会社において特に生産性が問われなければならない活動の一つが、「会議」である。以前にも引用したが、NTTデータ経営研究所の調査では、全体に占める会議の割合は約15%。1日の業務時間を8時間とすると、1時間ちょっとは毎日会議がある計算だ。
考えてみると、1日1時間というのはとても大量の時間である。それを生産的にするか、単なるムダな時間にしてしまうかで仕事の質はかなり変わってくるのではないだろうか。
しかし、上の調査によれば無駄な会議があると感じている人が約半数存在する。実際に私の様々な会社に訪問した経験から見ても、「会議」をほんとうに上手にやっている会社は極めて稀である。
考えてみると、「会議」という活動は学校ではあまり教わらない。社会人になってからはじめて経験する人がほとんどだ。そして、多くの会社は会議のやり方に特別ルールを設けたりはしていない。
しかし、生産性を高めようと努力している会社は、「自己流」で会議のやり方を決める。
例えば、元Googleのマリッサ・メイヤー(現YahooCEO)によれば、Googleで採用されている「会議のルール」は6つあるそうだ。
コツ1:アジェンダを設定する
コツ2:議事録係を決める
コツ3:小規模の会議に時間を小分けする
コツ4:「オフィスアワー」を設定する
コツ5:政治力は使わない、データを基本とする
コツ6:時間を守る
(lifehacker)
もちろんこういったルールは、あなたが「会議の議長」であれば即採用することをオススメする。
しかし、大半の人は「議長」ではない。多くの「会議ノウハウ」は、議長には有用だが、参加者にとっては「そうは言うけど…」と変えられないことも多い。では、単なる会議の参加者である時、どう振る舞えば会議を有意義なものにできるのだろうか。
私は前職、様々なクライアント先で、会議に参加していた。
そして、その中で「圧倒的に会議の早い」会社がいくつかあった。私は不思議に思い、「特に会議のルールもないのに、なぜこのように早く会議が終わるのか」と、参加者の方々に尋ねた所、何人かの方から、「同じような答え」が返ってきた。
それをご紹介したいと思う。
1.自分が発言する
会議の時間が何に使われているかを吟味すると、実は多くの会社において会議の時間の4分の1から3分の1は、「沈黙」が支配している。
議長が「何か意見はありませんか?」と聞くと、皆「……」と、黙ってしまうのだ。
一種の同調圧力があるのだろうが、こういった時に最初に誰かが口火を切るとその後議論が盛り上がることが多い。議長が指名してもよいのだが、「当てられるかもしれない」という緊張感は参加者の精神衛生上あまり良くない。
会議を早く終わらせたいなら、「あなたが熱心に考えて、まず意見をいう」事をお勧めする。これを守るだけで会議の時間は3分の2にに短縮される。
2.内職しない
あなたが忙しく、内職をしたいのは十分わかる。しかし、内職をする人が増えれば増えるほど会議は盛り上がらず、余計に時間がかかることになる。
内職をするくらいならパソコンを閉じて、会議に集中して皆の発言を促す役割を担おう。議長に代わり、「◯◯さん、こんなこと言ってましたよね」と発言を促すだけでも俄然会議は盛り上がる。
会議できるだけ早く終わらせて、仕事に戻ろうではないか。
3.遅刻しない
議長の立場からすれば、「遅刻者」は銃殺刑ものだ。また同じ話を共有しなければならない上、参加者の士気も下がる。あなたが率先して時間を守り、遅刻をしないようになれば、その分会議は早く終る。
4.事前に議題を要求する
議長や参加者の方々に、「事前に考えておきたいんで…」と伝え、議題をもらおう。
議題を設定する側は、あなた一人に送るのも、全員に送るのも手間が一緒なため、議題が全員にあらかじめめ共有されるはずだ。議題をあらかじめ共有するのは会議を早く終わらせるための重要なポイントだが、議長から出てこなくてもあなたが要求すればいいのだ。
5.相手のことを「バカ」と思わない
ある意見とある意見がぶつかる時、会議は膠着状態に陥る。お互いに一歩も引かず、時間だけが流れる…
というシーンはよくある。このような時には大抵の場合「相手をどうやって論破してやろうか」であったり、「あいつらは何もわかってない。バカだ」であったりと、相手のことを非難する心理状態になっている。
そうではなく、「相手の言っていることと、われわれの主張すること、両方をうまく満たす方法はないだろうか?」と考えることが膠着状態の打破に有効だ。
6.議長を助ける
アイデアを出すにも、合意を得るにも、議長をできるだけ助けることは重要だ。
一旦合意したことを蒸し返したり、議題に対して「そもそも…」とケチをつけたりすることはイタズラに会議を長引かせし、議長に多大な負荷をかけ、会議を長引かせることにつながる。会議が長引いて腹が立つのはわかるが、今議論しなければならないこととは違う。
そもそも論がしたければ、会議が始まる前に議題を読み、その時点で話をつけておかなくてはいけない。また、そのような人が出てきたら、議長を助けて議論を本筋に戻すよう、皆で協力しよう。
7.自分の役割を知る
会議の参加者であるからには、何らかの役割を期待されている、と考えるべきだ。会議参加の依頼を受けたら、「自分は何を期待されているか?」をあらかじめ確認しておくことは非常に有意義である。会議は様々な役割の人間から、多くの見方が出ることが重要なのだ。
これが全員に周知されていたら、会議時間が短縮されることは言うまでもない。
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【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
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(2025/6/2更新)
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