昧なのであくまでも私の印象に残っている話では、ということは強調しておきたいが、家の中で1人化粧をして遊んでいる女の子がいるであろうことは想像に難くない。
化粧は他人の視線を気にしてするケースと、他人は関係なく自分のためにするケースがある。
胸はどうなんだろう。他人の視線がなかったら、なくてもいいのだろうか。もちろん出産して母乳を飲ませるために必要だというのはわかるけれど、母乳を飲ませる対象がいなくても、自分自身のために必要だと感じている女性もいるのではないだろうか。
胸がなくなると自分ではなくなるとか、女ではなくなるとか、アイデンティティとして“胸”が不可欠な人っているような気がする。
“行為”である化粧と“身体の一部”である胸を同じ類の話だとするのはあまりに雑な括りだけれど、その必要性に“他人の視線”の影響を受けているという点は共通している。
では、胸も自分のために必要だという人はいるのだろうか。アイデンティティと関係あるのだろうか。他人に関係なく胸を必要としている人の割合はどのくらいなんだろう。その疑問をぶつけたのが、冒頭のTwitterアンケートである。
結果を見てまず思ったのが、「胸を必要としない女性、多すぎないか!?」ということである。
今も無人島でもなくてもいいという人が4割近くいる。私は「今も無人島でもあった方がいい」と「今はあった方がいいが無人島ではなくていい」が拮抗するだろうと予想していて、「今も無人島でもなくてもいい」はおまけの選択肢として一応用意していた。
だが蓋を開けてみると、なんと39%もの人が今も胸を必要としていない。「今も無人島でもあった方がいい」人と2%しか差がない。これには驚いた。
考えてみてほしい。世の中にあふれるバストアップ商品はいったい誰のためのモノなのか。
世の中にあふれるバストアップ術はいったい誰のための情報なのか。血眼になって胸を大きくしようと努力している女性がいる一方で、胸に存在意義を見出しいない女性もいるのである。
「今はあった方がいいが無人島ではなくていい」人は2割で、意外と少ない印象だ。他者の視線によって胸の必要性が変わってくる人はあまりいないようである。(2割を多いとみるか少ないとみるか次第だが。)
私が着目したいのは、「今はあった方がいいが無人島ではなくていい」「今も無人島でもなくてもいい」と回答した6割近くの人たちだ。
他人に関係なく胸を必要としている人の割合はどのくらいなのか、「無人島ではなくていい」という人の割合と比較してみようと思っていたが、それよりもこちらの方が興味深い。偏りのあるデータだとはいえ、無人島では胸は不要だという人が今も不要である人と合わせて6割もいるのは本当に驚きである。
別の部位に置き換えてみると特異さが際立つ。目や鼻、手や足、体のどこをとっても不要だと思う部分はないはずだ。
それはもちろん、それらが“機能”しているからであって、胸も出産して母乳を飲ませるときは必要だと感じるのだろうけど、逆に目や鼻、手や足がその機能を失わず、ただ形だけ消えるとなったら、そのことは受け入れられるだろうか。
自分が自分でなくなってしまう気がして必要だと感じるのではないだろうか。私だったら、自分が自分であることを認識しておくために、今の体は維持したいと感じると思う。
でも胸は生まれたときからあるものではなく途中から変化した結果として存在しているものだし、性別を規定する要素は胸以外にもたくさんある。そうなると、自分が自分であるために、あるいは自分が女であるために、胸が必要だと思うことって、もしかしたらあまりないのかもしれない。
もしくは、こう考えることもできる。胸はいわゆる“女性らしさ”の象徴だと思うのだけど、案外女性自身がそこに必要性を感じていないとすると、そもそも女性は自身の体に“女性らしさ”を求めていないのではないかと。
と、いろいろ想像を膨らませてみたけれど、もしかしたら単に胸の存在が邪魔なだけかもしれない。結局のところ1人1人に理由を聞かない限りは想像の域を超えない。ただ、たまにはとりとめのないことを胸に描いてみるのも悪くないと思うのである。
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【著者プロフィール】
名前: きゅうり(矢野 友理)
2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。
【著書】
「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)
「LGBTのBです」(総合科学出版、2017/7/10発売)
(Photo:anjan58)