身内褒めで恐縮なのですが、楽しいことがあったのでちょっと書かせてください。

先日、中学三年生の長男が、中学の友人たちと関西旅行に行っていました。で、色々と感心しました。

まず最初に、ちょっとこの画像を見ていただけるでしょうか。

なんの時刻表だ、と思われるかも知れないですが、長男が作った、友人たちとの旅行の行程表の一部です。

最初は手書きのメモだったんですが、彼最近Excelが使えるようになりまして、この表もいつの間にかExcel化されてました。

 

私は鉄道にそこまで詳しくないので、この行程表を作るのにどれくらい手間がかかったかまでは分からないのですが、相当きっちり考えられているように見え、よくまあここまで作り込んだなあ、とは感じます。

 

長男小さな頃からプラレール好きで、現在も順調に乗り鉄として成長しています。

進学先を選ぶ際も、「鉄道研究部がある中学に行きたい!」という強力な動機で中学受験を希望しまして、受験勉強をめっちゃ頑張ってました。

 

で、念願叶って鉄研への入部を果たしまして、そこでの友人たちとちょくちょく鉄道小旅行にも行っていたんですが、今回ちょっと大がかりな、泊りがけの旅行を計画しました。

 

本当は夏頃に行く予定だったのですが、コロナの罹患などの事情もあって一度流れちゃいまして、先日ようやく実現したんですよ。

 

このご時世ですから、もちろん色々と気にしないといけないこともあり、友人たちのご家族とも何度もやり取りを重ねて、最終的に妻も付き添いで着いていくことにはなったのですが、宿泊時以外はほぼ友人たちだけで行動していました。

計画も旅程も切符の手配もタイムスケジュールも、殆どは友人同士話し合って、長男が中心になって決めたことです。

 

旅行の費用についても、さすがに全額とはいかないんですが、家の手伝いによるお小遣いを貯めて、大部分は自分で稼いでました。

 

彼、中学に上がったくらいから料理に目覚めまして、現状私より遥かに料理スキルが高いのですが、私も妻も忙しい時、代わりに夕飯を準備してくれることがあるんですよ。

それが結構美味しくって、これはちゃんと報酬を払わないといけない、となって家庭内アルバイトみたいになってます。

 

で、ちょうど関西で雪が降った時期でもあり、途中色々と行程トラブルもあった岡山でシステムトラブルにより運転見合わせが発生したりとからしいのですが、なんとかもろもろリカバリーして、二泊の旅行の後無事に帰宅しました。

帰ってきたその日は「楽しかったぁ……」と言いつつベッドに倒れこんで、あとはほぼ一日中寝てました。

 

昨今、中学でも宿泊系のイベントが軒並み中止になってしまっていることもあり、何かしら楽しいイベントをさせてあげたいな、と思ってはいたんですが、もはや私などが気にする必要すらなく、自力で超楽しいイベントを計画・実行してしまったわけです。とても素晴らしいと思います。

 

で。

準備段階から感心していたんですが、長男、今回のイベントに滅茶苦茶熱い情熱を注いでいまして、計画から根回しから連絡から、物凄く頑張ってたんですよ。

 

特に「やるなあ」と思ったのが、中途中途の進捗確認、及び事前連絡です。

こちら、長男が旅行メンバーの保護者も巻き込んで用意したLINEのグループチャット(ちなみに、掲載については本人に相談して、「これならいい」と言われています)なんですが、ここで長男、注意事項とか連絡事項とかこまめに発信してまして、「段取り大丈夫かなあ」とか「みんなちゃんと切符買ったかな、何度もアナウンスしてるんだけど」とか、しきりに気にして何度も確認メッセージを流していたんですよ。

 

「なかなか回答してくれない人もいるけど、まあ切符さえとれてれば何とかなるか」といった言葉も聞きましたし、どこまで事前確認するかのアドバイスもしました。

 

ただ計画を立てるだけではなく、その計画に親をちゃんと巻き込んで、細かいところまで考え抜いて、しかも中途中途で確認を投げている。

メンバーの反応頻度もそれぞれということを理解して、とはいえ最低限抑えないといけないラインも把握していて、リカバリープランも考えている。

 

つくづく思ったのが、「ああ、これは滅茶苦茶貴重な経験だなあ」と。

 

将来この経験が活きる時が確実にくるだろうなあ、と。

「これ、進研ゼミでやったヤツだ!」的な場面に間違いなく突き当たるだろうな、と。

 

長男がしたことって、

・同じ動機をもつメンバーを集める

・計画について話し合う

・その計画を可視化、文書化し、共有する

・相談出来る場を用意する

・そこにステークホルダー(親)も参加させ、根回しを行う

・各メンバーの進捗確認と認識合わせを、ステークホルダーも見ているところでこまめに行う

・トラブル時のリカバリプランを作成する

・プロジェクトを実施し、トラブル時にはリカバリを行う

ってことで、もう丸々プロジェクト管理なんですよね。

「旅行を成功させる為」という目的で、プロジェクト管理を丸々やっている。私が家族旅行を計画する時だって、ここまで細かくはやらないと思います。

 

特に偉いと思ったのが「進捗確認と認識合わせをこまめにする」ということでして。

 

これ、私もあんまり人のことは言えなくて申し訳ないんですけど、何かしら楽しい計画やプロジェクトがあったとして、どれくらいまめに連絡への回答をくれるか、って本当に人によって千差万別なんですよね。

計画に対する熱意は人それぞれ、返信の頻度や環境も人それぞれであって、「なかなか返事をくれない」からといってやる気がないとも限らないし、単に返事をくれたからといって、本当に内容を把握しているとも限らない。

 

それに対応する方法って、結局「必要な情報についてはまめに連絡する」「仮に連絡がとれていなかったとして、次善のリカバリプランも決めておく」ということしかないんですよね。

この辺の勘所って、プロジェクトやイベントを運営していると必ず突き当たる部分ですし、一方「すぐ返事をくれる」というのがどれくらいありがたいことなのか、というのも分かる。

 

「ステークホルダーである、各メンバーの親も参加させる」というのも非常に重要なところで、時世も時世ですし、いくら旅行を計画したって「家庭の方針」「親の反対」ということが発生してしまうと、土壇場になってどうしようもなくなることだって考えられるんですよね。

トラブル時のリカバリだって、子どもだけではどうにもならないこともある。トラブルが発生してから「聞いてなかった」と言われると大変困る。

 

けれど、「親が見ているところで必要な情報をやり取りする」という場面を作ってしまえば、少なくとも「ああ、ちゃんとやってるんだな」と認識させることは出来るし、たとえトラブルが発生しても「知らなかった」とはならない。

ちゃんと責任を分散させることも出来るわけです。

 

この辺、仕事問わず趣味問わず、どんな業界、どんな分野でも活きる経験、スキルだと思うんですよ。

 

「素晴らしい経験をしているなあ」と親として喜ばしく思うのと同時に、私は長男を、一人の趣味人として尊敬します。

「やりたいイベント」にここまでの熱意をつぎ込めるのは本当に凄い。

 

「電車好き」という特性がここまで長男の人生を豊かにするとまではさすがに思っていませんで、プラレールで遊んでいた3歳くらいの頃から、ずいぶん遠くまで来たもんだなあ、と感じ入った、という話なのです。

 

***

 

一般論として、趣味にどれだけのリソースをつぎ込めるかというのは人によって違いますし、その趣味が何かしら「いい経験」を生み出すとも限りません。

 

そもそも趣味は、「楽しい」というそれだけで尊重されるべきであって、「いい経験が出来るかどうか」「役に立つかどうか」なんて物差しをそこに持ち込むべきではありません。

当然TPOだってわきまえる必要がありますし、生活やら勉強やら、他の諸々のリソースとの配分だって考えないといけないでしょう。

 

ただ、その前提を置いた上でも、「何かが好き」ということが時としてとんでもないエネルギーを生み出せることは確かですし、その実例を目の当たりに出来たことについては本当に喜びしかないなあ、と。

 

長男だけの話ではなく、これからも子どもたちの「何かが好き」には可能な限り協力していきたいし、そこから子どもたちの興味が、人生が広がっていくのなら、親としてこれ以上幸せなことはないなあ、と。

 

そんな風に考えた次第です。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

Photo by:Chan Young Lee