1を聞いて10を知る。

そういう言葉がある。ご存知の通り、僅かなことを聞くだけで、多くのことを理解する人を形容するときに使われる言葉だ。

数は少ないが、昔の部下の中にもこのような人物がいた。

例えば、先輩から「ダイレクトメールの作り方」を習ったとする。

当たり前だが、普通の人はダイレクトメールの作り方をならっても、提案書や企画書を作れるようにはならない。それは「別物」だからだ。

しかし、中には頭の良い人がいて、「ダイレクトメールの作り方」を習っただけのはずなのに、「提案書」「企画書」「報告書」「マニュアル」の作成すべてに、それらのノウハウを活かすことのできる人がいる。

そういう人は

「1を聞いて、10を知る人」である。

 

 

僅かな入力から、大きな出力を得られる彼らは基本的に仕事ができる。

だが、彼らは一体なにをしているのだろうか。

「頭が良い」と一言で片付けず、彼らに学ぶ所はないのだろうか。

 

そう思っていた所、その「1を聞いて10を知る」タイプの人が、仕事をどうやっているのかを観察する機会に恵まれた。

 

 

例を挙げよう。新人の営業が先輩から営業を習っているとする。

 

「営業にとってもっとも重要なのは、お客さんの話を聴くことです。要望をきちんと聞くことで、お客さんから信頼してもらえます」

と先輩が言うと、普通の人は

「なるほど。それならどうやって聞けばよいのか教えて下さい。」と思うだろう。だから「質問はありますか?」と聞いても、殆どの人は無言だ。

 

だが、私が観察したところでは「1を聞いて10を知る人」は、このように発想する。

「なぜ、聴くことが重要なのだろうか。」

「そもそも聴くことではなく、話すことが重要なシーンはあるのだろうか」

「そもそも「聴く」という行為は、私が知っている「きく」という行為と同じなのだろうか」

「要望とは何か。」

「信頼が得られた、というのはどのような状態を指すのか」

 

 

彼らはとにかく「当たり前」をそのまま流さない。彼らは先輩から話を聴くと、かならず質問をするのだ。

 

「1を聴くと、10の質問が浮かぶ」のが、「1を聞いて10を知る人」の実態である。

もっと言えば「当たり前」とか「前提」とされていることを一度疑って見る姿勢、がある人が、「1を聞いて10を知る人」が実際にやっていることである。

 

要するに、自分の知識について「わかっていない部分がわかる」のが、「1を聞いて10を知る人」だ。

 

難しいことだと思うだろうか?

実はそんなことはない。上の新人営業向けの講習会では「質問を必ず10個以上するように」という制約を新人に課したところ、あっという間に目覚ましい効果が出た。

端的に言えば、理解力と、創造性が高まったのだ。

 

 

面接で「良い質問をする人が欲しい」とする面接官が多いのも、頷ける話である。

 

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(2024/4/21更新)

 

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