静かなオフィスと、ワイガヤオフィス、仕事に集中できるのはどっち?

こんにちは。翔栄クリエイトの河口です。

弊社は「業績を向上させるオフィスづくり」を生業とする会社です。

さて最近、「他の人に気兼ねなく電話をしたいので、ワークスペースに電話ボックスを設置してほしい」という要望を頂く事があります。

「オフィスで電話をするのは当たり前」という感覚の人からすれば「えっ?」と思われるかもしれまんが、これが以外と多いのです。

 

一般的に、『人の話が聞こえるワークスペース』と『静かなワークスペース』のどちらが良いですか、と聞くと多くの人が『静かなワークスペース 』を選択する傾向にあります。

 

仕事が忙しい中、効率よく仕事をする為に静かな環境で集中したい。

でもそんな場所で声を出して電話をかけるのは周りの人に迷惑だ。そんな奥ゆかしい感覚を持っている人が、少なからずいるのです。

 

 

「静かなワークスペース」が生産性を高めるとは限らない

しかし、ちょっと待って下さい。「電話ボックス」が必要なくらい静まり返ったオフィスも悪くないですが、実は必ずしも「静かなワークスペース」が生産性を高めるとは限りません。

 

例えば「カフェは仕事に集中できる!」と感じる方は多いのではないでしょうか。カフェでは一度集中してしまうと、隣に座っていた人が知らない間に入れ替わっていたなんて事もあります。

でも、もちろんカフェは決して「静か」ではありません。

なぜカフェは集中できると感じるのか。

 

それは「カフェのざわつき」は集中力を上げる「暗騒音」だからです。

カフェが集中できると感じるのは、“カフェだからではなく、“BGMを含めた人々の声が混ざり合った一定音量の騒音が、あるからです。

参考:カフェでの勉強はなぜはかどる? ”カフェ勉” が集中力を高める3つの科学的理由。

この場合の”BGMを含めた人々の声が混ざり合った一定音量の騒音の事を『暗騒音(あんそうおん)』と言います。

 

逆に、閉店間際のカフェで、殆ど客が居ないし~んとした状況で、新たに来店した4人組が自分の隣の席で大きな声で話し始めたシーンを想像してください。

おそらく、その会話が気になって、全然集中できなくなるでしょう。

騒音とは、「気になってしまう」から騒音であって、気にならない音は騒音とは感じない。

 

暗騒音とは、対象としているもの以外の音の事です。

誰かと会話をしているなら相手の声以外の音、テレビを見ているならテレビの音以外の音が暗騒音という事になります。

 

仕事に集中しやすい環境というと、まず「静かな環境」を思い浮かべがちですが、カフェのように、一定の安定した暗騒音がある環境もまた、集中力を高める効果があるという事です。

逆に、弊店間際のカフェのようなし~んとした静かな環境(暗騒音が小さい環境)で聞こえる会話は、音が際立ち過ぎで、集中力の妨げになりやすいという事です。

 

この事から、社員数や業種・職種にもよますが、一般的に仕事に集中するのに適した音環境は

「徹底した静かなワークスペース 」もしくは「一定の安定した暗騒音があるワークスペース 」

のどちらかという事となります。

そして、とても良くないのが、その中間である『静かなワークスペース を目指した、時々会話が聞こえてくる中途半端な音環境』という事になるのです。

 

確かに集中力を高める為には「静かなワークスペース 」は適しています。

しかし「静かな状態の「維持」」がむずかしく、結果として『静かなワークスペース を目指した、時々会話が聞こえてくる中途半端な音環境』となってしまうオフィスが多いのです。

そのため「電話ボックスを設置してくれ」といった要望になるのでしょう。

 

「徹底した静かなワークスペース 」の弊害

では、「徹底した静かなワークスペース 」を追求すれば良い、という人もいるかもしれません。

 

ただ、社員視点で考えると、集中力の阻害要因となるワークスペース内の会話ですが、会社視点ではメリットもあります。

 

例えば以前、このような事がありました。

「当社は総務の電話応対が、淡々としていてあまり良くないんです・・・」と言っていた企業の総務の電話応対が、オフィス移転を機に格段に良くなったという事がありました。

 

何をしたかと言うと、移転元では別のフロアだった営業部と総務部を、移転先オフィスで隣接させたというだけです。

移転前も、総務部の方々は、営業部が努力している事は業績数字を見て知ってはいたのですが、移転後、部署が隣接し、営業の方々が、がんばって営業をしている電話の声や、社内での営業報告等の声が、直に総務の方々の耳に入るようになった事で、営業の努力が、頭で理解していた事から肌で感じる事に変わり、その結果、自然に電話応対の言葉に心がこもり始めたという事です。

 

このように、ワークスペースにて自然に耳に入る会話は、会社視点で考えれば、プラス要素にもなりえるという事です。(誰の会話が誰に聞こえるかにもよりますが)

 

今度は、話す側の事を、考えてみましょう。

 

例えば、営業部署で、他の営業マンが何かを知りたがっているという会話が聞こえ、その情報を自分が知っている場合、通常であれば、「それ、私、知ってますよ!」と、声をかけると思います。

しかし、し~んとしたワークスペースの場合、周りに自分の事が聞こえてしまう事から無意識に声を抑制する傾向にあります。

 

場合によっては、心の中で、「あ! それ知ってる!」と思っても、無意識に声を出す事にブレーキがかかり、「まあ後でいいか・・・」となり、そのまま伝えずに終わってしまうという事が起こりうるという事です。

このように、無意識に声を抑制してしまうし~んとした音環境は、情報共有だけでなく仕事のアクティブ感、スピード感にもマイナス影響を及ぼす可能性があるのです。

 

それは、いわゆる「話しづらいワークスペース 」、「電話がしづらいワークスペース 」となり、それが「電話ボックスを設置して欲しい!」というような要望に繋がってくる訳です。

すなわち、会話が飛び交う可能性があるワークスペースなのであれば、「静かなワークスペース 」を目指すより、ワイワイガヤガヤしている「一定の安定した暗騒音があるワークスペース 」を目指した方が、仕事に集中しやすく働きやすい環境になる可能性が高いという訳です。

 

ワークスペース内で飛び交う様々な音。

その音達は、意図的に活用する事により、業績にインパクトを与えられる程の影響力を持つという事です。

 

「静かだから良い」や「騒がしいのでダメ」と一様に考えず、

“そこで働く方々のワークスタイルに、“そのワークスペースの音環境

をあわせていくことが重要なのです。

 

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