いぬじんさんの「子供の中学受験が終わった」という記事を読んだ。

 

「中学受験かぁ、懐かしいな」と思った。

いぬじんさんはもうすぐ50歳だそうだ。ということは、彼は現在50歳の私と同学年か、一つ下なのだろう。

この年齢でこどもの中学受験に伴走するのは、さぞかし大変だったろうな。

 

結婚と出産が早かった私は、すでに子育てをほぼ終えている。

長男はとっくに大学を卒業し、就職して自立しており、長女はまだ大学生だけれど、成人式を終えた大人である。

なので、私が子供達の中学受験に血道を上げていたのも、今から10年〜15年ほど前の話だ。

 

当時の自分がどんな風に子供の中学受験に取り組んでいたのか、先月閉鎖したライブドアブログに記事が残っていた(現在は非公開)ので、編集した上で、ここに転載しておこうと思う。

2017年2月20日に書いた記事なので、今からちょうど8年前の出来事を綴っている。

 

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■ニーナさんはダイヤモンドが好き

 

あー、寒いんだかぬるいんだか、よく分からないお天気ですね。

今日はあれですよ、あれの日。

 

中学入試の合格発表の日ですよ!

 

受験生のいるご家庭は、今この瞬間もドキドキしながら合格者掲示の時間が来るのを待っているのでしょうね。(注:当時はまだインターネット上の合格発表がなかった)

 

いやー、私も行った行った。あれはン年前の合格発表の日。今日と違って晴れてた気がする、覚えてないけど。

世間には学校を休ませたり、早退させたりする親もいると聞いていましたが、「そんな理由で学校休むとか早引けるってどうなんだろう?」と思った私は、ちゃんと息子を登校させました。

 

夕方に息子が息を切らせて学校から帰ってきて、二人で受験した学校(中高一貫の私立校)へ行って、

「やったぁあああ!ばんざーい!」

って、二人で叫んだよね。飛び跳ねました。

 

そりゃ、嬉しかったですよ。だって、うちは受験勉強をする時間がたった10ヶ月しか無くて、10ヶ月間みっちり二人三脚で、毎晩深夜12時とか、遅くなると1時過ぎまで一緒に勉強しましたから。

都会で生活していた頃は、生活に余裕がなくて、息子を塾に通わせられなかったんです。公立中学校に進学させる気でいました。

 

それが、結婚生活が破綻し、地元に帰ることに。

そして、教育熱心な私の実家のサポートを得たことで(親が塾代を払ってくれた)、急遽中学受験をすることになったのです。

 

けれど、

「え?偏差値に20台ってあるんだ?」

ってレベルからのスタートでした。その時点で、すでに息子は小学6年生で、4月も半ばっていう…。

あの頃は、前夫と別居したり、離婚したりもしながら、息子の4教科の成績が偏差値20〜30台だったのを、10ヶ月で60〜70台に持ってくのに集中しました。

 

あ、ちなみに偏差値20台と言っても、息子は小学校では全く落ちこぼれてなんかいませんでしたよ。むしろ賢いって言われているくらいでした。

要するに、公立小学校でやる義務教育の内容と、塾でやる受験勉強の内容に差がありすぎるのです。びっくりしちゃうよね。

 

あの時は、いわゆる母親(私)の狂気と、受験生本人である息子の短期集中型努力の甲斐あって、無事に志望校の合格を勝ち取りました。

 

あれからいくつもの春が巡って、今度は娘の番です。

残念ながら、娘は息子ほど受験に対する意欲も集中力もなく、小5の春から塾に通い始めましたが、成績は低空飛行のまま。

そこで、「このまま塾に任せてはおけない」と、息子の時と同様に、また私が横に張り付いて一緒に勉強することに。

 

昨日は、理科のテキストを復習しました。

内容は、空気や水の温度による変化についてです。

「気体の体積は温度が1℃上がるごとに、0℃の時の体積の273分の1ずつ増えます」 

 

にひゃくななじゅーさんぶんのイチ…

 

何なの、この中途半端な数字は?法則が分からねー…。

息子と違って、分からなくても数字をともかく丸暗記していくっていう勉強スタイルが苦手な娘には、これは覚えられないだろうなぁ。

お次は水です。

 

「水は0℃ではなく、4℃のとき体積が最も小さく、温度がそれより上がっても下がっても体積は増えます」

 

何これ? もう0℃でいいじゃんっていうね。なぜ4℃なのかっていうね。

 

理数系が苦手な私には、このあたりを科学的に説明することができません。

仮に説明できたとして、うちの娘が理解できるとも思えない。ともかく今は暗記させるしかないんだけど、さて、こういう中途半端な数字をどうやって覚えさせようか…。

 

そこで、私が考えた語呂合わせがこちらです。↓

私「いい?ここにNinaさんという女の子がいると思ってね。気体の体積の変化の割合はニーナさん(273)で覚えなさい。」

娘「イタリア人なの?」

 

私「イタリア人かもしれないし、ドイツ人かもしれない。少なくともヨーロッパから来たことだけは確かね。

ところで水の話だけど、4℃といえば、そういう名前の有名なジュエリーブランドがあるのよ。ほら、こういうの。綺麗でしょ?」(パソコン画面で4℃の公式HPを見せる)

 

娘「わぁ、綺麗!」

私「でしょう? だからね。水の体積はダイヤモンドって覚えなさい。いい? ニーナさんはダイヤモンドが好きなのよ。

 

では、要点チェックです。空気は温度が1℃上がるごとに、0℃の時の体積に比べてどのような割合で増えますか?」

娘「ニーナさんぶんのいち!」(273分の1ってちゃんとノートに書けました)

 

私「よくできました。では、同じ重さで比べた時、水の体積がもっとも小さくなるのは何℃の時ですか?」

娘「4℃!」

 

私「はい、よくできました。今日のポイントは『ニーナさんはダイヤモンドが好き』ですよ! しっかり覚えておきましょう。いいわね? 女の子はダイヤモンドが好きなの。」

夫「ひどい教えかただな」

 

あら、そうかしら? いい語呂合わせだと思ったのになぁ。

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今改めて読むと、我ながら何をやっていたんだと呆れもするけれど、親として子育てに励んでいた日々の楽しい思い出である。

 

結局、娘は中学受験をしなかった。小学校を卒業するタイミングで夫の転勤が決まり、引っ越しをした為だ。

引っ越し先の地域には中学受験の文化がなく、子供たちは住んでいる地域の公立中学校に進学するのが当たり前だったので、娘も家から近い中学校に通った。

 

その後、娘は中学に入ってからも高校や大学受験を見据えて塾通いが続いたものの、高校へは推薦で入り、大学も総合型選抜で合格が決まったので、考えてみたら彼女は一度も入試でペーパーテストを受けていない。

 

だからといって、塾通いや受験勉強が無駄だったとは思っていない。

結局のところ、私が子供達に身につけて欲しかったのは学歴ではなく、「学習の習慣」だったのだから。

冒頭で話したように、私は50歳になる。

学校教育を終えてから、もう何十年も経つ。それでも、「学ぶこと」には終わりがない。

 

私たちが生きている世界は、放っておいても変わり続ける。仕事のやり方も、常識も、価値観も、数年で更新されていく。そのたびに新しいことを覚え、理解して、とにかくやってみる。

それを面倒だと思わずにいられるかどうかは、才能よりも習慣の問題だと思うのだ。

 

泣いたり笑ったりしながら受験を終えた全国のお父さんお母さんへ。

目の前の結果だけで、どうか一喜一憂しすぎませんように。

 

受験の合否は、その年の出来事に過ぎないけれど、日常的に学び続ける力は、その後の人生を長く支える基礎体力となるのだから。

 

 

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(2026/4/7更新)

 

 

【著者プロフィール】

マダムユキ

ブロガー&ライター。

リンク:https://note.com/flat9_yuki

Twitter:@flat9_yuki

Photo by :Aaron Burden