ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)運命は決まっているのだろうか?一見非科学的な問いに見えるが、「物理学」は、それすら我々にヒントを与えてくれる。その中でも特に、「量子力学」という分野には特筆すべき発見がある。

 

高名な物理学者であるスティーブン・W・ホーキングはその著書である「ホーキング、宇宙を語る」の中で、量子力学の実験が見せる不思議な現象を紹介している。

それは、「二重スリット実験」という名前で呼ばれており、「もっとも美しい実験」と呼ばれることもある。

二重スリット実験

 

素人がくどくど説明するより、非常に良く出来た動画があるので、そちらを見ていただくほうが良いだろう。(約5分)

 

 

ホーキングはこの現象をこう紹介している。

 

”量子力学の理論は、まったく新しい型の数学に基づいており、現実世界を記述するのに、もはや粒子や波という言葉を用いない。

世界に対する観測を記述するときにだけ、これらの言葉が用いられるのである。このように量子力学には、粒子と波の二重性が存在する。”

 

 

物質は、波であり、粒子でもある。直感とは異なるが、量子力学はそれを示している。したがって、量子力学の世界では、「運動」も直感とは異なる。

 

相対性理論をはじめとした「古典的理論」は、不確定性原理を考慮に入れていないので、「運動するとき、粒子は時空の中に単一の経路しかもっていない」と考える。

ピッチャーが投げたボールは、ただひとつの経路を通って、キャッチャーミットに収まるのだ。我々からすれば、当たり前である。

 

しかし、量子力学の世界では解釈が異なる。ホーキングは、物理学者であるリチャード・ファインマンの「経歴総和法」を引き合いに出し、こう述べる。

「粒子はAからBまで行くのに、考えうるすべての経路をたどる」とみなす。

 

「ピッチャーが投げたボールは、ライトスタンドに飛び込んでから、キャッチャーミットに収まる」

「ピッチャーが投げたボールは、一塁手のグラブに一度飛び込んでから、キャッチャーミットに収まる」

「ピッチャーが投げたボールはベンチに飛び込んでから、キャッチャーミットに収まる」

 

そういった場合をすべて足しあわせた結果が、「ピッチャーからキャッチャーへの経路」だというのだ。

屁理屈に見えるが、言っていることは前者と後者では大きく異る。

 

 

話を「運命」に戻そう。前者は「運命は決められている」とするのに対し、後者は「運命は決まっていない。あらゆる可能性があり、確率で決まる」という。

物理学も、この世は「どうしようもない、運命だ」ではなく、「あらゆることが可能性に満ちており、何にも望みはある」と言ってくれているのだ。なんともいい話ではないか。

 

 

 

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫 NF 190)

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
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(2025/6/2更新)