こんにちは。コワーキングスペース「Basis Point」の運営会社、Ascent Business Consulting代表の北村です。

先日、副業に関して、目を引く調査結果が報道されました。

なんと、4社に3社の企業が、副業を許可しない意向だということです。

副業・兼業、企業の75.8%が許可する予定なし

企業調査で従業員の副業・兼業に対する意向を調べたところ、「許可する予定がない」が圧倒的に多く75.8%。他方、「許可している」は11.2%、「許可を検討している」は8.4%にとどまった。

副業・兼業を許可している理由を聞くと、「従業員の収入増加につながるため」が最も多く53.6%。

反対に許可しない理由としては、「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が82.7%で最多となり、次いで「労働時間の管理・把握が困難になる」が45.3%、「職場の他の従業員の業務負担が増大する懸念があるため」が35.2%と続いた。

(マイナビニュース)

公務員ですら、副業が解禁される傾向にある時代に、約4分の3の企業が、副業を許可する予定がない、との結果ですが、私はこの結果を深刻に捉えています。

というのも「副業禁止」は、結果的に日本を貧しくすることにつながっているからです。

 

 

一般的に、国の豊かさの指標の一つとして「GDP」が用いられます。

GDPの側面から見ると、日本は現在、米国、中国に次ぐ世界第三位の経済大国ですが、殆どの方が実感するように、残念ながら日本は停滞しています。

西暦2000年から実質GDPはほとんど成長していません。

 

では、個人の豊かさという視点で見るとどうでしょう。

残念ながら世界における「一人あたりGDP」のランキング推移を見ると、西暦二千年の「世界第二位」をピークに、日本ランクは低下を続け、現在は約二十位。

日本人だけは、世界の反映を享受できず、停滞していた2000年代だった、と読み取れます。

 

ただ、「そんなに生活水準が下がったとは思わない。むしろ生活水準は上がっていると感じる」という人もいます。

日本のGDP成長率が低迷しても「生活レベルが向上した」と感じる理由

長期的にみると日本ではGDP成長率の低迷が続いており、労働賃金の伸びも止まっている状況だ。それにもかかわらず、生活レベルが向上したと感じる人の割合は年々増加傾向にある。

(ITメディアビジネスオンライン)

上のように、シェアリングエコノミーの発達や、「ものを買うこと」に依拠しない豊かさを感じる人が増えている今、「GDPだけで国の豊かさは測れない」という主張も、一理あります。

 

しかし、世界の中で、日本の地位が低下しているのは事実です。

またこれからの日本を待っているのは世界でも類を見ないほど強烈な少子高齢化です。

 

少子高齢化は、労働人口の減少を生み出します。つまり富を生み出す人が減り、なんとか今まで維持してきた「一人あたりのGDP」が大きく減少します。

そうなればおそらく、生活水準の低下は避けられません。

日本は今後、アジアの一小国として細々と生きながらえる、という状況を甘受せねばなりません。

 

そうなった時、我々は今と変わらずにいられるでしょうか?

 

 

もちろん、国も手をこまねいているわけではありません。その打ち手の一つが「働き方改革」です。

厚生労働省のページには、こうあります。

「働き方改革」の目指すもの

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。

こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

人口が減りつつある中、政府が何としても解決したいのは、上にあるように生産性と働く機会の問題です。

つまり労働者一人あたりが生み出す価値を、今よりももっと増やしたり、より多くの人が就業機会を増やしたりすることです。

 

そうすれば、企業の業績もよくなり、労働者の懐も暖かくなる。一人あたりのGDPも上昇する。

政府は、そういう算段で「働き方改革」をもくろんでいるでしょう。

 

事実、雇用規制こそ撤廃されないものの、法改正を通じて残業を減らしたり、副業を推進したり、政府の方向性は明らかです。

要するに政府は「終身雇用はない。滅私奉公もない。多くの会社で多様な働き方をして、多様に稼ぎなさい」と言っているのです。

従業員の「副業」時間、本業と合算不要に 厚労省検討 労働時間規制を見直し

複数の職場で働く人をめぐる就労管理のルールが変わる可能性が出てきた。

厚生労働省は複数の勤務先での労働時間を合算する仕組みの見直しを考える。組織をまたぐ就労管理は実態に合わないだけでなく、従業員の副業を阻む要因になっているためだ

政府はすでに、企業と国が生活の面倒をみるという20世紀型のモデルを捨てつつあります。

 

 

一方、企業側も変化しています。

ここ10年、企業はすっかり従業員の昇給に消極的になりました。

 

なぜなら、相対的に日本企業が世界の中で地位を落としており、その先行きに楽観的ではいられないからです。

時価総額ランキングでは、世界50位以内にはかろうじてトヨタを残すのみで、見る影もありません。

 

この変化は大きく、多くの労働者は一社に滅私奉公しても、大きく給与が伸びるという望みを持てなくなりました。

つまり、

国は「多様に稼いでください」

企業は「長く在籍してるだけでは給料は上がらないよ」

と言っています。

 

この2つの状況からの必然的な帰結は一つ、

「労働者は、自衛のため副業を持って稼がなくてはならない」

です。

実際、副業をしている人の収入は一月あたり5万円〜10万円が中央値で、全体の3割の人がそれ以上を副業で稼いでいます。

出典:https://www.jil.go.jp/institute/research/2009/documents/055.pdf

参考:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/13507.html

年収500万円の人が、年収620万円になるためには、管理職になるための競争を勝ち抜かなくてはなりませんが、副業であればそういった競争とは無関係に、自分の実力次第で収入を得ることができます。

 

それを禁じるのが、「副業禁止」です。

企業は十分な昇給もせずに、一方的に従業員に対して副業禁止を掲げているのです。

本当は月に少なくとも5万円、10万円を余計に稼げる可能性があるにもかかわらず、一方的に副業を禁じるのは、いささか身勝手と言わざるを得ません。

「副業を禁じるならば、きちんと昇給させるべき」であるのは明らかです。

 

また、会社員も、もし会社が副業を禁止するなら、日本のためにも「では、給料を上げてください」と交渉したほうが良いのは間違いありません。

昔、こんな記事を書きました。

「ほしければ自分で取りなよ」というのが、外資系企業。でも実は世の中も同じ。

上述した外資系のカルチャーですが、世の中もだいたい似たようなものです。

つまり、受け身の人生であれば、欲しいものを得られるチャンスは殆どありません。せいぜい運次第、といったところでしょう。

しかし、「自分はこれがほしい」と決めて、実績を出し、しっかりとアピールすれば、欲しいものが得られる可能性はぐっと上がる。

これが、実は普通の世の中の仕組みではないでしょうか。

私が昔働いていた会社では「給与交渉」は当たり前のようにありました。

同じように「働き方改革」によって、チャンスを自分のものとできるかどうかは、能動的に動けるかどうかにかかっています。

 

がんばりましょう。

なんといっても、会社員一人ひとりが、「給料をあげてください」と会社に交渉していくことが、ひいては給与水準の向上と、副業の解禁を実現し、そして、日本の豊かさを保っていくのですから。

 

 

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(Photo:Sean McGrath)