みなさんこんにちは。Books&Apps編集部の楢原です。

 

昔いませんでしたか?

「オレ、ケータイ持つ気ないんだよね」って友人。

新しい技術や製品にすぐに飛びつかないまでも、やがてそれを多くの人が使うようになっても、やっぱり頑なにそれを拒否する人。

なんでだろう?変な人だなあと思ったりもしたのですが、私はある理論を知ってから気にならなくなりました。

 

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「キャズム」と言う言葉を知っていますか?

「キャズムを超えた」などと使われ、言葉自体はマイナーですが、その意味するところは、日常でもよく使われていて、日本では「ブレイクした」と表現されます。

 

「大ブレイク」と言うと、ミュージシャンや芸能人が急に売れ出すイメージがありますが、今では商品やwebサービスにも広く使われていますね。

最近では、個人売買フリマアプリのメルカリがまさに大ブレイクしました。

 

キャズムとは、イノベーター理論という有名なマーケティング研究から来ています。

その理論は、ビジネスにおいて顧客を「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つに層に分類することで、新しい商品やサービスがどのように人々に浸透していくのかを分析した理論です。

マーケティング業界ではとてもよく知られた理論です。

 

新しい商品が世間に浸透していく時、まだ本当に価値があるかどうかわからないものを、「これは絶対にいい!」と信じ「やっちゃえ」と実際に創ってしまう人たちがいます。

さらに、そのような人たちが創ったものを「スゲー」と言って、デメリットにはひとまず目を瞑り、すぐに飛びつく人たち

それらの人々が「イノベーター」と呼ばれる人々です。市場の2.5%ほど存在するとされています。

例えると、初代iPhoneを買うような人たちですね。

 

次に現れるのが、一般的には前のめりすぎてイかれちゃってると思われてるイノベーターが飛びついている新しいモノを自らの目と頭で判断し購入する目利きのような人たちです。

オピニオンリーダーとも言われたりもします。それは「アーリーアダプター」と呼ばれ市場の13.5%存在します。

ちょうど、iPhone 3G,3GSを購入した人たちと言えばいいでしょうか。

(おまけ情報:iPhone 2は存在しません。初代iPhoneの次は、初の3G回線使用とiPhone 3G。次に3GSが発売され、その次にiPhone 4が出た)

その次に現れる層は「アーリーマジョリティ」です。

オピニオンリーダーの言動をチェックしたり、情報感度が高いながらも実際の購入には慎重な人たちです。市場の34%存在します。

 

ここは重要な分岐点になります。

なぜならば、このアーリーマジョリティが行動し始めた時こそが「大ブレイク」の始まりだからです。

まさに、iPhone 4,4sが発売された時期です。特に日本ではiPhone 4sで一気にブレイクしたのでした。

 

はじめてスマホを購入する時って、勇気いりませんでしたか?

当初はスマホでなくて困ることはなかったですし、新しいモノに変えることで不便になるかもしれないなんて想像したりして。

でも、初代iPhoneやiPhone 3Gを購入した人たちが、iPhone 4への機種変更する時って、全く勇気はいりませんでした。

iPhone 4によって、今までの体験が飛躍的にアップすることが、容易に想像できたからです。

むしろ「早く下さい。お金はすぐに払います!」状態になっていました。そう、いわゆる信者です。(僕です)

 

(容易に洗脳されたりしない)一般の人たちは、信者のそのような行動を注意深く観察し、

「この製品はどうやら本当に良いものらしい」と感じ一気に動き始めるのです。

 

それを「キャズム」を超えると言うのです。

キャズムとは、「溝」と言う意味ですが、超簡単に言ってしまうと、熱烈なファン(俗称:信者)と一般の人の溝のことなのです。

iPhoneは、iPhone 4でキャズムを超えiPhone 5でアーリーマジョリティへ一気に浸透して行ったのです。

 

さて、キャズムを超えアーリーマジョリティへと浸透することで顧客となるべき人の50%を掴んだことになります。

その後に登場するのは「レイトマジョリティ」です。

この層は、自分の判断に自信がなかったり、もしくはそれについて考える時間が勿体無かったりして「とりあえず皆が使っているもの」と言う理由で新しいモノを導入する人たちです。

製品の良し悪しについては、ほぼ正解が出ている状態での購入なので、そう言う意味では極めて正しい判断です。市場の34%存在します。

このレイトマジョリティ層まで普及すれば、世の中のほぼ全ての人が知っている状態となります。

iPhone 6以降です。

 


残りの層は「ラガード」と呼ばれます。

残りの16%は、いろいろ判断をした上で敢えて購入をしない人たちです。

例えば、業界通のガジェットマニアにとっては、万人向けに改善され続けたiPhoneよりも、技術的に冒険をしているGoogle Pixel 2の方が魅力的に映り、iPhoneはすでに選択肢に入ってなかったりします。有り体に言うと「アンチ」ですね。(そのような状況の中で、一般人には理解不能なiPhone Xの発売はマーケティング的に大正解だと思います

 

残りの16%のラガードに関して、示唆に富む面白い指摘をしている記事がありましたので最後にご紹介します。

少数の非難や批判を必要以上に大きく捉えちゃって、どんどん状況を悪化させてしまう系案

例えば、記事に対するはてなブックマークの反応が100あったとして。その反応の割合として典型的なものは、経験則としては

・無言:40% 〜 50%

・賛意、ないし好意的な反応:30% 〜 40%

・反対、ないし批判的な反応;5% 〜 10%

・内容を踏まえているように思えない理不尽な罵詈雑言:1% 〜 5%

割とこんなもんです。


Books&Appsに定期的に寄稿して下さるしんざきさんが、ご自身の記事を分析した結果、内容が好意的な記事であっても、その70〜90%はポジティブな意見(SNSコメントなど)が占めるが、必ず5%〜15%ほどはネガティブな意見があると述べているのです。

そう、その「ネガティブな意見」が、まさにラガードの16%の割合とほぼ一致しているのです。

 

さらに注目すべきは、そのネガティブな意見の中に、

「内容を踏まえているように思えない理不尽な罵詈雑言」が全体の1% 〜 5%%いると述べているところです。

 

これはまさにまさに、2.5%のイノベーターと全く反対の行動をする人たちの事で、新しいモノならすぐ飛びつく人がいる一方、「何を言っても必ず反対」の行動をする人たちがいるのです。

今では、スマホそのものが一般的に普及しましたが、そのような状況の中でも、未だ否定的で、中には頑なにスマホを持つことを拒否する人たち、誰でも一人くらいは出会ったことありますよね?

 

最後にしんざきさんはこのように述べています。

で、「あ、これは真剣に相手すると疲れちゃいそうだなー」と思った批判や非難については、「まあこれだけ味方してくれてる人がいるし」ということで、軽やかに流させて頂いていますし、受け止め過ぎて潰れちゃうくらいなら皆さんそうした方がいいんじゃないかなーと思うわけなんです。


まあ、結局そういうことなんですよね。

全ての意見を、受け入れると言うことは本質的に無理ということです。

 

「オレ、ケータイ持つ気ないんだよね」と言ってたアイツ、今なら簡単に受け流せます。

むしろ、未だケータイを持たないままでいることを祈ってます(笑)。

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 


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