初対面の人と話すこと、得意ですか?
中には「とても得意です」という奇特な方もいるのですが、聞く限りでは「あまり得意ではない」、あるいは「苦労している」という方が多いようです。
そして私もご多分にもれず、「苦手」としています。「アガって何も出来ない」とまではいかないですが、ストレスであることは間違いありません。
しかし、前職ではそういった「甘え」は許されませんでした。仕事の都合上ではありましたが、ほぼ毎日、「初対面の人と話す」事があったと思います。おそらく年間500人を超えていたでしょう。
営業をやって初対面の人に提案する、セミナーの講師をやって知らない方の質問を受け付ける、コンサルティングをやって各部署に説明をして回る。そんなことが毎日繰り返されていました。
ですから、私はなんとかストレスを減らそうと、「初対面の方」とどのように会話を進めるか、様々な方を観察し、ルールを作り、それを実行してきました。
「初対面の方と話すのが苦手」という方のご参考となれば幸いです。
なお、ここでご紹介するやり方は「仕事で会う方」を想定していますので、プライベートでも使えるかもしれませんが、保証の限りではありません。ですから、「面白い人」と思われたり「場を盛り上げる」といった応用編については範囲外とします。
1.会話の目的は「自分は敵ではない」の意思表示
「初対面の方」と話す時はとても緊張します。相手がどのような人なのかが、全くわからないからです。ですから、初対面における会話の目的は、「私は敵ではなく、したがってあなたの情報を教えてほしい」という意思表示が中心となります。
先にも書きましたが、盛り上げたり、「面白い人だ」と思ってもらったりする必要は全くありません。最低限、「嫌な人だ」とか、「話しにくい人だ」と思われなければいいのです。ハードルはできるだけ下げてください。初対面が苦手な方は、「気負いすぎ」ということが往々にしてあります。
2.相手の名前を積極的に呼ぶ
まず、自分の名前を名乗ります。その後、「お名前を伺ってもいいですか?」と聞きます。もちろん名刺交換をしているならば必要はありません。そして必ず以後の会話は「◯◯さん、…」と先頭に名前を入れて会話してください。
自分から名乗り、相手の名前を積極的に呼ぶことで、「敵ではない」いう意思表示をしていると相手は認識します。
3.会話の合間の沈黙を恐れない
会話が途切れるのが怖い、という方が結構いらっしゃいますが、沈黙を恐れるあまり早口になったり、相手の話したくないことに触れてしまうほうがよっぽど怖いです。数秒間沈黙になった程度で、あなたのことが嫌いになる方はいません。
ゆっくり考えながら、慎重に話せば良いのです。
4.相手の得意なこと、自慢できること、こだわっていそうなことを話題とする
会話における究極の技術は、「相手が話したいことを話させてあげる」ことです。そのためには、相手に先回りし「相手がこだわっていそうなことを振ってあげる」必要があります。「相手を読む」のは難しそうに聞こえますが、実はこれはそれほど難しいことではありません。
殆どの場合、「相手が持っている物」や「服装」や、「相手の所属している会社」などから、情報を引き出すことが可能です。
「◯◯さんのお持ちのペン、変わったペンですね」
「◯◯さんの使っているノート、いいデザインのノートですね。どこのですか?」
「◯◯さんのネクタイ、きれいな色ですね。お好きなんですか?」
「御社の製品がニュースになっていましたね」
「◯◯さんは、面白そうな仕事にたずさわっているんですね」
など、穏当な話題を提供するだけで十分です。
また、話題を振ったものの、相手があまり興味を持っていないものだった、つまり「外してしまった」場合は、直ぐに笑って謝ってしまいましょう。「すいません、つい気になったものですから…」と笑い飛ばしてしまえば、場の雰囲気も悪くなりません。そして、次の話題を振ればいいのです。
相手が専門家であったり、その土地の人であった場合などは、「◯◯さんは、◯◯にお詳しいんですか?」と聞いてみましょう。専門家は自分の専門領域について、その土地の人は地元について、質問を投げかけてくれる人が好きです。「貴重な知見が得られるいい機会」とおもって、いろいろ質問をしてみると良いと思います。
5.自分と相手の共通項を探しだす
ある程度話が進んだら、そこから、「自分と相手の共通項」を探し、話題としましょう。共通のもの、たとえば出身地、趣味、好きな食べ物、旅行先、愛読書などなんでも結構です。
「共通項」は、自分と相手を「仲間」にします。仲間になってしまえば、多少突っ込んだ話もできますし、話題を見つけることも簡単になります。
「初対面の人と話す」のがなぜ難しいのか。それは、バックグラウンドがわからず、話題が見つけづらいからです。
コツは以上の5つになります。難しいことを考える必要はありません。
相手の好きなものの中から、自分が分かる話を見つけること、それが初対面をうまく乗り切る処方です。
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