知人が最近、転職をした。
新しい職場は若干家から遠いが、気持ちの良い人が多く、仕事も面白いということで、本人にとってはとても良い転職だったようだ。
さて、その知人が、職場で2つ、小さなことに気づいたと、話してくれた。
ひとつ目は、昼食をとる場所について。
知人は昼食をあまりお店で食べない。
お弁当を持っていくか、近くのお弁当屋さんかコンビニエンスストアで買って、オフィスで食べることが多いという。
ただ、その知人はせっかくの昼休みなのに、デスクで昼食をとるのは気分転換にならないと思い、空いている会議室を昼食の場所に使ったそうだ。
会議室は広くて清潔で、もちろん「昼食に使ってはいけない」というルールはない。
早速、知人は会議室を昼食に使うようになった。
ところが面白いことに、昼食に会議室を使っている人は、他には誰もいなかったそうだ。
気になった知人が、
「なんで使わないのですか?ひょっとして禁止なのですか?」
と他の人に聞くと、
「ランチに使っていいと、聞いたことなかったから。」
と答えたという。
その後、知人の影響で会議室は人気の昼食スポットになったという。
*
ふたつ目は、職場の掃除について。
その職場は、事務職の方々が、毎朝デスクの上を拭いて回る、というややクラシカルなルーティンワークがあるそうだ。
知人も事務職なので、机を拭いて回ることになった。
ところが、毎日机を拭いているうちに、知人は一つのことに気がついた。
「この仕事はひょっとして無駄なのではないか」と。
というのも、拭かなければならないほど、机が汚れていないのだ。
そこで、「拭き掃除は、机でなくてはいけないのか」と、知人は責任者に聞いた。
回答は
「とくに机じゃないとダメ、というルールはない。」
と答えた。
知人は、
「それなら、本棚を拭かせてもらいます」と答え、その日は机ではなく汚れが酷かった本棚を拭いた。
以後、知人は机ではなく、棚や窓ぎわなど、汚れの酷い場所を優先して拭いている。
*
この世は「ルールに書かれてないから、やらないほうがいい」と考える人が多数を占めている。
その一方で、この世には、「ルールに書かれてないなら、やっていい」という人もいる。
そして「ルールに書かれていないなら、やっていい」という人が、新しい世界を作り出すことがしばしばある。
上で紹介した知人はささやかな変化を職場にもたらしただけだが、中には大きな変革を起こす人々もいる。
彼らは起業家やイノベーターと呼ばれる。
例えばAirbnbを筆頭とする「民泊」である。
「自分の家の空いている部屋を、貸しちゃいけない、ってルールはないよな。」
という人々が、始めたものだ。
2008年に設立された同社は、またたくまに巨大になり、時価総額は3兆円を突破した。
ビットコインなどの仮想通貨や、Uberなどのライドシェアサービスについても同様に、それが始められたときは、「ルールがない」状態であった。
だが、世界はより便利に、より使いやすくなった。
ところが、起業家、イノベーターたちが「ルールにないから、やってもいい」という考え方を元に事業を進めていくと、
「ルールに書かれてないから、やらないほうがいい」
という勢力の方から、様々な理由で
「ルールを作れ」
「違法なのでは」
という、茶々が入る。
この価値観の違いは大きい。
それは、相手の「既得権」を脅かしたからというときもあるし、それらのサービスによって「被害者」が出ているからと言うときもある。
だが単に「新しいものが嫌い」という感情的な反発に過ぎないことも多い。
何れにせよ、「ルールに書かれていないことをやる人たち」が気に食わない人々は、腐るほどいる。
例えば、今年Airbnbには茶々が入った。
後出しジャンケンで、Airbnbの物件は「非合法化」され、届け出がされていない物件は、Airbnbから強制的に削除されることになった。
その影響で、Airbnbの登録数は2018年の6月に激減したことは余り知られていない。
東京の物件も、1万6千件超あったものが、たったの2000件程度まで減ってしまった。
参考:全国Airbnb登録件数、1日で4万件(▲76%)減少
日本でUberが使えないのは、「ドライバーが利益を得る目的でライド・シェアをすること」が違法だと国交省がみなしているからだ。
おかげで日本人は、Uberを満足に使えず、不便なタクシーアプリを強制的に使わされている。
タクシー運転手を保護するのは良いが、わざわざ利便性の劣るサービスを高いお金を出して使わされるのは納得がいかない。
*
一方で、現在の伸びが著しい、中国、インドなどでは、「法規制が存在しない」ことで、数々の新しいサービスが生み出されている。
例えば、シェアリングエコノミーのみならず、法規制の強い決済や医療の分野においてすでに革新的なサービスが多くの人に使われている。
参考:インドの医師向け遠隔医療プラットフォーム「healthenablr」が、80万米ドルを資金調達
今まで途上国だった国々が、一足とびに先進国を上回る技術導入をすることを、「リープフロッグ」という。
法規制が未整備な国では特に、「リープフロッグ」が起きやすい。
私は決して日本の将来を悲観しているわけではないし、新しい技術を手放しで礼賛する気もない。
だが、既得権益を守るために、国が消費者に不便を押し付けたり、起業家やイノベーターを邪魔するような真似だけは、本当に辞めてほしいと思う。
それは、「住みにくい社会」だ。
本質的に、法律は、成立してから長い年月を経ると、一部の権益を持つ人々のためだけに資するようになってくる。
時代に合わないことは明白なのだが、それでもしがみつく人々は多い。
だが、それは公平性を欠くというものだ。
法律は社会をより豊かにするため、新陳代謝を促し「新しいことをやろうとしている人々」にも資するものでなくてはならない。
冒頭の知人が、「会議室」という、遊休リソースを、社員全員に開放したように。
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奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、
メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
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