この記事で書きたいことは、以下の6点です。

 

・「消防団の活動は無意味」という話を読みました

・消防団の活動の意義を測る為に、3ヵ月の期間で判断しちゃうのはちょっと乱暴だと思います

・それ以前に、「過去の一定期間何もなかったから、この防災費用無意味」という議論はそれ自体妥当ではないです

・システムの保守やメンテの費用と通じるものがあるよね

・保守切る時は、「過去に何もなかった」ではなく「何かあった時にかかるコストと浮いたコストは見合うのか」で判断しないといけないよね

・諸葛亮は軍師としてアナーキー過ぎでは(注:コーエーの初代三國志の話)

 

よろしくお願いします。

 

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、後はざっくばらんにいきましょう。

はてな匿名ダイアリーで、こんな記事を拝読しました。

コロナウィルスが消防団活動の無意味さを実証してしまった

消防団活動。

超ハードなのに対して街の安全に寄与していないんじゃないか?って思ってました。

でもみんながんばっているしそんなことを言うのは失礼なので言えませんでした。

でも、コロナウィルスで活動をほぼ休止してわかりました。

消防団活動は街の安全性にほぼ寄与していない。

消防団活動の内容は地域によるのですが目安として

  • 年間活動日数100日前後
  • 操法大会に向けての訓練中は2日に1回程度訓練(3〜4ヶ月程度・夜に2〜3時間)
  • 毎月1回程度の町内見回り
  • 市全体での定期イベントが2〜3ヶ月に1度開催

というようなもの。

消防団活動、めっちゃ大変ですよね。

私の知人にも消防団の方がいて、拘束される日数も多く、活動も大変で、一方得られる報酬や手当はゼロではないものの活動内容に見合うものとは到底言えない、ほぼボランティアといっても問題ない金額(参照:https://www.fdma.go.jp/relocation/syobodan/welcome/pay/index.html)。

本当の意味で「街を守りたい」と思っている方でないと続けられない活動であることは間違いなく、この増田を含め、消防団の方々には本当に頭が下がります。いつもお疲れ様です。

 

まず前提として、この記事で書かれていることが必ずしも全面的に妥当でないとは思わないんです。

確かに、長く活動している団体というものは時に柔軟性を欠くものですし、大きな労力を必要とする以上、活動されている方々の為にも無駄はなるべく省かれるべきだと思います。

長く活動している組織が段々と柔軟性を欠いていってしまうのもよくあることで、もしかすると不要な活動、不効率な活動が残ってしまったりもしているのかも知れません。

 

そういう意味で、増田が書かれている「操法大会に向けての訓練」だとか「町内見回り」だとか「定期イベント」といったものが、本当に効果を挙げているのか、あるいはより効率的に効果を挙げる方法はないのか、という点については検討されて然るべきなのでしょう。

そこについては異論はありません。

訓練自体は大事な気もしますけど。

 

ただ、

でも、実質活動停止して3ヶ月。

どうですか?日本。

安全性が低下してますか?

火災かなんか多発してますか?

何も変わってないですよね。

という論法については、色々な点で違和感があります。

まず一点は、そもそも「三か月消防団の活動が中断していた」かつ「安全性が低下していない(ように見える)」から消防団活動は無意味だ、という理路は妥当なのかどうかという点。

 

消防団は、消防署と違って非常勤の方々による組織です。

普段サラリーマンや自営業など、本職を別に持っている方々が、自治体からの支援を受けながら消防活動に従事します(参照:https://www.fdma.go.jp/relocation/syobodan/about/)。

 

緊急時には消防士と連携して災害に対処しつつ防災対応や救助活動を行い、平時は啓発活動などを行っています。

で、まず、本当に「安全性が低下していない」と判断するのは妥当なのか、という話があります。

 

全国的な火災件数の統計はある(参照:https://www.fdma.go.jp/pressrelease/statistics/)のですが、残念ながら令和二年の分はまだ掲載されていません。

自治体ごとの火災件数は発表されているところもあるのですが、その傾向は自治体によってまちまちで、やはり全国統計を見ないと確実なことは言えません。

 

とはいえ、仮に火災件数が変動なし・あるいは減っていたとして、それには「コロナによる自粛で人々の活動が停滞していたこと」の影響を考慮に入れなくてはいけないでしょう。

恐らく飲食店の火災件数なんかは有意に減ってるんじゃないでしょうか?

 

家庭での失火というものも、「給食がなくなった分、自宅での料理の頻度が増える」という要素と、「大人が常に誰かしら家にいる」という要素では、どちらかというと防災に寄与する側面の方が大きいように思います。

緊急事態宣言で街から人が少なくなっていることに伴って、放火件数も減ってそうですよね。

 

一般的に言っても、啓発活動や防災活動が停止したとして、その影響が実際に表面化するにはそれなりの期間を必要とします。

保守やメンテナンスの欠如というものは通常ボディブローのように効いてくるもので、「一ヶ月停止したから翌月一ヶ月分のリスクが高まる」というものかというとそういうわけでもありません。

最低でも数年単位で影響を考えなくてはいけないところです。

 

つまり、「消防団が活動を停止したことによって安全性が低下したかどうか」を判断するのに、三ヵ月という期間はちょっと短すぎる、というのが一点。

 

もう一点の方がもっと大事なんですが、「「何かのリスクを低減させる」「トラブル時にトラブル対応する」という活動の価値を、そもそも過去のトラブル有無で測るべきなのか」という話です。

 

何度か書いていますが、しんざきはシステム関係の仕事をしています。

偉い人とやり取りをして、どの施策をどう実施するかを相談して、予算やスケジュールの調整をしたりもします。

 

で、その際何度も言われた言葉として、「この保守費用は必要なのか」という言葉があるんですよね。

システムの保守・運用って何をするかというと、これも以前書いたことがある(参照:https://blog.tinect.jp/?p=51442)んですが、

・システムの負荷監視、死活監視、パフォーマンス監視

・トラブル時の調査・問題切り分け・障害対応

・インフラの故障対応

・ネットワーク監視

・バックアップ対応

・定期メンテナンス

・ジョブ管理

・マニュアル・ドキュメント管理

・障害対応訓練

・バージョン管理・変更管理

・ログ管理

・セキュリティパッチ対応

・瑕疵対応、バグ対応

・修正開発時の事前調査

話を分かりやすくする為に保守と運用を明確に区別していないことにはちょっと目をつぶって頂きたいんですが、この辺は一つの代表的な保守・運用パッケージの対応内容です。

 

まあ大筋、「トラブルの事前防止と、トラブル発生時の対応」が保守という仕事の主要な守備範囲だと考えて頂いてもそんなに問題はないでしょう。

「トラブル防止」という観点で言うと、消防団のような防災活動とも近いものがあるかも知れません。

 

で、システムの性格にもよるんですが、確かに通常、保守って「止めたとしてもすぐに悪影響が出るものではない」ことが多いんですよね。

それ自体が何かを生み出す活動ではない、ということもあって、とかく「予算削減」のやり玉に挙げられやすいんです。

 

なんなら、「この1年トラブルが一回もなかったんだから、この保守費用は無駄なんじゃないか」という言葉まで出たりする。

トラブルを一度も起こさなかったのは誰の手柄なのかよーく考えろ、って話でもあるんですけどね。

 

私、「保守切ってもいいんでは?」という話が出た時は、大体「そのシステム丸ごと使えなくなっても仕事回るならそうしていいと思います」と答えています。

いや、確かに、不要になったシステムにいつまでも保守費用を支払う必要もないので、その場合は切っちゃってもいいと思うんですよ。

 

ただ、そのシステムにまだ少しでも必須の役割があるなら、保守を切ることには断固反対します。

何故なら、いざ障害が発生した時に大抵どうしようもなくなり、その際にかかるコストが保守費用よりも遥かに高額になるから。

そういうものなんですよ、保守って。

 

つまり、保守費用の要否判断は、「過去、何も起きなかったから」で行うべきではない。

「仮に何かあった場合に、それ無しでその状況を乗り切ることが出来るのか」

「乗り切ることが出来たとして、その為のコストは保守を切って浮いたコストに見合うのか」

ということで判断しなくてはいけない。

トラブルはいつか必ず発生するものであって、それが向こう数年発生しないことに賭ける、というのはただのギャンブルであって経営判断ではありません。

 

保険と同じです。

地震が起きなかった期間の地震保険費用を「無駄だった」と捉える人と、「当然必要なコストだった」と捉える人では、思考にかなり重大な開きがあります。

そして、地震保険を切ることが一種のギャンブルだということに気付かない人は割と多いです。

 

私、町内会の話し合いでも、「この地震・火災保険、地震も火災も起きてないんだから無駄では?」って発言を実際に聞いたことがありますからね。

さすがに皆に突っ込まれてましたけど。

 

今回の新型コロナ騒ぎでも、「あの対応は過剰だったのではないか」どころか「そもそもあんな対応をする必要はなかったんじゃないか」といった形式の議論をする人はたくさんいました。

これらの議論を見る度、私には「この一年何のトラブルもなかったんだから、この保守は切っていいんじゃないか」と発言する人の顔が脳内にリフレインするんですよ。

 

この人たち、「トラブル防止の為のコスト」というものをどう考えてるのかなーって。

地震保険不要とかいっちゃうギャンブラーなのかなーって。

後知恵で「何もなかったんだから対応コスト不要だった」とかいう議論にはどんな有効性があるのかなーって。

 

いや、もちろん、「もっとうまい対応があったのでは」という議論自体は今後の為にもしていいと思うんですけどね。

だからって「不要だった」は違うんじゃないですかって話で。

 

しんざき自身は、ギャンブルが嫌いでこそないものの、後知恵で保守不要なんて言っちゃう程向こう見ずではないので、保守コストは適切にかけるべきだし、それを切り捨てることについては慎重でありたいなあ、と思っています。

 

そういう点で、冒頭の増田に関しても、「いやいや、その理路で消防団無意味とかいっちゃうのはいくら何でも乱暴でしょ」と、そんな風に思ったと。

そういう話だったわけです。

消防団の方々の日々のご活躍に感謝すると共に、消防団の皆様が適切に報われることを願うばかりです。

 

ところで最後にぜんっっぜん関係ないことを話すんですけど、光栄の「三國志」っていうゲームがありまして、その初代では「くんれん」コマンドを使うと何故か軍師に「ほかにすることはないのですか」って言われるんですよね。

ゲーム中最強軍師の諸葛亮もそういいます。

 

いや、初代三國志のシステム上「訓練よりも武装の方が先」っていう話なんですが、自軍の訓練に対して「他にすることないの?」とか君主にいっちゃう軍師が存在を許されるという点では相当にアナーキーなゲームだよなーと考える次第です。

面白いですよね、初代三國志。

なぜか郭図が武力90だし。

あと火計めっちゃ強い。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

 

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(2020/10/29更新)

 

 

 

 

【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

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