前職では、若手が週一回、週報を上司に提出する決まりがあったが、週報の提出を義務付ける会社は現在でもかなりの数あるのだろう。上司は常に、部下のやっていることが見えなくなってくるものなのだ。
ちなみに、前職ではかなりの数の週報を読んでいたが、「非常に面白い」ものと「読むのが苦痛」な週報ははっきりと分かれていたように記憶している。
週報の必要性の是非は別の機会に議論を譲るとして、果たして「良い週報」と「悪い週報」を決定するのは、どのような要素なのか。
私の経験では、次の3つの要素を押さえていれば、概ね「良い週報」と判断していたように思う。
1.悪い週報は、抽象的。良い週報は具体的。
悪い週報は、「なんとなくの思い」が書いてあるだけである。良い週報は「具体的な作戦」が書いてある。
2.悪い週報は「仕事」のみ。良い週報は「成果」が書かれている。
行動は成果に結びつかなければならないが、どうしても仕事をこなすことだけで精一杯で、「成果」の観点が抜けてしまう方もいる。
上司は出来うる限り時間を有効に使って欲しいので、「成果」が書かれていると喜ぶ。
3.悪い週報は「過去」のことのみ。良い週報は「これからやろうと思っていること」も書かれている。
週報は本来、「その週にやったことの報告」ではあるのだが、上司がもっと聞きたいのは「これからどうするか」である。
特に今週あまり成果が出なかった人には、「来週はどのように改善するのか」を聞きたがっている。
先週次の3つのことを行い、それを週報で報告するとしよう。
・担当顧客と来期のプロジェクトについて見積の提出を要求された。
・所属チームで「業務改善プロジェクト」を発足させた
・顧客の新規開拓を行うために、セミナーを開催した。
◉イマイチな週報の例
8月2日に◯◯株式会社の鈴木さんから、来期の◯◯プロジェクトについての見積もりを依頼されました。8月5日に提出。
急いで提出しなければならないので、調べ物が多く大変でした。他の人に相談したところ、きちんと教えていただくことができたので問題はなかったと思います。
8月3日にリーダーの発案により自チームで「業務改善プロジェクト」が発足しました。改善案を出さなければならないという指示を受けました。
8月12日までに改善案を出すことになりましたので、改善案をどのように出すか、部内の人と話しました。
新規顧客の開拓のためのセミナーを開催しました。25名のお客さんがセミナーにこられました。3社の引き合いがあったので、お客さんの反応はそれなりに良かったとおもいます。
翌週からフォローを行いますが、先輩の多田さんからしっかりやるようにと声をかけてもらいました。頑張りたいと思います。
これだと恐らく上司に怒られる。ほとんど「日記」であり、上司の知りたいことが入っていないからだ。
◉良い週報の例
今週は◯◯株式会社の鈴木さんから、来期◯◯プロジェクトについての見積依頼を受ける。3社コンペに勝たなければならない厳しい案件。
次の点について不明であったので上司に確認し、コンペに備える。
1.リリース日をどの程度前倒ししたいか
2.顧客の想定する予算
顧客の想定する金額を知るために、来週は◯◯株式会社の佐藤さんから情報をいただくように会食を設定。
リーダーの発案で「業務改善プロジェクト」が発足。狙いは残業時間の30%削減。8月12日までに改善案を出すことが決定。そのために
1.時間の使い方の調査
2.残業時間が増える原因の特定
を8月9日までに調査する。
新規の顧客開拓のためのセミナーを実施。集客目標40社に対して実績25社と未達。集客開始が遅かったため、「時間が取れない」と断れれてしまったところが10社程度あり、次回から2週間前には集客の開始をする必要がある。
セミナーの反応は良く、3社から「詳しく話を聞きたい」との反応あり。3社の営業に備え、来週月曜日にベテランの太田さんとのミーティングを設定。
これだと、上司は部下が何をやり、どのように困難を乗り越えようとしているか、どんな成果を出そうとしているかが見えるので、アドバイスもし易い。
結局のところ、週報を上司が見る理由は
・サボっていないか
・自分にできることはないか
・どれくらいの成果が出そうか
を見極めるためである。適切な情報開示を心がけよう。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
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投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
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・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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