流れに身を任せたらいつのまにかライターになり、在宅ワークをはじめて早数年。

結果論ではあるけれど、在宅フリーライターはわたしにとって天職だと思っている。

 

一方夫は、月曜日から金曜日までオフィスで働くサラリーパーソン。

ところが、自由気ままなわたしの生活を見ているからか、先日突如「俺もリモートワークの申請してみようかな」と言い出し、お試し在宅ワーカーに。

 

結果、半日で「俺には在宅ワークは向いてない」という結論に至った。

 

「在宅ワーク最高!」と思っているわたしと、「在宅ワーク絶対ムリ!」と言う夫。

それぞれの性格を踏まえて、「在宅ワーク適正」について感じたことを書いていきたい。

 

誘惑はたしかに多いけど、ルーティーンになれば問題なし

「在宅ワークっていいよね。まぁ、自分にはムリだけど」と言う人は多い。

理由はたいてい、「誘惑に負けて仕事にならないもん」というもの。

 

たしかに、在宅ワークは誘惑が多い。

その気になれば仕事をせずにyoutubeを見れるし、ゲームもできる。それを咎める人はいない。

 

でもわたしが思うに、「誘惑に強いか弱いか」は、在宅ワーク適正にそこまで関係がない。

そうじゃなければ、誘惑にめっぽう弱いわたしが今も在宅ワークできているわけがない。

 

実は、大事なのは、「ルーティーン化できるかどうか」だ。

 

わたしは小さい頃から、「ルーティーン」というものが大好きだった。

同じ時間に起きて、毎日同じ朝ごはんを食べて、同じ道で学校に行く。

通学のとき、乗る電車と車両はいつも同じ。立ち寄るコンビニも同じ。

塾から家に帰るのは決まって18時。お風呂も、夜ご飯も、寝る時間も、毎日同じ。これがとても心地いい。

 

在宅ワーカーになってもそれは変わらず、「この時間からこの時間は仕事。あとは自由時間」というルーティーンがしぜんと出来上がっていった。

こんな性格なので、「仕事時間」にほかのことをしていると、なんだかとても悪いことをしている気がして落ち着かなくなる。

「自分を律する」というほどのことではないけれど、そういう性分なのだ。

 

夫はどうかといえば、「ザ・気分屋」。

休日は朝8時に起きることもあれば10時まで寝ていることもあるし、食事の時間はお腹が空いたとき。

「あとでやる」が口癖で

「今日やるつもりだった勉強が終わってない」

「あした必要な書類を用意しないとまずい」ということがよく起こる。

在宅ワークでも、それは同じだった。

 

生活のなかで「仕事時間」をストレスなくつくれる人は在宅ワークに向いているし、「いつでもいいなら後にしよう」という考えなら、向いてない。

 

いつでもどこでも仕事モードになれる

また、わたしは「やろう!」と思うとすぐにやりたくなるタイプだ。

ケーキが食べたくなった10分後にはケーキを作り始めるし、本が読みたくなればすぐにそっちに気を取られてしまう。

基本的にルーティーンでまわっている生活だけれど、ふと思いついたらすべてを放り投げてそっちに没頭してしまう。

そんな性格だから、いつでもどこでも、その気になればいくらでも仕事ができる。

 

夫がホラーゲームをやっているとなりで、ソファに座りながら、すっぴんパジャマ姿で、膝に乗せたノートパソコンで記事を書けるのだ。

でも夫は、ちゃんと身支度をしてデスクの上でパソコンに向かい合わないと、「仕事をする」という気分になれないらしい。

 

だから、在宅ワークするなら「シャワーを浴びる」「ダイニングテーブルを片付ける」という作業からはじめなくてはいけない。

家はつねに仕事環境が整っているわけじゃないから、仕事スイッチを入れる条件が多いと、在宅ワークのハードルはぐっと高くなる。

 

引きこもり万歳!ひとりで黙々仕事をするのが幸せ

ほかにも、在宅ワーク適正についていろいろ思うところがあったので書き連ねていきたい。

 

まず、わたしは家が大好きで、1週間家にこもっていても全然問題ない。なんなら幸せ。

一方夫は、3日も家にいれば「退屈だ」と言う。

 

在宅ワーカーは必然的に引きこもりになりやすいから、「引きこもれるなんて最高じゃん!」と思えなければ、たしかに退屈だと思う。

また、わたしは連絡がマメなタイプ……というより、「いちいち会ったり電話するのが面倒くさい」という考えなので、なんでもメールで問い合わせてしまう。記録にも残るし。

でも夫は、「いちいちメールなんて面倒だから直接話してさっさと終わらせたい」と言う。

 

在宅ワークだと、問い合わせはメールやチャットが多く、「ちょっと確認する」にもそれなりの手間がかかる。

わたしにとってそれは苦ではないけれど、夫にとってそれはかなり面倒な作業らしく、「直接会って話せば30秒で終わるのに」と思うそうだ。

それでは、在宅ワークはむずかしいだろう。

 

さらに、チームワークが好きかどうかも大きい。

わたしはチームで働くよりも、ひとりで淡々と自分の作業をこなしていたいタイプだ。

横からいろいろ言われたり、急に指示を変えられたり、人間関係のトラブルがあると、すぐに「めんどくせっ」となってしまう。

 

他人からの突然の訪問や電話、お願い事で自分の時間設計やルーティーンを壊されるのが大嫌い。

だから、たくさんの人と顔を合わせるオフィスでの仕事が苦手なのだ。

 

そんなわたしに対し、夫は人当たりがよく付き合いもいいうえ、いろんな人に対して柔軟に対応できるコミュ力の塊。

ひとりで仕事していると飽きてしまうので、適度に人と話せる環境のほうが快適とのこと。

 

自分に向いている、幸せになれる働き方をすればいい

わたしと夫の性格を比べた結果、自分なりに導き出した「在宅ワーク適正」はこんな感じだ。

 

・ルーティーン化が得意・仕事モードになりやすく、気が向いたらさくっと仕事をはじめられる

・家が大好き、引きこもり万歳

・オンライン上の連絡が面倒じゃない。むしろマメ

・チームワークよりひとりで淡々と仕事をしたい

 

とはいえこれはあくまで我が家の話であって

「突然過集中する」

「夜中のほうが集中できる」

という理由で在宅ワークを選んでいる人もいる。

 

だから、ありきたりではあるけれど、

「人には向き不向きがあるから向いているほうを選べばいい」

という結論になる。

 

でも、ありきたりと承知したうえでも改めて書いておきたかった。

というのも、「スーツ着て満員電車に乗ってるサラリーパーソンはかわいそう」だの、「これからの時代を生き抜きたければノマドすべし」だの、極論すぎる主張がやたらと目につく。というか、鼻につく。

 

みんながみんな在宅ワークに向いているわけでもないし、在宅ワークをすれば幸せになれるものでもない。

わたしが夫と同じ働き方をしたら、「家に帰ってひとりで黙々と仕事をしたい!」とすぐに音を上げるだろうし、夫が在宅ワーカーになったら「やる気になれないからムリだわ」という結論になるだろう。

だったらわたしは在宅、夫はオフィスワークをすればいい。それだけだ。

 

リモートワーク導入や在宅ワークが「進歩」であり「正義」かのように無条件で持ち上げられることによって、向いていないのになんとなく在宅ワークをはじめて不幸になってほしくない。

だから、「向いてる働き方しようね」と定期的に書いておきたいのだ。

 

そして、個人の適正を考えず「時間と場所にとらわれない働き方をすべし!」と喧伝する人には、「時間と場所が決まってるほうが働きやすい人だっているんだようるさいな」と、これまた定期的に反論していく所存である。

 

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
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(2025/6/2更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)

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ブログ:『雨宮の迷走ニュース』

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(Photo:Nenad Stojkovic)