ブラック社長が箱いっぱいの『文房具』を持ってきて、
「さぁ今からコレを売ってこい!」と言う。
新入社員たちはカバンに文房具をつめこんで、
「文房具を買ってもらえませんか?」
と、会社や住宅へ飛び込み営業してまわる……
……これは私のブラックな実体験。
「新人研修で飛び込み営業をさせる!」
なーんて、聞いただけで卒倒しそうになるでしょう?
しかしこのユニークな新人研修。やってみると身になることも多かった。
私はブラック営業会社の課長を務め、
飛び込み営業を指導した新人の数は数百人に上ります。
いまから数年前……その日も、一人の新入社員が人生初の飛び込み営業に挑みました。
教育係である私は、背後からそっと新人を見守ります。
新人は元気よく、会社に飛び込んでいくものの……
「迷惑です!帰ってください!」と、受付のお姉さんに冷たく追い返されてしまった。
『ひきつった笑顔』で新人が会社から出て来る。
自分の新人時代を思い出す、ツライだろう……
何より仕事とはいえ……
『人に迷惑をかけていること』を実感するのがツライ。
新人は諦めず、すぐ次の会社に飛び込みます。
しかし次も「いらないよ!」
その次も「他に行ってくれ!」
と、一言も話す間も無なく追い返され続けました。
……十数件まわった所で、
新人の肩をポンポンと叩いて、
「少し交代しようか?」と声をかけます。
新人は『しまった!』という顔をします。
自分が何か不手際をしたと気づくからです。
そこから私は1時間ほど、飛び込み営業のお手本を見せてまわります。
その日は、運よく契約がポンポン獲れました。
1時間ほどまわり休憩に入ると、
「どうすれば契約が獲れるようになりますか?」
と新人がたずねてきます。
……私は決まってこう答えます。
「まず、自分のことを知ろう!」
私だったら訪問先で何を言われて傷ついても、すぐに立ち直り元気イッパイです。
しかし新人は「迷惑なので帰ってください!」と言われた後、ひどく動揺し続けていました。
こうなると声が小さくなったり、焦って喋り過ぎたり、
あきらかに挙動が不自然になります。
営業マンが飛び込んでくるだけでも『十分怪しい』のに、
それを売る人間の『挙動まで怪しい』となれば……
話を聞いてくれる人はいません。
すぐに追い返されてしまう。
頭で思い描いている自分と、周りから見える自分は違うもの……。
例えば思い通りにならないと、すぐイライラしてしまう自分。
人に嫌なことを言われると、すぐ落ち込んでしまう自分。
飛び込みで沢山の人と対面して話すことで、
普段は見えない『自分の本当の姿』が見えてくる。
そして弱い自分が見えた時、どうする?
そこから立ち直る技も持っていない!
飛び込み研修はそんなことを実感させてくれる。
「新人に飛び込みをやらせれば、度胸がつく!」という人もいますが……。
私が数百人の飛び込み研修を見守った結果……。
新人に飛び込み研修をさせると、
『気持ちの切り替えが上手になる』と感じました。
このユニークな研修を行う事で、仕事で困難にぶつかった時、もろくても何度でも立ち上がる!
ゾンビのような社員が育成出来るかもしれない。
それはもちろん、研修中に新入社員が辞めなければ・・の話ですけどね。
おわり
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【プロフィール】
著者名:ハルオサン
18歳で警察官をクビになってから、社会の闇をさまよい続けた結果、こんなことを書いて生活するようになってしまいました。
『警察官クビになってからブログ』⇒keikubi.co