リクルートではカルチャーとして、何かを上司に相談すると「あなたはどうしたいの?」と聞かれるという。
リクルートにいたとき、上司に何を聞いても「お前はどうしたいの?」しか言われなくてなんだよコイツって思ってたけど、あるとき「どうしたらいいですか?」ではなく「こうしていいもですか?」と許可を求める行動をしろと言われた。自分の意志がない仕事は楽しくないだろと。すごく真っ当だよねこれ。
— moto (@moto_recruit) November 17, 2025
私が所属しているコンサルティング会社でも、同様のカルチャーがあり、
「で、安達さんはどうするの?」
「安達さんはどう思う?」
と、上司に何度も言われた記憶がある。
実際、自分の意見を持ってない状態で、上司に答えだけ求めるようなコンサルタントは
「使えないやつ」認定されて、キャリア的にも厳しい。
まあ、そうだろう。
「上司が出した案をそのままやるだけ」
の社員を、客先に行かせたり、出世させるわけには行かないだろうから。
「どうしたいの?」はパワハラ
ただ、この「どうしたいの?」という聞き方。
人によっては、強いプレッシャーを感じるらしい。パワハラだという人もいる。
だから、こんなふうに揶揄される。
リクルートの有名な「お前はどうしたい?」みたいなのも、別に主体性を求めて裁量を与えるようなものではなく、何かあった際に末端に責任を押し付ける社内政治話法に過ぎない
— ふどあ (@fd_a_e) October 20, 2025
気が強いリクルート上司みたいな奥さんとか将来のワイで草
『あなたはどうなりたいの?』
『あなたはどうしたいの?』
『5年後の目標は?』
って彼氏に詰めていつも嫌がられてるワ
人間だったら目標ぐらい持つでしょ?なんで目標なしで生きてるの?なんで?
っていつも詰めてる自分もパワハラで草草草 https://t.co/zSrFsN3XVZ— ぱんだ@転職×投資OL🐼🤍 (@panda_kkkq) February 26, 2025
冒頭のツイートをしたmotoさんも、
上司「キミには、自分の意志はないの?ただ言われたことだけやって、いざとなったらどうしたらいいですか?って、それ仕事していて楽しい?自分の意志がない仕事なんて、やってて楽しくないでしょ?」
と詰められた話を書いている。
このギャップがなぜ生じるのか、といえば、非常にシンプルで、
「裁量を持つこと」に対する態度が、人によってかなり異なるからだ。
仕事において
「できるだけ責任を持ちたくない ≒ できるだけ裁量を小さくしたい」
と考える人と、
「大きな責任を引き受けたい ≒ 裁量を持ちたい」
と考える人が両方いる。
そして、できるだけ責任を持たず、できるだけ裁量を小さくし、あるいは、できれば仕事をしたくない、と考える人にとって、
「あなたはどうしたいの」という質問は苦痛以外の何物でもない。
「早く答えを教えろよ……仕事したくないんだからさ」
という人に、「どうしたいの」などと聞いても、「(知らねーよ)」で終了だ。
だから、こういう質問は、
「仕事にやる気と向上心があって、年収1000万円以上の給料をもらっている人」
に対してするべきであって、
「特に仕事が好きでもない、早く家に帰りたい、年収が400万円の人」
の人に要求するべきものではない。
彼らは、「どうしたい」を決めるべき給料をもらっているわけでもなく、また、それを決めたいわけでもない。
だから、そうした期待をされても困る、と思っている。
そういう人たちに、「リクルート」の話を聞きかじって、「どうしたいの」と言っても、白い目で見られるだけである。
「聞くべき人を間違えた」
ということだ。
そもそも、多くの人は「仕事でやりたいこと」なんてない
そもそも、多くの人は「仕事でやりたいこと」なんてない。
ちょっとカッコよく見えて、楽に高い給料が貰えれば、仕事内容なんて、(よほどのことでない限り)なんでもいいのだ。
例えば、日本財団の調査では、18歳の若者が「企業選びで重視すること」のトップは、
1.給与や待遇が優れている 52.6%
2.福利厚生が充実している 35.7%
3.希望する業界である 33.2%
4.ワークライフバランスが充実している 31.0%
となっている。
自己実現とか、やりたい仕事とか思っている人は、多少はいるだろうが、基本的には少数派だ。
逆にそういうことを「本気で」考えている時点で、「意識の高い」「仕事に前向きな人」と判断して良いかもしれない。
もちろん、企業はそういう人を求めているのだろうが、この採用難の時代に、大した給料も払っていない人に、そういうことを求めるのは厳しい。
いい人材は、金がかかるし、安く使える人たちに、「考えてうごく」ことを過剰に期待するほうが間違っている。(やってくれる人もいるけどそれは例外)
多くの人は仕事を「何をやらないとマズいか」だけで判断している。
こういう状況であるから、多くの人は
「どうしたいの?」
と聞かれても、答えは唯一つ。
「そんなことはどうでもいいから、何をやらないとマズイのかを早く教えろ」
と思うだけだ。
そういう場合は、望み通りにしてあげるとよい。
文字通り、「何をやると給料がもらえて、何をやらないと罰されるのか」を伝えるのだ。
この際、「自主的に」とか「自ら考えて」とか、そういうのは忘れる。
彼らが仕事に対して、最優先に考えているのは、「何をすれば、給与が滞りなくもらえるか」だけなのだから。
逆に言えば、「何をやりたいのか」を「(かっこつけではなく)本気で」きちんと伝えてくるような部下は、鍛えれば幹部になれる素養がある。
貴重な人材だ。
あるいは、「やりたいことなど ない」と言っていた人も、時がたつと変わることもある。
そういう時にはじめて、「どうしたいの」と聞けばよいのだ。
*
なお、「学歴」と「やりたいことがある」ことは、あまり関係がない。
前者は認知能力に関する話であり、後者は非認知能力に属する話である。
賢い人であっても、仕事でパッとしないことが数多くあるのは、そのためだ。
マネジメントやコミュニケーションは常に、「相手が中心」になる。
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(2026/2/9更新)
【著者プロフィール】
安達裕哉
生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」88万部(https://amzn.to/49Tivyi)|
◯Twitter:安達裕哉
◯Facebook:安達裕哉
◯note:(生成AI時代の「ライターとマーケティング」の、実践的教科書)
〇まぐまぐ:実務で使える、生成AI導入の教科書
Photo:Nejc Soklič














