最近、「キュレーション」という言葉をよく耳にします。
もともとは博物館や美術館の展示品をセレクションする人々を「キュレーター」と読んでいたことから出た言葉で、転じてインターネット上の情報にフィルタを掛けてくれるサービスのことを「キュレーション」と呼んでいます。
人力の時代、キュレーターの第一走者Yahoo!とリンク集
さて、この「キュレーションサービス」ですが、おそらくインターネット上で最初にメジャーとなったのはYahoo!でしょう。
当時、Webページの数が飛躍的に増えた時代、自分で良質のコンテンツを探すことが難しくなりました。Yahoo!はその状況に目をつけ、人力で良質なリンク集を編集し、提供したのです。結果は大当たりで、インターネット上の巨人として君臨しました。
思い起こすと、当時にも検索エンジンはあったのですが、精度が低く、誰かがまとめたリンク集のほうがはるかに価値がありました。検索エンジンはリンク集を探すためのものと思っていて、よく「(調べたい事)(リンク集)」というキーワードで検索をしたことを覚えています。
掲示板もキュレーターだった
さて、その当時はリンク集以外にも貴重な情報源がありました、それは、いわゆる掲示板というやつです。今ももちろん健在ですが2ちゃんねるのような巨大掲示板は素晴らしいキュレーションをしてくれていたのだと思います。
そこに行けば何か見つかる、そう思えるようなコンテンツが当時はありました。しかしインターネットの利用者が多くなるにつれ、リンク集や掲示板のような、人力のサービスに陰りが見え始めます。大量の情報を処理しきれなくなってきたのです。
Googleの台頭、機械キュレーションの時代
さて、そこに究極のキュレーターが現れます。ご存知Googleです。Googleはそれまでの検索エンジンと全く異なるコンセプトを持ったキュレーションを行いました。完全に機械が生成するキュレーションです。
彼らのコンセプトの中で最も成功を収めたのが、「評判の良いサイトからリンクが貼られているサイトは良いサイトである」というものでした。この考え方を元にサイトを機械的にランキングし、付けられた ランクをもとに表示する。
これはYahoo!を、はるかに超える精度の検索結果を生み出し、インターネットの入り口は事実上Googleのみとなりました。この頃から、取りあえず調べ物はインターネットを検索してみる、というスタイルが確立してきたと思います。
Facebookの興隆、機械キュレーション VS ソーシャル・ネットワーク
さて、Googleの台頭は現在も続いていますが、最近は少し様子が変わってきました。Googleの検索結果はたしかに素晴らしいのですが、自分のプライベートに関わる情報、例えば友人の近況などは検索できません。もっと個人に近い情報が欲しい。それに対応してきたのがFacebookやTwitterなどのSNSです。
SNSは極めて自分に近い情報のキュレーションを行います。個人の好み、行動、人間関係を元に生成される情報の流れであるタイムラインは、Googleの検索結果と全く異なる情報をもたらします。これが人々に受け入れられ、FacebookやTwitterはGoogleと対抗するまでになりました。
現在の新キュレーションサービス
さて、これからキュレーションはどうなるのでしょう?キュレーションを制するものはインターネットを制する、これは歴史が証明しています。しかも、我々は、相変わらずインターネットで欲しい情報を得ることができていません。
例えば、「良い文章を書くコツ」を 調べてみてください、どのサイトをを参考にすればいいのかわからないくらいの多量の情報が表示されます。また、携帯端末には広告とも記事ともつかないようなニュースがうんざりするほど配信されます。
そういった現状をみて、次世代のキュレーションスタンダードを狙うサービスも数多く登場しています。はてな、naverまとめやgunosy、togetterなど、有象無象ありますが、まだGoogleやFacebookには遠いイメージです。なぜなら、基本的にリンク集、機械キュレーション、もしくはSNSの枠組みから出ていないからです。
ブレイクスルーはキュレーションを目的としないサービスから生まれる
Facebookは最初、キュレーションを目的として作られたものではありませんでした。キュレーションを目的とせず、他のサービスから次のブレイクスルーが生まれるような気がします。例えばAmazonの”おすすめ”は間違いなくキュレーションです。あるいは、Evernoteの中には大量にその人がクリップした情報が含まれており、その情報は非常に有用なキュレーションをもたらすかもしれません。
ブレイクスルーは他の業界から。想像していなかった場所から起きる。そう思います。
(2025/7/14更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは
【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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