政府は副業を後押しし、副業希望者は増加の一途
厚生労働省が今年の7月4日に公表したガイドライン*1では、政府がはっきりと副業を後押ししています。
裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。
副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に 支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなけれ ば、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業 を認める方向で検討することが求められる。
しかも、企業が副業を制限する場合は、その理由を含めて開示するよう促すとのこと。
加えて、副業を希望する人も増える一方です。
事実、以下の厚生労働省の資料*2では、副業を希望する雇用者は右肩上がりです。
いったいなぜ、このような状況になっているのでしょう。
副業を求める人の第一の理由は『収入の増加』であることは間違いありません。
しかし、東洋大学の川上淳之氏の資料*3によれば、「自分が活躍できる場を広げたいから」あるいは「様々な分野の人とつながりができるから」「副業のほうが本当に好きな仕事だから」などと考えている人も相当数存在しており、様々な理由から副業を望む人が出てきています。
実際に副業をやっているのは「低収入の人たちと、高収入の人たち」
しかし、政府の後押しがあり、希望をする人がふえていても、実際に副業をやっている人は、まだそれほど多くはありません。
マイナビ キャリアリサーチLabの資料*4によれば、副業の経験者は多くても全体の2割程度のようです。
また、副業をやっている人も、年収別にかなりのばらつきがあります。
厚生労働省の資料*2を見ると、年収1000万円を超える人が副業を持つ傾向にある一方で、年収400万未満の層では、収入が低い人ほど副業を持つ割合が高くなっています。
収入の低い人が副業をすることは「生活のためである」と理解できます。
では、収入が高い人が副業を持つ割合が高いのはなぜでしょう。
先述した川上氏は、「収入の高い職業の特性」と推測しています。
いわゆる上層ノンマニュアル(医師や弁護士、大学教授などの専門職や、大企業、官公庁の管理職、中小企業の経営者)たちは、その専門性のために、収入が高く、かつ副業も可能なのです。
マスである「中間層」は副業ができていない。
しかし、人数の多い「中間層」にあたる人たちは副業を持つ割合が低く、彼らの中では、副業がまだ一般的ではありません。
とくに「中間層」の代表である「大企業のジェネラリストたち」が、副業に二の足を踏んでいるようです。
副業をやらなければならないほど、金銭的に不自由はしておらず、副業への切羽詰まった動機はない。
大企業で「下請けの管理」はやってきたが、あまり自分で手を動かしたことがない。
営業も人事も法務も少しずつかじってきたけれども、特化しているわけではない。
一つの会社に20年以上在籍しており、他社をよく知らない。
こんな状況では「自分には副業をやるほどの専門性がないのでは」とか、「私にできるだろうか?」という不安を持つのも無理はなく、副業率が低いのも納得です。
しかし一方では、彼らは「副業」に意義を見出しやすい層でもあるのです。
なぜでしょうか。
それは、大企業ではほとんどの人が、管理職になれるほど出世できないからです。
課長以上になれるのは、同期の1割から2割程度でしょう。
30代の後半ともなれば、自分のポジションや収入の上限は嫌でも見えてきますから、中には、
「自分は適切に評価されていない」
「好きでもない仕事を嫌々やっている」
「この職場は自分の本当の居場所ではないと感じている」
と、感じつつも、家族のため・生活収入のために我慢しているサラリーマンが数多くいるのです。
そんな彼らからすれば、「社外で収入を得て、評価されるチャンス」は、魅力的です。
事実、川上氏の調査*3では「副業が、キャリア面での不満を軽減し、幸福に寄与する場合がある」という結果が出ています。
副業を希望している人と副業を持っている人を比べたときに、その実感に差異はあるのでしょうか。(中略)
この結果は、「自分が今やっている本業の仕事だけではキャリアの先行きが見えない」とか、「スキルが高まっている実感がなくてキャリア面で不安や不満がある」という状態が、職業の制限はありますが、副業を持つことで改善しうることを示唆しています。
中間層に「副業」への道を開くプラットフォームやコンテンツ
このような世相を反映し、徐々に「中間層」に道を開くためのプラットフォームやコンテンツが、世の中に出回ってきています。
代表的なのはリンダ・グラットンの「ライフ・シフト」です。
この本の主題の一つは、「人生の選択肢をどう多様化するか」であり、仕事の複線化を推奨しています。
また、経済産業省の資料*5などにおいても紹介されていますが、web上には「副業」を扱うプラットフォームが複数出現し、副業を見つけることが容易になってきています。
・スキルシフト
・サンカク
さらに、本メディアの運営会社(ティネクト株式会社)のメンバーも、大前研一氏が設立したABS(アタッカーズ・ビジネススクール)にて、副業で講座を持っています。(当社は社員に対して副業を推奨しています)
講座名は「会社依存脱却プログラム」 ~会社外収入を稼ぐ”インディペンデントプロデューサー”への道~。
「副業の方法」と「メンタル面でのサポート」の2つを軸として、副業希望者のサポートを提供しています。
講座の卒業生の「モトさん」は、大手通信系のソフトウェア会社に勤めていますが、40歳を超え「このまま会社に依存していてよいのだろうか」という疑問をもちつづけていました。
大学院時代の知人を通じて、業務フローの整理や、調査報告、プロジェクトマネジメントの業務を請けていましたが、講座で「自分の武器」に気づいたと言います。
また、ECサイトの運営にも興味を持ち、M&Aを通じての買い取りを検討しています。
もう一人の卒業生の「Sakuさん」は、社会人25年目で、当時の上司とウマがあわず、適応障害を発症、休職中に降格人事に合い、築き上げてきたものが崩れ落ちる感覚を味わいました。
休職中に転職活動を試みたものの、専門的な知識を求めている求人が多く、書類で何百社も落ちて凹んだそうです。
会社での出世の道は絶たれましたが、Sakuさんは、今後の生き方を模索するためアタッカーズ・ビジネススクールのプログラムを受講しました。
そこでは、同じような悩みを持つ仲間たちに出逢い「自分がやりたいことを、好きにやっていくほうがいい。」と自分の存在意義を再認識し、自分の本当にやりたいことが見えたと言います。
自身の「WILL」の実現に向けた第一歩として副業を探した結果、「出向をしていた時の上司」から声がかかり、カーボンニュートラルのコンサルティングの仕事をやるようになりました。また最近では市からNPOの紹介を受け、子供たちへの金融教育のボランティアの準備をしています。
このように「今いる会社でのキャリア」にこだわらず、別の世界で副業を始める人が次々と出現しているのです。
副業はいつ始めても遅すぎるという事はない
副業は、いつ始めても遅すぎるという事はありません。
別の世界へ飛び込むことは、いつでも可能なのです。
・会社の看板を外しても個人の力で生きていく自信をつけたい方
・会社人間から脱却し、複数の組織と関わりながら自由な働き方を獲得したい方
・働き方そのものを変えたい方
・自分に正直な生き方をしたい方
・会社を退職後にどう生きていったらいいのか分からない方
もしこうした課題をお持ちであれば、以下のリンクから情報提供を行っていますので、ご覧ください。
【『会社依存脱却』を実現する3ステップ(36ページ)ダウンロードページ】
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<イベント内容>
・講師自身の『サラリーマンライフ・クライシス』原体験
・どうやって自己喪失感から立ち直ったのか?
・つまり、会社を辞めずに何をすればいいのか? それは「自律」「実践」「仲間作り」である。
※内容は、進行の都合により変更になる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
<イベント趣旨>
これからの人生、生活や家族、自分のためにもまだまだ働き続けなければいけないことはわかっているものの、心の底から人生を楽しんでいるわけではない気がする。人生このままでいいのだろうかと思っている自分がいる。
「まだまだやれるはずなのに、、、おかしいな」
「なんか頑張る気が起きない」
「なんとなく疎外感を感じる」
「自分の存在価値ってなんだろう・・・」
「この会社に居続ける意味ってあるんだろうか?」
こんなモヤモヤを抱えているのは、あなただけではない。『会社依存脱却プログラム』の講師を務める倉増氏も大手広告会社でのサラリーマン生活時代に同じような葛藤を“強烈に”味わい、もがき抜いた末に、自己喪失感からの克服を経て、その後【自分の強み】【自分の関心テーマ】【自分のありたい姿】を自覚できるようになり、それを他者にも語れるようになった上で、広告会社を卒業し、次のステージに進んだ。
そんな実体験を持つ講師からのメッセージが『会社依存脱却とは、会社を辞めることではない!』。
むしろ安易に会社を辞めることを否定している。そのメッセージの意図はどういうことなのか?を明らかにする
【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
◯Twitter:安達裕哉
◯Facebook:安達裕哉
◯有料noteでメディア運営・ライティングノウハウ発信中(webライターとメディア運営者の実践的教科書)
*1 厚生労働省 副業・兼業
*5 経済産業省 近畿経済産業局 第23回 副業・兼業人材を活用するという選択肢 を取りまとめました!
Photo by Rezal Scharfe