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今回の選挙は大変な低投票率だったと各紙が報道している。

衆院選:推定投票率は52.32% 戦後最低の可能性

毎日新聞の調べでは、第47回衆院選の投票率(小選挙区)は52.32%前後で、戦後最低だった2012年の前回選挙(59.32%)を下回る可能性がある。報道各社の情勢調査で選挙戦序盤から自民党の優勢が続いたうえ、同党が争点に掲げた安倍政権の経済政策「アベノミクス」などを巡る与野党の論戦も盛り上がらず、有権者の関心が高まらなかったとみられる。

(毎日新聞)

「選挙へ行こう」や、「若者は損している」と声を上げる方々が数多く出現していた今回の選挙だが、「投票率が低いのは政治に関心がないからだ」という意見が前提の議論が多い。

果たしてそうなのだろうか。

 

1週間ほど前、ある学生と話した時のことだ。就職活動に対する悩み相談をうけた。

その学生は就職活動を一生懸命やったのだが、残念ながら「自分の本意ではない」待遇で働くことになったそうだ。要するに、「契約社員」として働くことになったとのこと。その学生は「本当は、正社員になりたかったです。」と言う。

しかし、自分の希望する業界の仕事の「正社員」は狭き門。その学生はしぶしぶ「契約社員」として働くことを選んだそうだ。

 

そして、このような事例は枚挙にいとまがない。

新卒雇用 4割が非正規で初就職 正規への転職困難

総務省の就業構造基本調査によると、初めて就職した際に非正規雇用だった人の割合は一九八七年十月~九二年九月の13・4%から右肩上がりに増加しています。

 二〇〇七年十月~一二年九月は39・8%でした。男女別では、男性の約三割、女性の約半数が非正規労働者としての採用でした。二十年前に比べると、男性は三・六倍、女性は二・六倍に増加しました。

背景には、景気低迷で企業が正社員の採用を絞った影響が考えられます。企業の売上高に占める人件費の割合を見ると、例えば製造業では九〇年代は17%を上回っていましたが、二〇〇〇年以降は12%台まで低下し、ここ数年は14%台にとどまっています。製造業では、新興国などとの激しい価格競争に生き残るため人件費を抑制したのではないか、と思われます。

(東京新聞)

その学生はこう私に聞いた。「自分の希望する業界で、契約社員になるか。自分が希望しなくても、正社員としてどこかの会社に潜り込んだほうがいいのか。どちらを選ぶべきでしょう。」

私には答えることが出来なかった。

 

正社員が解雇規制によって強固に守られている一方、若者や非正規雇用者はそのしわ寄せをうける。

昔訪問した、あるサービス業の経営者はこう言っていた。

 

正直言って正社員を雇うのはギャンブルでしかない。使えない奴でもクビにできないし、社会保険だ何だと会社の負担は大きくなるばかりだ。

ウチにも2,3人クビにしたい奴がいる。最初はまじめに働いていたが、半年の試用期間が終わった途端、本性をあらわしやがった。こんなのは絶対おかしい。

試用期間が1年、いやできれば3年は必要だ。使えない奴らを抱えなきゃいけないせいで、今年は新卒の正社員採用を減らして、契約社員を増やした。当面はこれで繋ぐことにするよ。

 

 その学生は言った。「アベノミクスなんて、どうでもいいんです。どうせ私のような契約社員には、何も恩恵なんてないですよ。」

そして、一息つくと、

「でも、「夢は正社員」っていうコマーシャルも嫌いです。バカにすんなっていう感じです。彼らオッサンのせいで、若者が割りを食っているわけでしょう。」

そして、話は選挙日程におよび、そして投票の話になった。

「私は投票には行きません。誰にも入れたくないです。だって、どこの党も私の意見を代弁してはくれない。でも、「投票率」で意思表示をすることはできる。そうでしょう、投票率が低ければ、ニュースで取り上げてもらえる。」

学生は私の方を見た。

「私は投票に行きません、投票率を下げたいんです。それが意思表示です。」

 

あの学生は棄権したのだろうか。それとも思い直して投票したのだろうか。

ふと、「投票率」のニュースを見て、思い出した。

 

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
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(2025/6/2更新)

 

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