前職、数々の企業のプロジェクトに参加しなければならなかった私は、いろいろな会社の管理職の方々を比較し、「良い上司」と、「ダメな上司」を見分けることが重要な仕事の一つだった。

なぜならば、「ダメな上司」にプロジェクトの責任を持たせれば、まずプロジェクトはうまくいかないし、「良い上司」に責任を持ってもらえれば、多少のトラブルが発生してもプロジェクトはうまくいく。

 

コンサルタントはあくまでも部外者であり、成果が出るかどうかはその会社の社員の方々の働きぶりに依存する。そして、社員の方々に命令できる権限を持っているのは、その上司たちである。だから、プロジェクトが開始されると、私はまず「どの人が「良い上司」であるかを見極める」ことに多くの時間を割いた。

 

そして、どの組織にも、「良い上司」と、「ダメな上司」がいた。そして、面白いことに、「社内の評判が良い」からといって良い上司であるとは限らないし、逆も真なりであった。社内の評判が良いからといってその人に仕事を任せると、後になって「何もやっていない」ということが発覚し、大きな問題となってしまう。

だから、私は「良い上司かどうか」を見極める際に、社内の評判に依存しない判断基準を設ける必要があった。

もちろん万能の判断基準はない。時には全く当たっていないこともあった。だが、多くの会社で検証した結果、それなりに使える判断基準ではあったと思う。

 

 

「良い上司」と、「ダメな上司」を見分ける基準6つ。

 

1.「良い上司」は、部下の得意なことについての自慢話が多い。「ダメな上司」は、部下の苦手なことについての愚痴が多い。

「良い上司」は部下について話す際に、「アイツはこれができる」「アイツはこれがスゴイ」という自慢話が多い。「こんな面白い部下と仕事ができて幸せだ」という。

「ダメな上司」は、「アイツは◯◯ができない」「アイツは◯◯が苦手だ」という話が多い。

 

2.「良い上司」は、機嫌が良さそうに働く。「ダメな上司」は、機嫌が悪そうに働く。

「上司がどのように働いているか」は、部下に大きな影響力がある。そして、「良い上司」は大抵の場合いつも上機嫌だった。心中は分からないが、辛いことや、クレームをもらった時も「機嫌よく、しかしキチンと」対応していた。

逆に「ダメな上司」は、大抵機嫌が悪そうであった。もちろん、あからさまに当たり散らす、ということは無い。しかし、上司の機嫌が悪いことは皆知っていた。そのような上司は大抵の場合、「重要な事を知らされていない」事が多かった。

 

3,「良い上司」は、「ウチの会社の魅力」をきちんと語ることができた。「ダメな上司」は、「ウチの会社の課題」しか語れなかった。

「良い上司」は、もちろん会社の課題を知っていた。が、それについて言及する時は必ず「ウチの会社、仕事の魅力」についても語っていた。

「ダメな上司」は、「課題」しか見えておらず、部下に「うちの会社のいいところ」を伝えていなかった。

 

4.「良い上司」は、謝れた。「ダメな上司」は、謝れなかった。

どんなに能力が高い上司でも、人は必ず間違う。その時の態度は重要だった。

「良い上司」は、自分がまずい指示を出した時には非を認め、謝罪し、次の指示を素早く出した。軌道修正が早かった。

「ダメな上司」は、自分がまずい指示を出した時、それを正当化しようとして多くの時間を使う。軌道修正が遅いのだ。彼らは「謝ると自分の威厳が傷つく」と考えていた。

 

5.「良い上司」は、「自分と違う考え方をする人」を重視した。「ダメな上司」は、「自分と同じ考え方の人」を重視した。

会議などにおいて、「会社のため、顧客のため」という前提を貫いている限り、「良い上司」は、「自分と違う考え方をする人」を重視した。それにより課題に多くのアプローチができた。

逆に「ダメな上司」は、自分と同じ考え方の人ばかりを重視した。時には自分と違う考え方をする人を排除した。部下はそれを察し、「会社のため、顧客のため」ではなく、「上司の考え方を知ろう」と努力した。

 

6.「良い上司」は勉強した。「ダメな上司」は、過去の経験に頼っていた。

「良い上司」は昇進してなお、勉強し続けていた。情報を集め、本を読み、経験から法則を導き、実践から修正する。そして部下からも学ぶ。そういった地道な努力を積み重ねていた。

「ダメな上司」は、昇進すると勉強を止めた。「過去の成功体験」が彼らの判断基準であり、それに違反することは許されなかった。

 

部下を全くほめない「良い上司」もいた。人当たりのとても良い「ダメな上司」もいた。しかし、上の6つについてはそういったことと全くかかわりなく判断をすることができた。

ご参考に慣れば幸いである。

 

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(2024/3/13更新)

 

 

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