疲れが限界にくると、人間にはこういう症状が現れるらしい。
「疲れが限界な人」にありがちなこと6選です。 pic.twitter.com/vVsZjn6CpJ
— ココロジー@心が軽くなる心理学 (@Cocologyinfo) 2021年2月17日
・お風呂が面倒くさい
・とにかく寝つきが悪い
・目に見えて食欲が増す or 減る
・朝は目覚ましのスヌーズ機能と仲良し
・まぶたがピクピクしだす
・熱中してた趣味のやる気が出ない
リツイート3万超え、いいね10万超え。
それだけ多くの人に心当たりがあるんだろう。みんな疲れてるんだなぁ……。
そういえばこの6つの症状、ついこのあいだ見た気がする。
突発的なトラブルで3日間仕事付けになった夫が、まさにこのツイートの状態に陥ったのだ。
そして、少しずつおかしくなっていった。
1日目:トラブル発生、日付が変わるまでPCとにらめっこ
午前10時ごろ、夫が「急ぎの仕事が入った。悪いけどお昼の犬の散歩を変わってくれないか」と言い出した。
「ほーい、がんばってね」と答え、いつもどおり11時すぎごろからお昼ご飯の準備をはじめる。
メニューは、最近ハマってるハヤシライスだ。
12時ごろ「ごはんできたよ〜」と言うと、「キリがいいところで食べるから先に食べておいて」とのこと。
おこぼれを狙って隣りでおすわりして見上げてくる犬をなだめつつ、サブスクで呪術廻戦のアニメを見ながら夫を待つ。
が、15分しても来ない。
「時間がかかりそうならそっちで食べる?」と聞いたら「そうしようかな」と言うので、ハヤシライスを盛り付けて、仕事部屋に持っていく。
「もう参ったよ、全然終わる気がしない」と肩を竦める夫に対し、「大変だね、がんばって」と言って、犬の散歩に行った。
その後仕事をして、ちょっとゲームをして、家事をして、気づいたらもう19時。
いつもなら18時……早いときは17時すぎには仕事を切り上げている夫が、仕事部屋から出てこない。
様子をうかがうと、「本当に悪いけど、夜の散歩も変わってくれないか」とのこと。
「オッケー、こっちは気にせず仕事に集中して」と夜も散歩に行った。
さて、21時半。早寝のわたしは歯を磨いてベッドに入る。
いつもなら22時すぎごろに寝支度をする夫が来るまで本を読んでるのだが、「今日は遅くなるから先に寝てて」と。
「はーい、おやすみ〜」と、犬を抱いて寝た。あったかい。
2日目:注意深い夫が小さなミスを連発しはじめた
翌日、朝7時に目覚ましが鳴った。
いつもは8時にセットして、さらにゴロゴロしてからようやく起きるのに、めずらしい。
「今日は早いね」
「昨日24時までやってたけど終わんなかった……。仕事しないと……」
「お、おう大変だね。今日スーパーに買い出しの日だけどどうする?」
「気分転換に行くよ」
我が家は車がないので、徒歩圏内のスーパーに行く。
ひとりが先にスーパーに行って買い物し、その後もうひとりが犬を連れてスーパーに来て合流、ふたりで手分けして買い物したものを持って帰るスタイルだ。
「じゃあわたしがスーパーに行くから、あとから来てね。あ、ご飯だけ炊いておいてもらっていい? あんまり早く炊きすぎると(ドイツで買ったうちの炊飯器じゃ)固くなっちゃうから」
「おっけー」
というわけで、11時すぎにひとりでスーパーに向けて出発。
買い物後、スーパーの前に来ていた夫と犬と合流。
帰り道も、夫の携帯が鳴り、電話を切ったらすぐにほかの人に電話をかけて確認して……という具合だった。
そして家に帰って、ご飯を確認してびっくり!
夫が炊飯器に水を入れ忘れたままスイッチを入れたようで、お米がカピカピだったのだ。
「めずらしいね!? うっかりはわたし担当なのに」
「まじかよ……。自分がそういうミスするとは思わなかった」
夫は基本的に適当なんだけど、うっかりミスはほとんどしないタイプ。
10年の付き合いのなかでも、本当にめずらしいミスだった。
しかもその後、しゃがんで起き上がったときに頭を棚に強打。スマホをどこに置いたか忘れて探し始めるし、どうにもらしくない。
「疲れてるんじゃない? ちょっと休みなよ」と言っても、そんな余裕はないらしい。
その日も夜の散歩を交代して、ふたたびひとりで眠りについた。
3日目:ボーっとする時間が増えて明らかに疲れが出ていた
3日目。今日も朝7時に鳴る目覚まし。
が、夫が起きない。
「昨日も夜遅かったの?」
「うん……。あと10分だけ寝かせて……」
そう言って、起きれたのは約1時間後。
眠そうな目をして、生あくびをしながら朝ごはんを食べる。
「そういえば昨日、セーターの話したじゃん」
「あれ、したっけ。ごめん、ちょっといまはひとりでのんびりさせて」
「大事な話じゃないからいいよ、気にしないで」
このあたりから、なんだか心配になってきた。
夫が「そっとしておいてほしい」と言うのは、だいぶお疲れのときだけだ。
この日も夫は、お昼ご飯を仕事部屋のパソコンの前で食べると言う。
しかも、少しして様子を見に行ったら、半分くらいしか食べてないまますっかり冷めていた。
「ごめん、今日も散歩代わってもらっていい?」
「それはいいけど、10分でも横になったら? 疲れた顔してるし、ご飯もちゃんと食べてないじゃん。りんごでも剥こうか」
「……なんかさ、今日もずっと仕事してたはずなんだけど、なんか、なにやってたかよくわかんないんだよね。全然進んでなくて」
そう言って目を軽くマッサージした夫は、深くため息をついて、伸びをした。
結局、その日は16時に仕事を切り上げた。
「これ以上やってもミスするだけだから」と。
心身の状態を整えてはじめて良い仕事ができる
数日後、仕事が完全に落ち着いてから、夫が
「カローシって謎だったけど、こんな生活を1ヶ月もやったら、そりゃおかしくもなるよ」
と言い出した。
たった3日間多忙だっただけで、夫は朝起きられなくなり、日課の筋トレもせず、シャワーや着替えも後回しにし、物を落としたり失くしたりといったミスが続き、食事もおざなりになった。
わたしとの会話も激減してむずかしい顔をしている時間が増え、犬の散歩もわたしに頼んで部屋にこもりきり。
まさに、冒頭のツイートのとおりだ。
3日間でさえこれなのだから、こういった生活が長期的に続いたら、心身の調子が悪くなるのは目に見えている。
在宅ワークだとまさに「生活を犠牲にして仕事」ができてしまうから、なおさら心配だ。
朝起きられないとか、食欲がないとか、あんなに好きだったことに興味が持てなくなったとか……。
心当たりがある人はきっと、疲れてるんだと思う。
「いかに良い仕事をするか」というノウハウは山ほどあるけど、そもそもの大前提はコレ。
よく寝て、よく食べて、よく休む。
良い仕事をしたいなら、テクニック云々の話をする前に、まずこの3つの確保が大切なのだと、改めて実感した。
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【著者プロフィール】
名前:雨宮紫苑
91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&
ハロプロとアニメが好きだけど、
著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)
ブログ:『雨宮の迷走ニュース』
Twitter:amamiya9901
Photo by Christian Erfurt on Unsplash