10905399614_fbe9eb3e22_zこのブログの運営と、幾つかのメディアの手伝いで「オウンドメディア」または「ブログ」のアクセスを伸ばそうとするならば、いくつ考えなければならないことがあるとわかった。

なお、この方法は読者数とページビュー数を炎上させずに増やしていきたい、という考え方に基づく運営の方法であり、「好きなことを書きたいだけ」というブロガーの方々には当てはまらない。

 

また、手っ取り早くコンバージョン、問い合わせ、引き合いを稼ぎたいのであれば、オウンドメディアやブログなどまどろっこしいことをせず、広告をバンバン打つべきである。

オウンドメディアは成果が見えにくく、すぐに数字には現れない。短期的業績と費用対効果を気にするのであれば、広告のほうがはるかに実入りが良い。

では、広告で得られず。オウンドメディアでえられるものはなにか。それは信頼とファンの方々である。これは金では買えない、信頼の積み上げによってのみなし得る。その信頼を積み上げるのが、オウンドメディアの役割だ。

では、具体的施策を見ていく。

 

 

 

まず、基本的な知識として、記事がどれくらい読まれるかは次の式で決まる。

 

ページビュー数=(ネタの力)✕(ライターの筆力)✕(メディアの拡散力)

 

まずネタの力、すなわち「何をネタにするか」が重要である。ネタはお店で言うと「立地」であり、メディアの知名度やライターの筆力でカバーできない。ネタを選んだ時点で、どのくらいの人が読んでくれるのか、どのくらい検索されるか上限が決定される。

「お金」「仕事」「ゲーム」などは、上限値が高いし、「哲学」や「数学」などは、上限値が低い。どれだけの人に読まれるネタか、は究極の制約条件である。

したがって、オウンドメディアが「一般向け」なのか「業界人向け」なのかによっても「そのメディアがどの程度まで成長できるか」が決まってしまう。

個人的には、専門特化はあとでもできるので多くの人に読まれる話題を選んだほうが良いと思う。 最初にあまりにも読まれないと、殆どの人がやる気をなくすからだ。

 

次に重要なのはライターの筆力である。これはお店で言うと「味」である。きちんとした文章をかけるライターは、読者を迷わせず、負担を与えず、かつ引き込む文章を書くことができる。

ただし、これは「読んだ人」しか感じることのできない領域のため、新規読者を獲得することよりも「ファンづくり」に重要な要素だ。お気に入りのライターがそのメディアで書いていれば、リピータとしてまたそのメディアを訪問するかもしれない。

ただし、いくら味が良くても流行らない店があるように、ライターの筆力が高くても流行らないメディアもある。また、立地が良ければ味が多少まずくともお客さんは入る。

 

最後に重要なのはメディアの拡散力である。これはお店で言うと「宣伝力」とでも言えばよいのだろうか。ここが高ければ何を書いてもそれなりに一定数のビューが見込める。だが、通常「メディアを新しく立ち上げる」場合、ここはゼロに等しいだろう。

また、「広告などの金で買える宣伝力」と、「口コミなどによる金で買えない宣伝力」のどちらを重視するかといえば、当然後者である。通常オウンドメディアは広告を行ってもほとんどファンは増えない。一見さんが増えるだけである。

さいわいなことにwebは口コミがカンタンにできるSNSの仕組みがある。じっくり時間をかけて固定客を増やすことが、宣伝力をつけるもっともよい方法だ。

 

 

1.立ち上げの際にやること。

まず、とにかく立地が重要である。「何を話題にするか」 を最大限気にする。その次に重要なのが「味」に相当するライターの筆力だ。お店の成功は新規で掴んだ客をいかにリピータとするかにかかっている。

「興味を引く話題」を提供し、わずかでも良いので「良い味」でできるだけリピータを増やすこと。これが揃っていなければ、いくら広告やSNSでの拡散をやったところでお金をドブに捨てるようなものである。

また、オウンドメディアでは社員に記事を書かせることも多いが、そうするのであれば「時間を取ってまじめに書かせる」べきである。この段階でまずい料理を出していたら、永遠にメディアは立ち上がらない。

また、焦ってアクセスを増やそうとして、炎上を誘うような煽り記事、コピペで作ったようなような質の低い記事をこの段階で出してしまうと、「この店はジャンクフードを出す店である」と認知されてしまう。ジャンクフードで勝負をするのでなければ、それは避けるべきだ。

ちなみに、多くのメディアが開始して6カ月くらいで「全くアクセスが伸びず」更新を終えてしまうのは、この時期である。この時にアクセス数を気にしてはいけない。気にするべきは「ネタ」と「筆力」である。

 

2.ある程度記事が溜まってきたらやること

運営をはじめてしばらくして、記事数が200から300くらいとそれなりの数になってくると、中には「よく読まれる記事」が10、20くらい出てくるはずである。メディアの成長はそこから始まる。

広告やSNSでの拡散は、そう言った記事を中心に行う。「よく読まれ、かつメディアの存在意義を体現している」ような記事がある程度揃うまでは、拡散に力を入れる必要はない。

コピペで作ったような記事が拡散されても、そこに訪れる人はあなたのメディアのファンではなく、単に通りかかっただけの一見さんである。「バズれば良い」ではなく、「我々が訴えたいことでバズるにはどうしたらよいか?」がこの時期に最も重要だ。

 

3.ビュー数の伸びが止まった時にやること

成長は連続的に起こるのではなく、幾つかの爆発を繰り返すことで起こる。その間は退屈な停滞があるだけだ。停滞しても焦る必要はない。

そして停滞期にこそ新しい試みができる。停滞期の原因は多くの場合、新規読者を呼び込めていないことにある。したがって

・外部へメディアの寄稿

・ユーザビリティの見直し

・新ネタの投入

・新しいライターの起用

などが有効な手段である。

 

4. アクセスが減っている時にすること

多くの場合、アクセスが減る一番の要因はリピーターがつかないことにある。

サイトの立ち上げ期ならばともかく、立ち上げて1年以上経っているにもかかわらず、全体のアクセスのうちリピーターが3割を切っている場合には記事の質に問題がある。

とにかくwebは「味」、すなわち記事の面白さの比較が極めてカンタンであるため、味がまずければ どうしようもない。ライターを変えるか、たくさん書き、練習して記事の質を上げる。

 

 

以上である。オウンドメディアやブログは、小手先の施策よりも、ネタとライターの能力、すなわち「記事が面白いかどうか」が重要である。あとは瑣末な問題にすぎない。

そのような意味では万人にとって非常に「公平・平等」なメディアだ。

 

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
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(2025/6/2更新)

 

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(Photo:Dennis Skley)