f9597312b9e8463b0f766aefae2859d5_s「目標を設定することは、とても大事だけど、同時にとても怖いことなんだよ。だから勇気を持ちなさい」

と、ある方に私は教えられた。

残念ながら、私がその言葉の意味を理解するには長い年月が必要だったが、仕事をする中で、いろいろな企業の内情を見、経営者と交流し、それを肌で感じることができた。

 

彼の言った、その時の説明はこうだった。

 

「君は、何かを成し遂げたいと思うかい?」

「はい。」

「それならば、まず知らなくてはいけないのは、「人生の時間は有限」ということ。君に残された時間は少ない。」

「そうですね。」

「つぎに、「自分にできそうなこと」を目標にしたいか?それとも、「本当にやりたいこと」を目標にしたいか?もし、後者なら」

「後者なら?」

「達成するのにはとても時間がかかる。」

「そうかも知れません。」

「だから、本当にやりたいことを達成しようとすれば、人生の多くを目標の達成のために投じるということになる。」

「はい。」

 

彼は私が相槌を打つと、身を乗り出していった。

「だとすれば、人は、「目標達成」のために、いろいろな可能性を消し去らないといけない」

「どういうことでしょう?」

「いいかい、目標をたてるということは、可能性を狭めることなんだよ。タイガー・ウッズは3歳でゴルフ以外の可能性を消し去った。だから、あれほどの高みに上り詰めた。」

「…。」

「君も、いい大人なんだから、「自分には無限の可能性がある」などという世迷い事を信じてはいけない。確かに選択肢は無限にあるが、どれか一つを選ばなくては、どの目標も達成できない。」

「…でも、そんな簡単に自分のやりたいことや、目標を決めることなんてできません。」

「勇気がないな、君は。目標をたてるのが怖いのかい?」

「…はい。」

「誰でも同じだ。「目標をたてるのはとても怖いこと」なんだ。失敗したらどうしよう、とか、目標が間違っていたらどうしよう、とか。そういった諸々の恐怖と戦うための勇気が、目標を立てる時には必要なんだ。」

「…。」

「もちろん、すべての人が勇気を持って目標を決定できるわけじゃない。でも、何かを為したいのであれば、必ず勇気が必要なんだ。」

「勇気なんて、少年マンガの中だけかと思ってました。」

「勇気というのは、漫画のようにわかりやすく必要とされるものではない。」

「…。」

「もちろん、決めないほうが一時的には楽だ。でも、「決められない人生」をおくるほうが、決めるよりもっと怖いんだよ。本当は。」

 

 

大人には可能性はあまり残されていない。

が、目標はある。

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

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(Photo:トラさん