転職は、大きな決断の一つだ。仕事を変えることは生活のスタイルも、考え方にも変化をもたらす。

そして、特に大きい変化が金銭的なものだ。

 

つい先日も、ある方から相談を受けた。

「年収が下がってでも転職すべきか」という内容だ。

私にはすぐに答えが出なかったので、少し転職の状況を調べてみた。

 

 

実際、転職をすると所得は上がるのだろうか、それとも下がるのだろうか。

厚生労働省の調査によれば、働き盛りと呼ばれる20代後半から40代前半くらいまでの人に話を絞ると、転職によって所得が増加する人の割合は全体の3分の1程度だ。

残りの3分の1は変わらず、そして残りの3分の1は所得が下がる。

平成25年雇用動向調査の概要|厚生労働省

 

他のアジアの国々では、転職は所得の増加を伴う人が多いことを見ると(リクルート調査)、日本においては「転職」のもつ意味合いが少々異なるのかもしれない。

www.recruit.jp news_data library pdf 20130325_01.pdf

 

 

実際、相談を持ち込んできたその方は、「年収が下がったとしても、自分の望む仕事をしたい」と言っていた。給与が下がるのはつらくないか?と聞くと、

「必要以上にお金は必要ありません。年収が多少下がったとしても、生活水準はそれほど変わらないですから。」

と、彼は言った。

 

通常は、本人が平気というなら本人の好きにするのが一番良いと思うのだが、もう一度統計の転職理由を見てみる。すると、「仕事の内容に興味が持てない」よりも「労働時間への不満」や「収入が少ない」「人間関係」がかなり多い。

 

 

このことから考えると、この方には少々意地悪な見方かも知れないが、表向き「やりがい」を求めていても、実際は労働時間であったり収入や人間関係に不満を持っており、それを表立って言えない。

そこで、「仕事の内容が…」と言っている方が多いのではないだろうか。

 

もしくは、一度転職をしたはいいいが、働き出すとあとから給与や労働条件への不満がでる、と言った状況も考えられる。

 

特に若い時に一度年収が下がる転職をしてしまうと、なんとなく転職を「やりがい」で正当化してしまう「負け癖」がつきかねない。

転職をするにしてもなんとか実績を現在の職場で出し、できうる限り年収が高く、労働条件も良い転職を勝ち取れるように粘ってみるべきかとは思うのだが、いかがだろうか。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
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(2025/6/2更新)

 

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(Photo:JiPs☆STiCk)