子どもとタスク管理の話をします。

飽くまで私の観測範囲内での話なんで、一般化するつもりはないです。

 

皆さん、タスク管理って得意ですか?

やらなきゃいけないことを整理して、進捗状況を管理して、必要ならスケジュール立てて、終わってなかったら対応策を考えて。

 

ちゃんとタスク管理出来てると日常生活めっちゃ楽になりますし、心の余裕も出来ますよね。

 

親として、「タスク管理の便利さや有用さを子どもに覚えてもらう」というのは、一つ私の目標なんです。

実際やるかどうかは自分で決めることですが、「こういう便利なテクニックがあるよ」「使いこなせれば色んなところで助かるよ」っていうのは知っておいてもらいたいですよね。

 

子どもに何かのテクニックというか、ナレッジやノウハウを身に着け、定着させてもらうためには、三つの条件を満たすことが望ましいんじゃないかなー、という気がしています。

三つの条件というのは、具体的には下記のようなものです。

 

・そのノウハウの必要性が理解、実感出来るような失敗体験をしていること。

・そのノウハウで上記の問題を解決出来たという成功体験をしていること。

・そのノウハウによって、自分がやりたいことが邪魔されないこと。あるいは、やりたいことを肯定してもらえること。

 

もちろん、家庭によって、子どもによって、色んな要素が異なるのは当然なんで、一概にどんな子にも当てはまるって話じゃないんですけどね。

 

 

しんざき家での話をします。

昔、長男がゲームをやり始めたばかりの頃の話です。

確かWiiUのスプラトゥーンだったと思うんですが、彼、すっかりゲームにハマっちゃったんですね。

スプラトゥーン超面白かったんで無理もないです。アオリかわいい。

 

で、当然のこと長男はまだ子どもなんで、親がブレーキをかけてあげないと「楽しいこと」に対する歯止めなんてききゃしない訳なんですが、当初、私は長男のゲームプレイに制限を設けませんでした。

理由は二つあって、まず一つは、「好きなものを見つけて、それに思いっきり夢中になる」という経験を一度はして欲しいなーと思ったから。私自身、かつて通った道でしたからね。

 

もう一つは、「だからといって、本当に時間を忘れると困ったことにもなる」ということも一度体験して欲しかったから。

もちろん寝る時間とか、ご飯の時間とか最低限のTPOは厳守だったんですが、それ以外はほぼ制限しないで、当初は黙って見守ってました。

 

何度か書いてるんですが、長男の小学校って結構宿題が多い学校でして、割とちゃんと宿題をやる時間をとらないと終わらないんですよ。

漢字を結構な文字数書きとらせたりとか、算数ドリル何ページかやったりとか。

私が小学校の頃こんなに宿題ってあったかな、って思うくらい。

 

で、これは長男の偉いところなんですが、彼、「宿題を忘れたくない」「宿題はやらないといけない」という意識自体はちゃんとあるんですよ。

終わってないと気になるし、やらないとな、っていう気分にはちゃんとなってる。

ただ、スプラトゥーンが余りにも面白いから、時間があるとついついそっちをやっちゃうわけです。

当然宿題がおろそかになる。

 

で、宿題が全然出来てなくって半べそになったり、寝る前になって長女も次女も既に寝てるのに自分だけリビングに残って宿題やらなくちゃいけなくなったり。

一、二回は宿題がやりきれなくって、べそかきながら学校に行って先生に怒られてきたり、とかもあったんですよ。

これ、長男的には結構ショックだったみたいで、割とへこんでたんです。

 

で、このタイミングでヒアリングしてみました。

さすがに細かい会話内容まで覚えてないんですが、ざっくりこんな感じだったと思います。

 

「宿題忘れて叱られちゃった?」

「うん…」

「宿題忘れたくない?」

「うん」

「けどゲームやってるとつい夢中になっちゃうかな?」

「なっちゃう…」

「スプラトゥーン面白いから仕方ないな?」

「うん、この前ガチヤグラだったんだけどね(以後しばらくスプラトゥーンの話)」

「わかる。ただ、スプラトゥーンも出来て、宿題も出来るやり方あったら、そっちの方がいいな?」

「うん」

 

この時の長男の状態は、「失敗体験をして課題を認識している」という状態でした。

そこで、タスク管理のテクニックを覚えるモチベーションに繋げられないかなーと思いました。

この時提案したのは、下記のようなシンプルなタスクカード方式です。

 

・事前に名刺大の紙を用意しておく(私が用意しました)

・帰ってきたら、まずその日やらないといけない宿題、その日やらないといけないことを、一枚につきひとつ紙に書きだす。

・どの作業にどれくらい時間がかかるか、ということを考える

・それをどういう順番で片付けて、どれとどの間にゲームするか、といったことを自分で決めて、その順番にカードを並べる

・完了箱を用意しておいて、宿題が一個片付いたら一枚、完了箱にカードを入れる

 

やってることはごく単純なタスク管理ですよね。

ただ、言うまでもなく「タスクの可視化」というのはもっとも重要なステップであって、これが出来てなければタスクに手はつかないし、一方ちゃんとできてれば「いつまでに宿題終わらせればいつからはゲーム出来るな」みたいな目算が簡単につくんで、まずタスクの可視化だけにフォーカスしてみたんです。

 

もちろん、最初から長男だけで出来る訳ではないんで、当初は私もサポートしました。

で、自分で決めたタスク方針通りに出来ていなかったら指摘する、ただしちゃんとできてれば一切文句言わないという方針でしばらく運用したところ、長男ちゃんと、タスクを自分で可視化して、宿題を自分で片付けられるようにはなったんですよ。

学校の宿題に関しては、これ以降、本当に長男全然てこずらなくなったんです。

 

なにより大きかったのは、「宿題さえちゃんと片付ければ好きなだけゲームに夢中になっていい」っていう条件だったんじゃないかなー、と思うんです。

 

いや、これがそのまま定着した訳ではないですよ?

このちょっと後には長男塾に通い始めたりしましたし、同じようなことを手を変え品を変え何度もやって、その度に方法をアレンジしてタスク管理方法提案したりしてるんですが。

 

とはいえ、

 

・課題意識を持っている間に、何かいい方法っぽく思えることを提案する

・それを実際やってみて、取り敢えずそれで問題が解決することを経験する

・しかも、それがちゃんと「自分のやりたいこと」に対するメリットにもなる

 

ということを体験して、「タスク管理ってよく分からんが出来ると便利だぞ」「自分でスケジュールを管理するのって気持ちいいぞ」ってところまでは経験して欲しいなあ、と思ったんです。

 

繰り返しになりますが、これ、一般化出来る話では全然ありません。

子どもが違えば適したやり方も変わるもんで、しんざき家の家庭内ですら、マイペースな長女に同じようなことやらせようと思ったら多分上手くいかないです(次女は逆に、現時点で既に宿題にてこずってない)。

子どもごと状況ごと、あの手この手、試行錯誤の毎日です。

 

ただ、失敗体験と成功体験をワンセットに、かつ子どものやりたいことを否定せずに話を進めれば、タスク管理のテクニックを身に着けてくれるケースも結構増えるんじゃないかなあ、というところまでは考えているんです。

 

で。

 

この前、なんだかゲームやネットの時間を制限するとか、それを条例で決めるとか、そんな話出てましたよね。

オンラインゲームに時間制限 香川県、依存防止へ条例案

インターネットやオンラインゲームなどの過度な使用が社会問題となる中、香川県は10日、全国初となる「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)の制定に向け、オンラインゲームの使用時間制限を具体化した素案を明らかにした。使用時間の上限は18歳未満で1日60分、土日や祝日、長期休暇を含めた休日は90分とした。

私、もちろん「なんでその矛先がゲームやネットだけに向かうのか」とか、そんなもん家庭それぞれだろ条例で決めるような話かとか、いろいろ納得できない点はあったんですが、なによりもまず「子どもが、タスク管理・スケジュール管理のメリットを自分で気づく」機会を奪っちゃう施策だよなー、って思ったんですよ。

 

タスク管理・スケジュール管理の何より大きなメリットって、「上手い具合にタスク処理出来れば自分の自由時間が増える」ってことなんで、そこに蓋をしちゃったらタスク管理の成功体験を積みようがないよな、と。

そんな、押し付けられたスケジュールを守るだけでスケジュール管理なんて出来るようになるわけないよな、と。

 

教育的な意味合いでも、「一日一時間まで」みたいなことを押し付けるのってすげーデメリットでかいよなー、とそう考えたわけでして、是非その点も含めてご検討いただけないかなーと。

 

それがなんであれ、家庭も子どもも状況は本当に様々何で、何かを一律に蓋するようなことはするべきではないよなーと。

そういう風に思ったんです。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

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(2024/3/26更新)

 

 

【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

Photo:Honza Soukup