日経新聞に、人事が説明会で見た「採りたくない学生」 と言う記事があった。
就活生が「やってはいけないこと」「気をつけるべきこと」を採用担当者に教えてもらい、座談会形式でまとめた。
(中略)
積極的に質問してくれるのはいいのだが、「何をしに会社にくるつもりなのか」と思わせるような学生が毎年いる。
「休みはちゃんととれるのか」「パワハラをする人はいるのか」「社員の仲はいいのか」などと質問する学生だ。入社して何がしたいかではなく会社は自分を守ってくれるのか、を気にしているのがありありとわかる。こういう学生はすごく気になる。
(中略)
志望理由で多いのが「海外で貧しい国に行ったとき、生活向上のためにインフラ整備をやりたいと思った」というパターン。正直、エピソードにそんなに期待しているわけではない。なぜそう考えるに至ったのか、経緯や過程をしっかり書かないと響かない。
(中略)
就活生が思う以上に人事はよく見ている。常に見られている意識で臨もう。
「コピペのエントリーシートの会社名が間違っていた」というようなうっかり学生のエピソードから、「会社説明会にスタバのコーヒーを持ち込むな」というような若干おかしな人事のエピソードまで、様々な現場の状況が紹介されている。
企業の採用基準などというものは会社の風土や文化によって決まるもので、好き勝手に決めれば良いと思うし、「会社説明会にスタバ禁止」というのも、彼等にとっては常識なのだろう。
だから、それについてどうこう言うことはない。そういう会社は、スタバを持ち込まない常識的な学生を集めればよいのだ。
だが、この記事を見たとき、たしかに強い違和感を感じた。
多分、この感覚は「学生を選んでやる」という、この特集でコメントしている人事の態度に感じるのかもしれない。
だが、誤解しないでいただきたいのだが、この記事のような人事は、記事中で紹介されている学生のように、ごく一部の例外である。たいていの人事はここに掲載されいてるような方々ではない。
実際、多くの中小企業では、「学生を選んでやる」など、悠長なことは言っていられない。
何とかして自分の会社に入ってくれる学生を取るのに必死であり、学生に対して「大目に見る」どころか、多少無礼であっても「社会人になったら変わってくれる」と期待して、採用することも特に珍しいことではない。
それに対して、おそらく日経新聞のインタビューに答えている人事は、おそらく大企業のそれであり、毎年学生の応募が殺到するような企業の方々なのだろう。
そして、そういった状況は、「何か、自分が偉くなったような」錯覚を引き起こすのかもしれない。
もちろん私も、会社説明会の途中に食事をするような礼儀知らずな学生を採りたいとは思わない。
しかし、学生を「選んでやる」といったような考え方になるのもまた、同じくらい礼儀知らずなことだと思わなければ、そういった学生たちと同じ穴のムジナだ。
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(Photo:Simon & His Camera)