個人でも、企業でもブログを書く方が増えている。
「コンテンツマーケティング」という体で記事を書いたり、単に自分の思いを記すものとして使う方もいる。
こうしてだれでも自分の書いたものを公開できるようになったことは素晴らしいことだ。テクノロジーの進化に感謝すべきだろう。
だが、当然の成り行きとして、同時に「人を不快にさせる文章」も、増えてきている。中には、あえて人を不快にさせ、多くの人を集めようという意図で書かれた記事も数多くある。
また、「怒りを表明する文章」も同様に増えている。「私はこんなに怒っている。皆さんも怒って下さい」と主張する記事だ。怒っている人にはできるだけ近寄りたくないので、できれば見なくて済むようにしたい。
もちろん、その文章の書き手たちは「品格を疑われる」「怒っている人であると認識される」というリスクを承知でそれをやっているわけであるから、本来私がそれにとやかく言う資格はない。
ただそれを朝の通勤途中で読んで不快になり、一日の始まりを台無しにされた人の気持ちを斟酌すると、
「私がそう思ったんだから、別にいいじゃない」
と主張して憚らないのは、私自身はいささか気が引ける。
だから「人を出来るだけ不快にさせない文章を書く」というのは、自主的なルールとして、大事なことであると思っている。
だが当然のことながら、人のやることなので限界があり、どう逆立ちしても不快になる人が出てくるのは避けようがない。中には、「お前が文章を発表するだけで不快だ」という方もおられるだろう。
その場合は謹んで批判をお受けするしかないのだが、「できうる限りの努力」はしておくに越したことはない。具体的には2つある。
1つ目。前の日に書いた文章を、次の日に読み返してから発表する。
気持ちが盛り上がった時には筆が進むが、同時にどうしても表現が無遠慮になりがちである。
「ちょっと感情が高ぶって書いてみたけど、これは自分が悪いじゃないか」と、一旦書いた記事をお蔵入りさせるケースも多い。
昔、管理職研修で「部下にムカッと来た時には深呼吸をすること」と教えていたことがあったが、それと同じかもしれない。
一晩寝かせることで角がとれ、伝えたいことだけをきちんと伝えられる文章になることは多い。1つの記事に約1時間半から2時間程度はかかってしまうが、必要な工程だ。
2つ目。文章を読み返すとき、「反対の意見をもつ人の立場」で読み、配慮をする。
例えば本記事であるが、次の観点からチェックする。
・もし私が「怒り」を伝えたい人だったら、この記事を読んでどう思うだろうか。
・「読まれてナンボでしょ」という人だったら、この記事を読んでどう思うだろうか。
多分前者の方は、「本気で怒らないと、世の中に正しいことを伝えられない」と思ったり、「不正に対して怒りを表明することの何が悪いのか」と思ったりするだろう。もちろん、それは全面的に正しい。
後者の方でも、「角がとれた記事なんて、面白くもなんともない」と言うかもしれない。「極端な意見が読みたい人もいる」と言うかもしれない。あるいは、「たくさんのアクセスが集まらなければ、儲からないじゃない」という人もいるだろう。それも正しい。
要は、文章公開の目的が異なる、と言うしかない。
webの発達で、人が生み出すテキストの量は爆発的に増えた。だが、その中には多くの毒も含まれている。
自分がその毒にならないよう、ブログや、寄稿などで様々な場所へ露出をすること可能性がある文章については、出来る限り上の2つの努力は怠らないようにしたい、と思っている。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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(Photo:churl)