ドラッカーの講義(1991-2003)~マネジメント・経済・未来について話そう~経営とはなにか、経営に正解はあるのか。その問に多くの人が答えようとしてきた。

 

例えば、ビジネス・スクールでは経営を学ぶときに、「戦略」や「マーケティング」、あるいは「財務」などを学ぶ。

しかし、多くの人が指摘するようにビジネス・スクールで学べば経営ができるようになるのかといえば、そうではない。知識として必要ではあるが、経営の本質とは異なる。

我々に必要なのは、そういった断片的な経営の知識ではなく、「経営とはなにか、何をすべきか」ということに対しての解答だ。

 

そのように考えていくと、かつて経営は「ヒト・モノ・カネ」の三要素最適な配分を決定すること、という定義が存在した。しかし、今やこの定義が役に立つと思っている方は少ないだろう。

経営の要素は3つだけではないうえ、「最適な配分」の中身がないからだ。

 

他にも見てみよう。

日本能率協会のあるコンサルタントは「経営とは会社を潰さないこと」と言っている

ある人は、「経営とは、顧客を満足させ、適正な利潤を上げること」と言う。

またある人は、「経営とは、強みを活かすこと」と言い、

さらに、「経営とは、お金を使うこと」という人もいる。

 

 

いろいろな方がいて、いろいろなことを言う。それだけでも十分面白い。

結局、何を信じるかは人それぞれであり、経営者の責任において何を選択するかは自由だからだ。

だが、私にとって上の定義は「なんでもあり、のような気がして今ひとつピンとこない」ものだった。

 

ところが、最近であった本に一つ良い定義が含まれていた。これは、ピーター・ドラッカーが1994年に行った講義の中での一言だ。

 

”経営は、現在でも大半のビジネススクールで予算立案や組織育成といった技法とセットにして教えられています。確かに経営には、他の仕事と同じように独自のツールや独自の技法があります。

けれども、医療の本質が尿の分析ではないのと同じで、経営の本質は技法や手順ではありません。

経営の本質は、知識を役に立つものにすることです。言い換えれば、経営は社会的な機能なのです。

 

この定義は多くのものを含む。

まず経営は「知識」が前提となる。「顧客」や「利潤」という言葉は出てこない。これは企業に特有の話題だからだろう。ドラッカーは経営の適用を政府機関やNPOなどにも求めていたので、これは当然だ。

さらに、「知識の活用」のためには知識労働者をどのように組織に貢献させるか、というマネジメントの技術の必要性も説かれる。また、企業の本質的なリソースは「ヒト・モノ・カネ」ではなく、知識だと言っている。

 

すなわち、経営者はこう考えなければならない。

「我々が持っている知識は何か?」

「その知識は何の役に立つか?」

「その知識は誰の役に立つか?」

「その知識は社会にどんなインパクトを与えるのか?」

 

「経営」の定義も日々刷新されているのだ。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)