日常には、アドバイスを求められるシーンがあります。
例えば、こんな具合です。
「転職したほうがいいかなあ」
「どうしたら結婚できるかな」
「上司と合わないんだけど、どうすればいい?」
優しい人ならば、きっと「力になりたい」と思い、その人のために一生懸命、アドバイスを考えることでしょう。
しかし、よほど訓練を受けた人でなければ、アドバイスは辞めたほうがいいのです。
場合によっては、お互いに不快な思いをしてしまうかもしれません。
*
私はコンサルティング会社で長いこと働いてきました。
多くの方は、コンサルタントは、アドバイスを生業としているイメージがあると思います。
が、コンサルティング会社ですら、その内部で新人を教育するときには
「とにかく、お客さんに対してアドバイスをするな」
と教わりました。
いったいなぜ、「アドバイスをするな」と教えるのでしょう。
端的に言えば、「アドバイスは難しい」からです。
このように聞くと、「確かにアドバイスは難しいけど、専門家なら解決策を見つけるのはそれほど難しくないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
そうです。
そのとおりです。聞かれたことに対する解決策を見つけるのは、実は難しくないのです。
例えば、
「痩せたいんです、どうすればいでしょう?」
という方に対して
「食べる量を減らして、運動せよ」
という、唯一の解決策は、誰にでもアドバイス可能です。
しかし、「アドバイスが適切か」という観点からするとどうでしょう。
「食べる量を1日2食に減らして、運動すればいいんだよ!筋トレ週2回やってるよオレ。」
なんて言われても、恐らくそのアドバイスはほとんど役に立たないばかりか、相手にむしろ
「そんなのできないから悩んでるんだろ。マウント取ってくるんじゃねえよ」
と思われてしまうかもしれません。
アドバイスは正しくとも、実行は別。
これが「難しさ」です。
*
さらに、難しい問題もあります。
アドバイスを欲しがっていそうな人であっても、実はアドバイスを求めていないことが多いのです。
例えば、こんなことがありました。
「家の片付けがどうしてもできなくて……困ってるんだよね」
と知人に言われた時のことです。
片付けの神様として有名な、「こんまり」さんも言うように、本質的には、片付けはまず、捨てることから始めねばなりません。
私は、気の置けない知人相手だと、すっかり油断していました。
ですから、「アドバイスをするな」という禁を破って、思わずアドバイスらしきことを言ってしまったのです。
具体的には、「人生がときめく片づけの魔法 」が良かったよ、程度のことを言いつつ
「片付けの時間を取ったほうがいいよね」
程度の軽い話をしました。
すると、相手が困った顔をしました。
「どうしたの?」
と聞くと、
「ありがとう、でも忙しくて片付けする時間が取れないんだよね」
というのです。
察しの悪い私でも、さすがに気づきました。
「ああ、これはアドバイスを求められてなかったやつだ」
と。
愚痴のようなものを聞いてほしいだけの時が人間にはあります。
それに対して「マジレス」をしてしまい、相手を驚かせてしまいました。
本質的には「人間はアドバイスを求めてない」
様々な場面での、コンサルタントの経験から、私は次のように結論付けています。
「人間は、よほどのことが無い限り、そもそもアドバイスを求めてない」と。
多くのコンサルタントとしての仕事も、
「アドバイスをする」というよりは、「相手のやりたいことを後押ししてあげる」という仕事の方が、圧倒的に多いのです。
要は「アドバイスは要らん。手伝いはほしい」です。
コンサルティングが「高級人材派遣」と呼ばれる所以はここにあります。
あながち間違っていません。
そもそも、いくら正しくても、他人の意見は、実行されません。
実行されるかどうかの基準は、正しいか正しくないかだけではなく、自分がやりたいかどうかです。
ただし、人間が面倒くさいのは、
「他の人の意見を聴いたうえで、自分の意見を採用した」
という事実が必要なことです。
一人では決めるのが不安、だから、心の中ではもう決まっているけど、他の人の意見を聴いてみよう。
その時は、余計なことを言わずに、「それいいね」と言ってもらいたい。
これが多くの人の「アドバイス」に対する本音です。
もちろん、例外的に「客観的なアドバイスが欲しい」という、メンタルの強い人もいます。
本気で困っていて、にっちもさっちも行かず、アドバイスを求めている人も、存在はしています。
しかし、デフォルトでは
「人間はアドバイスなど必要ない」
という考え方のほうが、圧倒的に汎用性があります。
ひどいときには、「上司に困っている、意見が欲しい」と言いつつ、本当に客観的に意見を言うと、
「自分は悪くない、悪いのは上司、あの人が来てから部署がおかしくなった」
など、愚痴と自己正当化に走る人もいます。
「これから頑張りたいので、どうすればいいか教えてほしい」
と言いつつ、「これをやってください」というと、激しいえり好みを見せる人もいます。
「仕事の相談です。どうしたらいいでしょうか」
と聞いてきたかと思うと、結局「私にはできないので、課長がやってください」と、丸投げをしてくる人もいます。
最初は「アドバイスが欲しいとかウソじゃねーか」と、私も戸惑いました。
しかし、今では、それでいいのだ、と思っています。
結局、自分が何をするのかは、自分で決めなければならないのですから。
ですからアドバイスを求められている時には、コンサルタントを気取るのではなく、「カウンセラーの所作」が役に立つと思います。
私が読んだ中でも、最もお勧めは上の書籍です。
特に、
・避雷針になる(ひたすら愚痴を聞いて、聞いたらすぐに忘れる)
・自分のことは話さない
・他人のことはできない(から、聞いたら放っておく)
・聞かれたことしか話さない
・情報以外の助言は無効
・評論家にならない
・ListenせよAskするな
などの技術は、非常に参考になります。
以下に目次を載せますので、興味ある方はぜひ手に取ってみてください。
本当にアドバイスを求められているとき
もちろん、なかなか、わかりにくいのですが。
「本当にアドバイスを求められているとき」もあります。
そういう時に、「適当に聞き流す」のは、相手にとってよくありません。
ですから、本気かどうかを確かめたいのであれば、その時は、こう聞いてください。
「わかりました。私は何をお手伝いすればいいですか? 何かできることはありますか?」と。
要は、「手伝い」を申し出る。
これは、コンサルタントの営業の時も行われていた手法で、最後のクロージングの時には
「我々がお手伝いしたほうが良いことはありますか?」
と聞いていました。
相手がはっきりと「要求」をし、それに対する「責任」を引き受けてくれる時には、アドバイスを引き受ける必要があります。
それについては、以下でも触れていますので、参照していただければと思います。
昔、私はお世話になった方から「勝手に人を助けるな、「助けてくれ」とはっきり言う人しか、助けないほうがいい」と言われたことがあります。
「どういうことですか?」と聞くと、彼は次のようなことを言いました。
まず、「勝手に人を助ける」とは、はっきりと助けを求められていないのに、何となくその人を助けてしまうこと。
いわゆる「善意」に近い。
しかし「善意」は問題を引き起こしやすい。
現場からは以上です。
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【著者プロフィール】
安達裕哉
生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」65万部(https://amzn.to/49Tivyi)|
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Photo:Masjid MABA