仕事柄、私はマニュアルを作成することが非常に多かった。顧客のマニュアルから、自社のマニュアルまで、数々の業務について幅広くマニュアルを作った。
その中でも比較的どの会社でも作られているのが「報告ルール」である。報告は重要な仕事の一つであるため、殆どの会社は自発的な報告だけに任せず、何かしらの報告ルールを持つ。
だが、報告ルールを作るのは意外に難しい。思っていた粒度で上がってこなかったり、知りたいとことが報告されなかったりするケースが多く、ルール作りで苦労している会社が多いようだ。
例として、あるプロジェクトを想定する。これからチームの進捗報告ルールを作ると仮定しよう。
この中で「自分の作業の状況を、毎週報告する」というルールをレベル別に表すと以下のようになる。
レベル1.
自分の作業の状況を、毎週報告せよ
恐らく最初の1カ月から3カ月しか守られない。守られたとして報告の粒度はバラバラで、質が低いことが多い。ただしメンバーが全員優秀である場合は、これでも十分回る。
レベル2.
遅れを発見し、それに対する対策を早めに取るため、自分の作業の状況を、毎週報告せよ
ルールの目的を伝えることで、報告の質はレベル1.よりも上がる。ただし、粒度は各人でそれほど変化がない。
レベル3.
自分の作業の状況を、遅れを発見するために以下の項目に従って毎週報告せよ。
・項目1 進捗状況
・項目2 想定されるリスク
・項目3 リスクへの対策
・項目4 リーダーへの依頼事項
・項目5 備考
項目を指定し、場合によっては報告のフォーマットを指定することで、格段に報告の質が向上する。この辺りから「しっかりとしたルール感」が出る。ちょっとしたプロジェクトでも、この辺りまでは決めているだろう。
レベル4.
自分の作業の状況を、遅れを発見するために「この項目、および基準に従って」毎週報告せよ。
・項目1 進捗状況 (進捗の計測基準は以下のように行う…)
・項目2 想定されるリスク (リスクの定義は以下のとおり…)
・項目3 リスクへの対策 (対策には以下の条件を含めること…)
・項目4 リーダーへの依頼事項 (依頼事項は以下の条件をみたすこと…)
・項目5. 備考
項目だけではなく、項目の定義と基準を明確に定めることで、報告の質を相当程度まで上げることができる。基準を定めることで、報告を受けるリーダーや上司も、的確な判断がやりやすくなる。
レベル5.
レベル4.までの内容に追加して、「このような報告はしてはいけない」という事例を基準に盛り込む
・進捗の計測は、「現在までに終わっている作業」に限定し、「今手を付けている作業」は含めない。
・想定されるリスクに、対策済みのリスクは挙げない。
など
いわゆる「悪い例」を挙げることで、報告の精度をさらに高めることができる。「良い例」は事例が少ないが、「悪い例」はルールを導入してしばらく経つと数多く集まってくるので、「悪い例」を盛り込んでいくことは重要な作業である。
レベル6.
レベル5.までの内容に追加して、「周知の方法」、「ルールの改定の方法」を定める。
・これらのルールは、チームメンバーがプロジェクトに参加した都度、最初にリーダーから説明がなされる。
・1ヶ月に1回、進捗報告会議の中で報告ルールの改善について議題にする。リーダーの承認をうけ、ルールが改定される。改定されたルールは1週間以内にリーダー、もしくは指名を受けた代理人がメンバーに周知する。
など
いかに優れたルールを作っても、周知をしなければ守られないし、またいずれルールは陳腐化する。したがって、ルールには周知と改定というメタルールを定めなくてはならない。
10名を超えるプロジェクトや、人の入れ替わりが頻繁にあるプロジェクトでは、こう言ったメタルールが必要となってくる。
レベル7.
レベル6.までの内容に追加して、「インセンティブ、および罰則」を定める。
・報告の遵守率、および違反率は半期毎の人事評価ミーティングにおいて参考情報となる。
など
重要なルールとして、究極までルールの遵守率を高めるのであれば、インセンティブや罰則を定める必要がある。「何も罰則まで…」という場合もあるが、これらのルールが有るかどうかは、遵守率に大きく影響がある。
ただし、罰則については士気の低下を招く場合があるので、ルールの重要度とのバランスを考慮しなければならない。
もちろん、あらゆるプロジェクトでレベル7.まで行う必要は全くない。報告の重要性や頻度、メンバーの人数や能力に従って使い分けていただければ幸いである。
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現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
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野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
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【大学探訪記Vol.5】銀幕スターを通じて「戦後の日本人」を解き明かす
【大学探訪記 Vol.4】ベトナムの人材育成を支援したい!と、ベトナムに単身渡る女子大生
【大学探訪記 Vol.3】プロ野球に統計学を適用するとどうなるか?
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