最近、ある外郭団体で働く知人から話を聞き、ショックを受けました。

 

「テレワーク」が組織に導入されたときのことです。

その組織では、朝に「その日の予定」を部署の皆に報告し、夕刻に「今日やったこと」をまた報告して業務を終了するというルーティンが組まれたそうです。

 

当然、個人個人の「業務の成果」が可視化されます。

すると、同僚の中に「ほとんど仕事をしていない人」というのが、見つかったのです

 

昔、海外で「6年間出勤せずに給料をもらい続けた男がいた」というニュースが話題になりましたが、それに近い状況が日本でもリアルに存在するとは思いませんでした。

6年間仕事サボって勤続表彰された男がいた。どういうこと?(ハフポスト)*1

スペインの男性が、6年間仕事をしないまま4万1500ドル(約470万円)の給与をもらっていた。無断欠勤が明らかになったきっかけは、勤続20周年の表彰だった。

周りからは「仕事が遅いので、頼みづらい」という印象をもたれていたとのことですが、実際には「誰も仕事を頼んでいなかった人」だった。

その人の責任、というより、おそらくはマネジメントの怠慢でしょう。

 

ですがおそらく、外郭団体ではマネジャー層も出向者などで構成されており、コロコロ入れ替わるので、とにかく「誰も気にしなかった」「事なかれ主義で、あえて無視した」というのが真相なのでしょう。

要は、税金の無駄遣いが放置されていたわけです。

 

ところが、テレワークによって「黙殺」が許されなくなった。

この状況は間違いなく「成果の可視化」を推進する一つのきっかけになっていることは、間違いないようです。

 

 

一方で、テレワークの増加に伴い、盛り上がっているのは、副業フリーランスです。

新型コロナで副業する米国人増える-「フリーランスの国」に(Bloomberg)*2

同社の調査はフリーランスが今年、米経済に年ベースの収入で1兆2000億ドル(約126兆円)貢献し、19年から22%増えていることを示している。

これはある意味、当然の結果かもしれません。

 

なぜって、上の話のように以前は「成果を出していなくても、その場にいれば問題にならない」でした。

それが今はまったくの逆で、「成果さえ出していれば、何をやっていようが問題にならない」に変わったためです。

 

これまではオフィスに拘束されて、副業に手を出しづらかった人もいるでしょう。

ところがテレワークで積極的に副業に参入可能な状況に代わりました。

 

本業での仕事・稼ぎが少なくなれば、「テレワークの合間に副業でもやるか」という人が増えるのも全く不思議ではありません。

 

加速する「日本型雇用」のアップデート

ところで、なぜ上の2つの話を持ち出したのか。

 

要は、テレワークが当たり前になった企業では、社員だろうがフリーランスだろうが、成果を出してもらえれば「扱いは全く同じ」という状況なのです。

「社員か外部か」という話が、意味を失った

 

問題は「その人が、ちゃんと働いてくれているかどうか」だけ。

どうやら、われわれの「仕事のやりかた」は、想像以上に大きく変貌しつつあるようです。

 

この世相を反映し、米国ではフリーランスの仕事に関連する企業の価値が上昇しています。

フリーランスの仕事に関連するビジネスモデルを持つ企業のバリュエーション(株価評価)上昇だ。*2

日本でも、以前から政府はフリーランス活用を推進してきましたが、実際に企業のフリーランス活用は加速しています。

事実、昨年にクラウドソーシングの大手、ランサーズが行った調査*3では、フリーランスの活用が効果的だったと回答した企業は、全体の90%に及び、また、78%の企業が、ほかの企業へもフリーランスの活用を推奨しています。

 

それどころか、「社員が抜けた穴は補充せず、フリーランスで埋める。」という会社も登場しています。

また、GMOインターネットのグループ会社などは、所得補償サービスを*4を展開するなど、フリーランスのセーフティーネットを構築しており、フリーランスの活躍するインフラは整いつつあります。

 

この状況こそ、まさに「日本型雇用」のアップデートです。

いま、大流行の「副業」が、日本型雇用に風穴を開ける日

解雇規制の撤廃は難しい。

でも、優秀な人は様々な場所でもっと活躍して、稼いでほしい。もう一社が人を抱え込んでいい時代ではない。

だったら「◯◯はやるな」というより、「もっと働きたい人は自由に働いてください」ということを広めていけばいい

多くの会社で、すでに「フリーランスと仕事をする」ことを前提とした組織化がされているのです。

 

フリーランスマネジメントのプロが述べる、5つの「良いフリーランスの条件」

もちろん新しい状況には、新しい課題もあります。

上で示したランサーズの調査によれば、フリーランスの活用の課題は大きく3つ。

「契約処理・評価・人材確保」です。

 

要は、

・しっかり契約したい

・仕事の質を評価して改善したい

・ちゃんと仕事をするフリーランスと、もっと出会いたい

の3つです。

 

そうした中、米国の傾向と同様に、日本でもフリーランスに関連するサービスが増えています。

その一つが、デジタルハリウッド株式会社の提供する「ランサーユニット」です。

 

「ランサーユニット」は、企業の要望に合わせて、デジタルハリウッドを卒業した全国の約9万人の中から、人材をピックアップしてクリエイティブユニットを提供するサービス。

運営に携わる川村登さんと、矢野麻衣さんにお話を伺ったところ、「良いフリーランスには大きな需要がある」と言います。

そこで、川村さん、矢野さんに「良いフリーランスとは、どのような方を指すのか」と伺ったところ、次のような回答がありました。

良いフリーランスは下の5つの条件のうち、少なくとも3~4つを兼ね備えている

1.顧客とのコミュニケーションに長けている

2.制作に対する要件を、明示されないものも含めて咀嚼できる

3.知識から、目的を達成できる提案ができる

4.提案通りに制作できる

5.制作したものについて、成果を生んでいるかどうかを見てさらに提案できる

 

川村さんによれば、一昔前は4番目の「制作スキル」だけの人が多かったといいます。

ところが、最近ではフリーランスの人材層が厚く、任される範囲も広く、相談ベースで対応できる事が必須になった、と言います。

 

フリーランスの方を、どのように見極めればよいでしょう、とお聞きすると、川村さんは

「実績だけではなく経歴を見たり、あるいは「どのようなネットワークを持っているか」に着目して、フリーランスの選定を行うと良いと思います。また、長期の案件をコツコツやっている人は良い人であることが多いです。同じクライアントから何回も注文を受けているということなので。」

と、述べました。

 

さらに、矢野さんは

「デジタルハリウッド在籍時に、学内のコンペなどに積極的に参加している人は、付き合いが長くなる傾向にあります。ただ、もちろん技術だけの人が悪い、というわけではないです。ただ、その場合はフリーランスよりも会社員のほうが向いているかもしれません。」

と言います。

昔のフリーランスの「職人気質」的なイメージを持つ方には、意外かもしれませんが、現在のフリーランスは、ある程度すべてを「そつなくできる」ことが必要なのかもしれません。

 

川村さんは最後に、

「ランサーユニットでは、「こんな感じで作れます?」というラフな相談を柔軟に拾っていくこともできます。我々はフリーランスの方々とうまく付き合うための「仕組み」を提供しています。」

と述べました。

 

ランサーユニットが利用しているフリーランスマネジメントシステムは「pasture(パスチャー)」

もちろん、企業がフリーランスと取引を行うことが広く一般的になれば、フリーランス側だけではなく、企業側も相応の準備が求められます。

例えば、契約書を交わしたかどうかの確認、あるいは発注書の送付や、プロジェクトのステータス管理、請求書の発行などです。

 

そのような煩雑な業務を解決するため、上でご紹介したランサーユニットは

「契約、発注、タスク進捗、請求、評価などのフリーランスとの取引にまつわる一連の業務」

をまとめて扱える、エン・ジャパンのクラウド型フリーランスマネジメントシステム、pasture(パスチャー)を利用しています。

 

【無料ダウンロード】

pastureが提供するフリーランスマネジメントの入門資料2点を、以下からダウンロード可能です。

【1】「フリーランスマネジメント3つのポイント」

<「フリーランスマネジメント3つのポイント」目次>

1. フリーランスマネジメントとは何か

2. フリーランスマネジメントの重要性

・日本の労働市場について

・フリーランス登用の際の問題点

3. フリーランスマネジメントの3つのポイント

・フリーランスマネジメントにおける3つのポイントはコレ!

4. 効率的なフリーランスマネジメントをどのように実現するか

・フリーランスマネジメントの実現方法

 

【2】「請求管理システムとはここが違う。pastureでできる3つのこと」

<「請求管理システムとはここが違う。pastureでできる3つのこと」目次>

1.タレントマネジメントができる

2.案件に対応できるフリーランスを公募できる

3.企業とフリーランス、双方向のコミュニケーションができる

 

 

 

 

【著者プロフィール】

◯Twitterアカウント▶安達裕哉

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

◯有料noteでメディア運営・ライティングノウハウ発信中(webライターとメディア運営者の実践的教科書

◯安達裕哉Facebookアカウント (他社への寄稿も含めて、安達の記事をフォローできます)

Books&Appsフェイスブックページ(Books&Appsの記事をすべてフォローしたい方に)

 

 

*1 出典:https://www.huffingtonpost.jp/2016/02/17/man-skipped-work-6-years-no-one-noticed_n_9258884.html

*2 出典:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-16/QGQD75T0G1KX01

*3 出典:https://www.lancers.co.jp/news/pr/17978/

*4 https://freenance.net/

 

Photo by Brooke Cagle