日本がやばい。どの国もどこかしらやばいけど、日本はとくにやばい。

 

なぜかって?

人口高齢化のスピードが、ほかの国に比べて明らかに早いからだ。

 

最近人口減少と高齢化についての本を立て続けに読んだからか、自分のなかで危機感がかなり高まってきている。

 

諸外国に比べて婚外子が少ない日本では、未婚化は少子化に直結する。

そして今まさに未婚率が上昇しているのだから、そりゃやばいに決まってる。

 

そこで思ったんだけど、もし「お見合い結婚を復活させよう!」なんて言ったら、セクハラになってしまうんだろうか?

 

8割以上の未婚者が「結婚するつもり」なのに

さんざん「未婚率の上昇」と言われているから、「若者は結婚したくないんだ」と思っている人がいるかもしれないが、意外なことに大多数は「結婚するつもり」だ。

 

統計を見ると、18〜34歳の未婚男性の85.7%、未婚女性の89.3%が、「いずれ結婚するつもり」だと答えている。

さらに、25〜29歳の男性の約6割、同年代の女性においては7割以上が、「1年以内の結婚意思がある」(第15回出生動向基本調査)。

 

じゃあ、結婚する意思があるのに未婚の人が多いのはなんでだろう?

理由はいくつもあるけど、そのなかでもとくに目立つのが「相手がいないから」だ。

上の統計でも、25〜34歳の未婚者による「独身にとどまっている理由」トップは、男女ともに「適当な相手にめぐり合わない」となっている。

 

要は、「結婚したい人はいまだに多いが、相手がいないので未婚にとどまっている」のが現実なのだ。

 

結婚相手をさがすために「カネ」と「時間」が必要

そうなると、必然的に「出会い」の需要が高まる。

実際、「出会い」を提供するサービスの認知はどんどん進んでいる。

 

ブライダル総研による『婚活実態調査2018』によると、2017年に結婚した人のなかで婚活サービスを利用したことがある人は38.1%。

また、10人に1人は婚活サービスによって結婚しているようだ。

 

昔は「出会い系サイト」というとなんだかイカガワシイ感じがしたけど、いまやマッチングアプリでの出会いは「ふつう」。

自治体は堂々と街コンを開催するし、婚活コンサルタントがセミナーや出版で注目を集めることもある。

 

それだけ「出会いの必要性」が理解されているのだ。

 

でもこういったサービスを利用して実際に恋愛、結婚に結びつけようとすると、それなりにカネと手間がかかる。

 

マッチングアプリでは多くの人とメッセージのやりとりをし、そのなかから「会ってもいい」と思われるほどの信頼を勝ちとらなきゃいけない。

街コンでも、知り合う→デートのハードルを超えなくては恋人にはなれないし、場合によってはそれなりの参加費設定がされている(とくに男性)。

 

結婚相談所は、(ピンキリとはいえ)そこそこカネがかかる。

 

ブライダル総研が発表している『恋愛・婚活・結婚調査2015』では、「結婚に向けて意識的に行動して悪かったこと」の1位は「お金がかかった」(32.1%)で、「時間がとられた」(24.5%)が続く。

「結婚のために出会いを求める」だけでも、現状ではカネと時間が必要なのだ。

 

しかも結婚までの平均交際期間も伸びていて、1992年は恋愛結婚における交際期間は3.38年だったのに対し、2015年は4.59年。

出会いだけでなく、出会ったあと結婚にこぎつけるまでも、より長い時間が必要になっている(第15回出生動向基本調査)。

 

忙しくお金もない若者なんかだと、結婚のために行動すること自体が「高くつく」可能性が高いのだ。

 

他人が出会いを用意してくれる「お見合い」ってコスパがいいんじゃ?

では、インターネットの普及前、婚活サービスなんてなかった時代の人たちって、いったいどうやって出会っていたんだろう。

同じようにカネと時間を使っていたんだろうか?

 

いや、それはちょっとちがうはずだ。だって昔は、お見合い結婚も多かったのだから。

 

1945年、約6割がお見合い結婚だった。恋愛結婚の比率がお見合い結婚を抜くのは1970年ごろで、現在恋愛結婚は87.7%と大多数を占める(第15回出生動向基本調査)。

この統計においての「お見合い」の定義はわからないけど、昔は親類や友人、職場の人なんかが世話役となって、交際&結婚をセッティングしていたのだろう。

 

お見合い結婚は人間関係的に「ちょっと面倒くさそうだな」とは思うけど、一方で「結婚が目的であれば楽だろうな」とも思う。

紹介されるならある程度はまともな人なんだろうし、仲介人が脈ありかどうかを確かめてくれるし、相手も結婚を視野に入れているから何年も交際して結婚が伸びることもないだろうし、数回のデートで判断するからカネと時間の節約もできる。

 

もちろんそこに「結婚の強制」があってはならないわけだけど、結婚を目的とするのであれば、お見合いはなかなかコスパがよさそうだ。

とくに、現在のように「出会い」の需要が高ければなおさら便利だろう。

 

現在、お見合いを勧めるのはセクハラのリスクが高い

でもいまそれをやってしまうと、セクハラになる可能性が高い。

関係性によるとはいえ、「そろそろ結婚したほうがいいんじゃないか。だれか紹介してやろう」なんて言えば問題になる。

 

職場恋愛だって、昔よりリスクが高い。うっかり痴話喧嘩がこじれれば、これまた「セクハラ」になるかもしれない。

 

だからこそ、現状のように自分から「外」に出会いを求めなくてはいけなくなる。

カネと時間をかけて出会いを求め、その後平均4年半交際する。なかなかしんどい。

 

そう考えると、知人経由の「お見合い」はかなり楽だ。場をセッティングしてもらい、そこに行くだけなのだから。

 

お見合いが絶対にいいというわけでもないし、そもそも結婚するかどうかは個人の自由。

でも「お見合いの場を整えてくれるならぜひ!!」という人も、案外少なくないんじゃないかなぁ、という気がする。

 

出会いを「安上がり」にするお見合い復権はアリ?

日本の人口減少について、数々のデータからその深刻さを浮き彫りにしたことで話題となっている『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』という本でも、お見合いの復権についてさらりと触れられている。

日本では未婚で出産する女性は少ないことを考えれば、第1子対策は結婚支援が最も効果的といえる。

真っ先に取り組むべきは雇用を安定させ、出会いに恵まれない人のきっかけをつくることである。お見合いの復権にも期待したい。

時代は繰り返す、なんて言うけれど、お見合い結婚から恋愛結婚になり、一周回ってもう一度お見合い結婚が復活するのは、案外アリじゃないだろうか。

 

改めて書くけど、結婚は強制するものではないし、結婚しない自由もまた保証されるべきだ。

パートナーの有無は完全なるプライベートであり、安易に首をつっこむものではない。

 

それでも、結婚したい人の多くは現状、出会いを求めている。

そしてそのために、カネと時間をかけて「外」に出会いをさがしにいかなきゃいけない。

 

でも「外」だけでなく、「内」からも出会いが生まれれば、素敵な人と出会える可能性が上がり、結婚へのハードルがひとつ下がるかもしれない。

 

他人の恋愛事情に首を突っ込むのはよくない、セクハラを許すな、という価値観には全面的に賛成だ。

でもその一方で、「お見合いの復権」も、再考の余地があるんじゃないだろうか。

 

【お知らせ】
大好評ティネクト主催ウェビナー5月実施のご案内です。


良いアイデアはあるけれど、実行に移せない…
このような課題をお持ちの企業の経営者様、事業責任者様へ向けたセミナーを開催します。

<2024年5月13日実施予定 ティネクト90分ウェビナー>

マーケティングの人手不足は「生成AI」を活用した仕組みづくりから

-生成AIで人手不足を解消しようセミナー


<セミナー内容>
1.あらゆる業界で起こっている人手不足
2.「動ける人材がいない状態」から脱却しつつある事例紹介
3.マーケティングの省力化事例
4.生成AI用いた業務省力化、その他の取り組み

【講師紹介】
倉増京平(ティネクト取締役)
楢原一雅(同取締役
安達裕哉(同代表取締役)


日時:
2024年5月13日 (月曜日)⋅18:00~19:30
参加費:無料  
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細 こちらティネクウェビナーお申込みページをご覧ください

(2024/4/21更新)

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

Twitter:amamiya9901

(Photo:Susanne Nilsson)