もぐらとじどうしゃ (世界傑作絵本シリーズ―チェコの絵本)子供に本を読んであげるのは楽しい事だ。子供は大人が忘れてしまった新鮮な感動を、私達の心に呼び覚ましてくれる。

小さい頃読んだ数々の本、「もぐらとじどうしゃ」、「しょうぼうじどうしゃじぷた」、「ろけっとこざる」、「ちいさいおうち」、「どろんこハリー」など、名作はいつまでも読み継がれ、親から子へ、子から孫へと受け継がれる。

 

だが、子供が本を好きになるかどうか、親は選ぶことが出来ない。いくら「本を読みなさい」といったところで、所詮本を好きになるかどうかはその子供次第であり、強制できるものではない。また、その子が本が嫌いだからといって、それが人生にとってマイナスかどうかは誰にも言い切ることは出来ない。

でも、大人同士だって自分の趣味を友人に勧めるし、本当に好きな趣味なら一緒にやってほしいと願うことは特に悪いことではないはずだ。だから、個人的には子供に「本を勧めてみたい」とは思う。

 

しかし、小さな子供に本を勧めるのは大変だ。まず「本」というものがどういうものか、どのように楽しいか、彼らには全く知識がない。だから、論理的に彼らを説得するのは無理である。

では、言葉によらずどのように本を勧めるか。

一番効果的だったのは、「私」が本を読んでいる姿を見せることだった。自分が小さい頃読んでいた本を実家から持ってきて、子供の目の前で読んでみる。子供は大人がしていることに興味津々だから、必ず「なにそれ?」と言った具合に本を覗きこんでくるはずだ。

まずは「興味を持ってもらう」ことで、第一段階終了。

 

本に興味を持ってもらったら、すかさず本を読み聞かせ始める・・・、ではダメだ。子供の興味は長続きしない。他に面白そうなことがあればすぐにそっちに向かっていってしまう。では、どうやって「本が面白い」ことをアピールすればいいのか。

私が試したやりかたはこうだった。

子供は「自分の覚えたことを表現する」のが大好きである。例えば「犬」という存在がどのようなものかを覚えたら、街中で犬を見る度に、「ワンワン」、「ワンワン」、「ワンワン」と連呼する。だから、本の中に子供の知っていそうなものを見つけたら、「これなんだ?」と聞いてあげるだけでも子供は大喜びである。

だから、本を読み聞かせる前の段階ではストーリーはそっちのけで、ひたすら子供の知っているものを探すゲームが展開される。そう、全ての本が「ウォーリーを探せ」状態になるのだ。

「本を読む(?)という行為は楽しい」と子供に思ってもらえたら、第二段階終了。

 

ここまで来ると、子供が自発的に本を親のところへ持ってくるようになる。慣れてくると子供は単純な絵柄の本よりも、より複雑な絵柄の本を好むようになる。例えば「だるまちゃんとてんぐちゃん」のように、帽子や靴や花の絵が1ページにぎっしりと詰まっているような絵を好むようになる。

「ちいさいおうち」も、良い。ミニチュアの人や犬を発見しては、子供はとても喜ぶ。「どろんこハリー」などは、もはや犬を探すゲームと化した。

 

だるまちゃんとてんぐちゃん

だるまちゃんとてんぐちゃん

  • 加古 里子
  • 福音館書店
  • 価格¥1,100(2025/06/07 05:03時点)
  • 発売日1967/11/20
  • 商品ランキング12,887位
ちいさいおうち (岩波の子どもの本)

ちいさいおうち (岩波の子どもの本)

  • バージニア・リー・バートン,石井 桃子
  • 岩波書店
  • 価格¥880(2025/06/07 05:03時点)
  • 発売日1954/04/15
  • 商品ランキング7,824位
どろんこハリー (世界傑作絵本シリーズ)

どろんこハリー (世界傑作絵本シリーズ)

  • ジーン・ジオン,マーガレット・ブロイ・グレアム,わたなべ しげお
  • 福音館書店
  • 価格¥1,320(2025/06/07 05:03時点)
  • 発売日1964/03/15
  • 商品ランキング21,569位

 

注意すべきはこの段階で、無理にストーリー追わせようとしてはいけない、ということだ。子供には子供の読むペースがあり、それは必ずしもおとなが読むようなやり方によらない。後ろから前に読むことだってあるし、行ったり来たりを繰り返すことだってあるのだ。要は、大人も「子供の本の楽しみ方」に習うことである。そうすれば、大人も子供が本当に本の細かいところまで見ていることに驚くだろう。

これで、第三段階まで終わりだ。

 

そして、本を好きになった子供は、同じ本を何度も何度も繰り返し読んでくれるように大人に頼む。一つの本を2回、3回連続で読む。「子供は繰り返しが好きだ」と言われているが、本当に同じことを何回やっても飽きないようである。

だが、大人はそうではない。大人は何度も同じ本を繰り返し読むとだんだん「飽きて」くる。こっちが飽きてしまうと子供日本を読んであげることがどうしても億劫になるので、これはいけない。

だから、大人も楽しめるように、子供に新しいチャレンジを与えなくてはいけない。子供の知らない物をさして「これなんだ?」「これは◯◯」とか、名前を聞いて、教えてあげるだけでもずいぶんと子供は興味を持ってくれるし、こちらも楽しい。

何にもまして、「前回は名前のわからなかった物」が、「名前を言えるようになっている」と、親としては子供の成長を実感できる。

 

 

これって、会社における人材育成と全く同じなんだろうな。

仕事に興味を持ってもらって、できることからやらせて、成功体験を味わってもらう。部下の成長にペースを合わせながら、少しずつ難しい仕事を振って、自分も部下も成長を実感する。

ふと思った。

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


ウェビナーバナー

▶ お申し込みはこちら(東京都サイト)


こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい

<2025年7月14日実施予定>

投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは

借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである

2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる

3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)