269032594_edc844ecbe_z仕事において、生産性は非常に重要である。いずれの組織においても、生産性を高めるために、環境やモチベーションといった話は定期的に話題となり、あるいはチームの効率的な運営、暗黙知の共有などの推進が行われる。

だが、生産性の向上のために最も重要なのことは、そういった瑣末な話ではない。大きく生産性を向上させるためには、本質的な議論が必ず必要となる。

それを私は、ある経営者から学んだ。

 

その企業はあるIT業だった。その経営者は「生産性向上」に並々ならぬ情熱を燃やしていた。彼は常に「生産性向上こそが、経営の鍵となる」と主張した。

私は、その秘密を知りたいと思い、彼に話を聞いた。

 

彼は、快くその秘密を話してくれた。

「我々は、かなり以前から生産性を高める工夫をしています。その中で、意味のあるものとそうでないものの差が徐々にわかってきました。

オフィスを綺麗にしたり、リモートワークを認めたりと、様々なことを試しましたが、最も効果があったのは、非常に単純なことでした。

つまり、やらなくていいこと、無駄なこと、これを極限まで減らすことが、最も効果が高かったのです。その他の話はすべて2次的です」

私は、「どういうことでしょう?」と聞いた。

 

経営者は言った。

「つまり、会社の中には余計な仕事がたくさんある、ということです。様々な理由で聖域化されている、つまらない仕事がね。

ですから、我々が最も熱心に取り組んだのが、「これは何のためにやっているのか、を考える癖付け」です。これが、最も生産性を高めます。」

なるほど、思い 「具体的には、どんな癖付けをしたのですか?」と私は尋ねた。

 

彼はこう答えた。

「簡単ですよ、「やらなくていいことの発見」を奨励しただけです。やらなくていいことは大きく3つから成っています。

1つ目は「成果を明確にしていない作業指示」これは指示を出す側の怠慢です。やる意味を考えていない。

2つ目は「面白くない仕事」…と言いたかったのですが定性的なのでこの表現は廃止しました。今は「一定期間、成果の出ていない仕事」に言い方を変えました。これならやめるべきかどうか判断できます。

特に、会議などはこれによく当てはまります。我々は会議も必ず1つ目の法則に従って成果を明確にしますので、会議も長く続けるとだんだん意味がなくなってきます。

その時は、成果を再定義しなければならないようにしています。だれでも面白く無い会議には出たくないですよね。

3つ目は「書類作成」です。書類は少なければ少ないほどよい。仕事の中で自然に出る記録だけ残すようにします。

いずれにせよ誰もが「何のために?」と言うことと、言われることを恐れてはいけないと思います。昔は「何のために?」と言われると怒る管理職や社員がいました。考えてないことがバレるからです。でも、結局そういう人が、聖域を創りだすんです。

「何のために?」を皆の口癖にすることで、生産性を圧倒的に向上させることができます。」

 

「個人でもできることはありますか?」と私は尋ねた。

「もちろん、生産性向上は個人でもできます。自分の胸に聞いてみて下さい。「この仕事の成果は何か、なんのためにやっているか」と。

もちろん、自分の一存で決めることができない仕事もあるでしょう。それでも取り組み次第で多くの仕事が削減できるはずです。」

 

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

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