最近気がついた事の一つに「走り続けている人間が痩せるのは何故か?」の正体がある。
ダイエット神話の一つに「運動しても消費カロリーなどほとんど増やせないのだから、運動しても痩せない」というものがある。
僕も随分と長い事この理屈を信じていて
「痩せたいのなら運動なんてしても無駄だ」
と思っていた。
だが実際に毎日10キロ走ってみて、運動して痩せるという事の理屈を心の底から理解した。
走ると何故痩せるのか。
結論から言うとそれはランニングが下半身の筋トレだからである。
実際にやっていると嫌というほどに痛感するのだがランニング動作は脚を持ち上げて地面に叩きつけての繰り返しだ。
これを約1時間ものあいだ休むこと無く延々と繰り返すのだから、下手な筋トレよりも間違いなく高密度で高負荷であろう。
故にランニングを何ヶ月にも渡って続けていると下半身のみならず下腹部がバッキバキに割れてくる。
だから消費カロリー抜きに走ると身体が絞られ、結果として”痩せる”のだ。
自分の仕上がった肉体をみるまで、意味なんて全然わからなかった
ランニング≒筋トレという事実は、そういう風に実際に形でもって示されればある意味当然の理屈である。
だが僕がこの事実に気がつけたのは実際に変貌した自分の肉体をみた後の事だ。
ものの見事に割れた腹筋と筋肉質になった脚…否が応でも風呂場で目に入る自分の身体のあまりの変わりっぷりを前に
「ああ、ランニングって本質的には筋トレと同じなんだ」
と一年後にふと気がついたのだ。
このロジックが当事者にならないと理解困難なのは、ダイエットにおいて運動≒カロリー消費という先入観が強い事が原因としてあげられるだろう。
僕以外の人も普通は「運動≒カロリー消費」と安直に考えてしまいがちだと思うのだが、実際にはランニングに限らず運動というものは筋トレ的な側面を必然的に有する。筋肉を動かして何かをするのだから当然の話だ。
それにも関わらず運動を筋トレとして捉えれないのは何故か?
それは頭でモノを考えるという事が、実際は頭でモノを考えていないという行為に他ならないからである。
頭で自由にモノを考えるのは難しい
私達は思考は自由であり、伸び伸びと思慮できるものだと思いがちだが、実際はそんな事はない。
むしろ多くの人の思考回路は条件反射を繰り返しているのみで、同じ場所を行ったり来たりしているだけである。
冷静になって振り返ってみて欲しいのだが、あなたはこの数ヶ月で何か常識を疑っただろうか?
少なくとも僕は全くと言っていい程にそんな事はしていない。
固定観念というものは打ち砕く事が実に難しい。
これは固定観念がそもそも固定観念だと気がつくキッカケが普通に生活していると皆無だという事に理由がある。
よくわからなくても、頑張ってると形になる
そういう状況を打開するのに最適なのが実は行動だ。
よくわからなくても新しい事をやる。意味など考えない。そうする事で得られるものは実に多い。
頭は自分が理解できている事にしか理解を示さない。
ランニングの例なら普通に考えれば
「ランニングで消費できるカロリー数はおにぎり一個以下。運動しても消費カロリーなんてたかが知れている」
「だから痩せたいならわざわざやる意味はない」
という固定観念にまず間違いなく焦点が合わされてしまう。
そうなってしまったら後は無限に「やらなくてもいい理由」が生成され続けるだけである。
頭は絶対に固定観念を打ち砕いてはくれない。
特に理解したくないものに対して頭は弱い。そういう時に頭が行うのは、まず間違いなく条件反射である。
そういう状況を打破するキッカケになりうるのが「四の五の言わずに、やる」だ。
意味がわからなくても物事を淡々とやり続けて淡々とした行動の結果が結実したとき、初めて固定観念は見事に打ち砕かれる。
この淡々とした行動が最も形として現れるのが実は仕事である。
新年度になり、これを読んでいる中にも多くの新社会人となった方がいらっしゃると思う。
特段問題なく会社に溶け込めている人もいるだろうが、中には会社に通うのが辛くて辛くて仕方がないという人もいるだろう。
そういう時に「労働は悪」だとか「働いたら負け」という風に、頭を使ってモノを考えるのは本当にやめたほうが良い。
もちろん命の危険に関わるレベルで鬱々としてしまっているのなら話は別だが、多くのケースにおいて労働なんてのは会社に通っていればそのうち自然にできるようになる性質のものでしか無い。
こういう時に頭でアレコレと思い悩んだり本を読んだりして情報を取り入れるのは残念ながら悪手だ。
そんな事をしてもネガティブな固定観念が増強されるだけで楽にはならない。
寝たり気晴らしをする等で傷んだ心を修復させつつ、頑張って出勤し続ける以外に本当の意味で楽になる方法はない。
残念ながら理解したくない現実を前に頭脳はまるで役立たずである。
だから嫌な現状を変えたいのなら、なにはともあれ行動するしかない。
逆に言えば、行動さえしてれば大体の物事はそのうち落ち着く場所に落ち着く。そうして落ち着いた後に改めて振り返ってみれば、きっとこう思うはずだ。
「ああ、働くのってそんなに悪いもんじゃないな」と。
行動しない奴の予後は悪いが、行動さえできれば先は明るい
行動は最大の成功の母である。というか成功にしろ失敗にしろ、行動しなけりゃ何も発生しない。
無はどこまでいっても無のままだが、行動すれば何かは起きる。この事を痛感したエピソードが生きてるだけで、疲労困憊。という本の中にある。
この本は発達障害の当事者であるreiさんという方の自伝のようなものなのだけど、その中にイキ告という興味深い現象が紹介されている。
イキ告とは、異性経験に乏しいオタク が少しでも可能性を感じた女性に対して即座に惚れてしまった上に、いきなり告白してしまう現象だという。
まあ、ようはちょっと優しくされたらすぐ相手を好きになってしまうチョロイ奴の話なのだが、こんな神風特攻隊のような行動が成就するケースはほぼ皆無であり、reiさんの周りの多くのオタクはイキ告で”散っていった”のだそうだ。
こうしてみると実に嘲笑ものであるイキ告だが、この話には驚く事に続きがある。
それから10年ほどたって周囲を見渡すとイキ告で玉砕したものは配偶者を得る傾向が強いのに対して、イキ告をただ爆笑していただけの人間は未だに独身だというのである。
この事実を元に、reiさんはイキ告は一概には愚かな行為だとはいえず、中長期的にみれば合理的ですらあると結論づける。
この現象だが、結構思い当たるフシが多い人も多いのではないだろうか?
実は自分もイキ告のようなものをやらかした経験がある。
まあ壮大に失敗したわけなのだが、その当時は随分と周囲の人にアレコレ言われバカにされたものだった。
しかしその失敗から学んだ事は実に多い。
文字通り身を切るような思いをしての行動だから、むしろ学ばないほうが無理というレベルである。
その後、結果的には自分も結婚できており、そういう意味ではこのイキ告のエピソードは正に「俺の話じゃねぇか」である。
やらない奴よりやらかした方が最後の最後には上手くいく。世の中というのはそんなもんである。
行動できた時点で、戦う前から勝負は決まっている
よく他人の行動をみて「あんなん無駄」とか「絶対に失敗する」と嘲笑する人がいるが、そういう人の意見は様々な意味で的外れだ。
うまくいくか失敗するかは正直な事をいえばどうでもよい。行動を起こせる事にこそ意味がある。
そういう意味では最初の最初に動き出せた人というのは、もうその時点で”勝った”も同然で、そういう人に「やめといた方がいい」とか「絶対にうまくいかない」というのは、動けない人間の戯言でしかないのである。
何事も頭の中で想像するのは簡単だ。イソップ童話の酸っぱいぶどうを例に出すまでもなく、頭の中で出せる結論はいつも予定調和で終わり、想像を超えることはない。
だが、現実はそうではない。どんなことでも、実際に手を動かしてシンドイ思いをしてやってみれば、思ってもみなかった事が絶対に生じる。
そうして起きた結果をみて「ああ、そういう事だったのか」と初めて理解する事は本当に多い。
意味は行動している最中に後から付いてくる。そういうものなのだ。
だから現状に満足しているのならまだしも、人生をどうにかして変えたいのなら、なんでもいいから面白そうな事をやり始めてみるべきである。
それが他人から嘲笑されたり、失敗するタイプの行動であるのなら最高だ。
失敗は大きければ大きいほど学びの量も質も深いし、簡単には成功できないタイプの行動であればあるほど、成功したときの成果は絶大である。
別に笑われたり失敗しないようなものでもいい。
アレコレ頭で考えて「こっちより、これの方がいいかな?」という風に吟味するのすら時間の無駄だ。
とにかく淡々と何かをやり続ける。
そうして積み重なった成果をみて、固定観念を打ち砕く。
するとそこにはまた新しい現実が現れる。人生はこれの繰り返しだ。
この行為をどこまで推し進められるのか。
これが豊かな人生というものの真実なんじゃないかと自分は思う。
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【著者プロフィール】
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
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noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます
Photo by i yunmai